5370.2022年5月4日(水) 常識人たるべき人物に見識がない。

 昨日の朝日新聞に紹介された、特異な考えを講演会で語った元外交官の思い込みの強い主張には、少々疑問を感じた。これには取材した記者も些か呆れ気味だった。その記者は講演会後に元外交官に取材を申し入れたが、短い時間では説明しきれないと拒絶されている。元外交官とは、かつてウクライナの特命全権大使を務めた馬渕睦夫氏である。このように外交官として立派な経歴があるのなら、普通はウクライナに幾分ひいき目のコメントを述べるところだろうが、氏はこともあろうに「毎日プーチンの悪口ばかりで最近ではブチャの虐殺と書かれているが、あれはウクライナの軍、警察、治安当局だ」とメディアの論調とは逆に、ウクライナ当局はウソを言っているとロシアを弁護している。いろいろ客観的な証言や証拠写真から、ブチャの虐殺はロシア軍によって行われたことは明白と言っても好い。このような外交官が任地でその国と日本とのためになる建設的業績を残すことが出来るのだろうか、極めて疑問である。実際外務省内でも同期のOBが、馬渕氏の言動に異を唱えて突き放しているという。

 もうひとりその言動に疑念を感じざるを得ない人物がいる。発言は若干対象が異なるが、ロシアのラブロフ外相がイタリア・メディアとのインタビューで、「ヒトラーにもユダヤ人の地が流れていた」と発言したことが波紋を広げている。国家間の友好関係を常に心がけるべきである一国の外交責任者が、第二次大戦参戦国の間で唾棄すべき発言をいとも気安く行ったのである。もともとラブロフ外相は、外相としての資質、性格よりは、プーチン大統領への忖度によって今の地位に居座り続けている人物で、とかくその言動は眉を顰めることが多い。この発言には、流石にイスラエルのベネット首相が「発言は事実ではない。ホロコーストを政治の道具にしてはならない」と直ちに非難している。こんな発言をすれば、世界中から非難されるのが分りそうなものなのに、敢えて喋ってしまう軽薄さが外相とも言える人物にもあることが分った。だが、こんな人物が外交交渉の最前線に立つようでは、交渉がスムーズに行く筈がない。

 さて、毎月定例のブログ・アクセス状況が今日‘Google Search Console’から送られてきた。それによると、私のブログの中で2番目にアクセスが多かったのが、4月23日に書いた「幻と消えた第二山手線」だった。これは同日23日夜NHK/BSで放映された「パラレルニッポン、幻の第二山手線プロジェクト」を観たうえで書いたものである。このドキュメンタリーを放映前に友人らにも知らせて観るよう勧めたところ彼らも面白い番組だったと言ってくれた。小田急関係者からは、噂では聞いていたが、これほどまでに第二山手線の計画が具体化されていたとは知らなかったと聞いた。時代の大惨事に見舞われて、残念ながら折角実施段階まで手を付けていながら実現しなかった。もし、仮に第二山手線が実現されていたら東京都内の交通事情も随分、現在とは異なっていただろう。とにかく観るに充分値する番組だった。

2022年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com