5369.2022年5月3日(火) 日本国憲法施行から75年

 今日は憲法記念日である。公布されたのは1946年11月3日であるが、施行されたのは、翌1947年の今日である。いくつもある国民の祭日が、とかくお祭り気分になりがちな中で、その意味を真剣に考える1日である。近年憲法改正論議が喧しい。その主たる問題となっているのは、自衛隊の存在を憲法上に明記すべきとの論調である。更に自衛隊を軍隊として認めるべきであるとの主張も根強くなってきた。それには、最近のロシア軍によるウクライナ侵攻も幾分与って力となっている。

 最近朝日新聞社が行った世論調査によると、驚くことに現行憲法を変える必要があると応えた割合は、56%にまで急上昇している。昨年の調査では、45%でしかなかったが、今では過半数が憲法改正を是としていることが分る。その反対に当然のことながら、変える必要がないと応えた人は37%で、昨年の44%から大分減少した。NHKの調査でも改憲は必要が35%、不必要は19%である。そもそも改憲必要派が、不必要派を上回る傾向は、1990年代から始まっていた。結局世代交代が進み、辛い戦争を実感として知っている人たちが、段々少なくなり、戦争の恐ろしさを実感として知らない世代が増えて来たことが、その背景にある。

 個人的には、憲法を改正する必要はないと考えている。確かに現実に自衛隊が存在し、災害の折には国民にとって誰よりも大きな力となって頼りになる。これを軍隊にまで格上げする必要はないと思う。現状のままで自衛隊は災害時の活躍しているからである。

 一旦軍隊と認めれば、その軍事力と拡大は瞬く間である。戦前の軍部の行状を見れば分ることである。恐らく軍隊の強大化と拡大のために軍事予算も止め処がなくなると思う。憲法改正の焦点は、第9条に掲げられている軍備を持たず、永久に戦争を放棄することである。今日の自衛隊の存在ですら、軍備に当たるのではないかとの憲法違反容疑が出ている。確かに軍隊という名ではないが、自衛隊という隠れ蓑によって軍隊まがいの自衛力を具えている。現実問題として、今日まで自民党政府は、自衛隊は軍隊ではないと言いながら自衛隊を軍隊のように育成してきた。しかし、国民の表面的な声としては、災害発生時に最も頼りがいのある組織となっている。これを今更廃止することは難しいと思う。そこで憲法には触れず、このまま「自衛隊」として存在を認めることにしてはどうかと考えている。かつて湾岸戦争の折に、欧米から求められた「軍隊としての」自衛隊の派遣を、憲法上派遣出来ないと言い逃れたこともある。

 しかし、何といっても怖いのは、戦争を知らない世代が増えて戦争を史実として、また現実感のないものとしか考えなくなり、本当の戦争に拒絶感を感じなくなることである。そういう意味でも、今日の憲法記念日を「憲法」というもの、「戦争」というものについて真剣に考える1日であって欲しいと思っている。

2022年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com