5383.2022年5月17日(火) デジタル化に合わせ戸籍に読み仮名

 法務大臣の諮問機関である法制審議会が、行政手続きなどのデジタル化を進める一環として、戸籍上の氏名に仮名をふる法制化に向けた中間試案をまとめた。戸籍上の氏名は、現在漢字しか記載されておらず、デジタル化の妨げになっているとして仮名をふることを2024年までに実現する計画である。現実には、パスポートやクレジットカードは、ローマ字で仮名がふられている。デジタル化が進めば、本家本元の漢字より、仮名の方が使用の用途が随分広がるからである。また、住民基本台帳は、出生届に基づいて仮名をつけているが、戸籍には反映されていない。

 これまで戸籍には仮名がふられず、簡単に読めない氏名が多々あった。これがデジタル化するための障害になっていたので、仮名をふることによってデジタル化を前進させようという試みである。日本のデジタル化の進捗度は、世界に比べて大分遅れているようで、それが昨年遅ればせながらデジタル庁を発足させる一因ともなった。

 これでデジタル化への道が一歩進むことを期待したいが、いくつか問題もあるようだ。それは一般に「キラキラネーム」と呼ばれる呼び方や、派手な名前、漢字の読みにそぐわない名前などに付けられるような読み仮名が、漢字本来とは異なる読み方でどこまで許されるかが議論されなければならないからだ。例えば、「大空」=「スカイ」とか、「光宙=ピカチュウ」、「騎士=ナイト」などのような、少々首を傾げるネーミングである。これは、何でも善しというわけではなく、命名権乱用や公序良俗に反するような「非常識なものは認めない」とか、「一般的に読めないものは認めない」、「漢字の音読み・訓読みなど慣用的に使われてきた仮名」などが考慮されるようになる。

 また、平仮名にするか、カタカナにするかの問題も検討しなければならない。ただ、これには、外国人の戸籍も考えなければいけない。日本に在留する外国人が戸籍を申請したケースでは、カタカナの方が馴染み易いと思うが、何とも言えない。また中国人や韓国人のケースでは、日本語の読み仮名にするのか、母国語風読み仮名にするのか、難しいところだろう。例えば、韓国の李承晩・初代大統領の読みは、日本語なら「リショウバン」だが、韓国語では「イースンマン」と言う。どちらにするのか、これには韓国人の気持ちもある程度配慮しなければいけないので、結論は早急には出ないのではないだろうか。

 少々年寄じみた考えだと思われるかも知れないが、最近の若者の名前、特に女性の名前を見ていると、親もよくぞ考えたなと思えるような語呂合せや華美な名前を見てびっくりすることがある。それに比べると小学生時代の女子クラスメートは26人だったが、その内21人が最後に「子」がついていた。とても「キラキラネーム」と呼べるようなものではなかった。昔の親は、子どもに願いと期待をかけて命名するところがあったようだが、今は見栄えとか、人目を惹くような、興味本位の名前をつけるような傾向があるように思う。

 いずれにせよ、読み仮名をつけることによって、作業が効率化するようであるなら、それ自体どんどん進めるべきではないかと思う。

2022年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com