5186.2021年7月24日(土) 五輪開会式で見直される日本人の意識変化

 昨晩行われたオリンピックの開会式から1夜明けるや、今日は朝からずっと競技のテレビ中継が行われていた。NHKの定番ニュース番組「ニュース7」も本旨であるニュース自体をそっちのけで、柔道決勝戦を放映している有様である。朝日朝刊の見出しを見ても「東京 五輪コロナ下の開幕」「1年延期し無観客1万1千人出場」「迷走8年 五輪突入」「第5波 渦中の開幕」「東京 歓声なき採点」のような語呂が並ぶ。コロナ禍と無観客の開催をやや揶揄しているように思えるが、昨晩の開会式の演出などについては、むしろ好意的に書かれて批判的、或いはつまらないとは捉えていないようだ。ただ、簡素化されて華やかさは影を潜めたとコメントされている。

 大坂なおみ選手の最終聖火ランナーについても、人種差別に抗議する「BLACK LIVES MATTER」の意を表し社会へ向けて発する強いメッセージが世界の注目を集めると捉えていた。本大会のモットーは「多様性と調和(DIVERSITY & INCLUSION)」である。コロナ禍で差別や格差が顕在化し、分断が叫ばれる時代にあって国境の垣根を飛び越えられるスポーツが、多様性と調和の実現に最も近い位置にいると見ている。大坂選手の聖火ランナーや、NBAバスケットの八村塁選手が旗手を務めたのもそのひとつの証だったのだろう。

 しかし、海外のメディアの中には、昨日までの組織委員会の拙い動きと対応を見て、フランス・ルモンド紙のように日本人が望まないオリンピックは「日本はIOCの囚人になっている」として、日本だけで決定出来ない主体性のなさを皮肉交じりに伝えていた。他方、イギリスのガーディアン紙は、「昨年の苦闘から目をそらして笑って踊るだけのショーではなく、喪失と悲しみのテーマを導く他に類のない3時間となった」と比較的好意的に伝えている。ワシントン・ポスト紙は、ハーフ選手の大坂、八村らが存在感を示したことに「現在の日本の多様性を感じさせた。移民について、人種やアイデンティティーの異なる人々が1つの国をつくるという考えについて、まさに取り組み始めたばかりの国であるとうなずかせるものだった」と日本人の認識が変わったと評価していた。知らない間に海外からは日本は意識面で旧来の考えが少しずつ変わってきていると見られているようだ。昨日の本項で大坂なおみ選手の聖火ランナーに異を唱えたことが、恥ずかしいくらいである。

  これから8月8日まで17日間に亘って大会は続けられるが、コロナ禍により新規感染者が増え、大会が途中で中止にならないことを強く願っている。

 一方、コロナ自体は日々益々感染者が増え、コロナ禍は第5波に入ろうとしている。例えば、昨年中止になった全国高校野球では、今春の選抜大会で東海大相模高が3度目の優勝を飾ったが、何とその東海大相模高が、昨日メンバー17人が陽性であることが判明し、今日の神奈川県予選の準々決勝戦を急遽辞退して不戦敗となった。同高にとっては史上8度目の春夏連覇を目指し、しかも門馬監督が今夏を最後に監督を退任することになっていただけに諦めきれない思いであろう。

2021年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com