5176.2021年7月14日(水) 西村大臣、上から目線発言を謝罪、撤回

 緊急事態宣言が発出されることが決まってから、対象となる飲食店の中には取り決めを守らず、禁止されているアルコール類を供給する店があり、約束を守っている店とは不公平、不平等が取り沙汰されてきた。それを止めさせるため西村康稔・経済再生相が金融機関に対して、要請、命令に応じない飲食店がルールを遵守するよう働きかけを行うことを求め、更に酒類販売事業者に対して応じない飲食店との取引を停止するよう依頼すると公表した。これが行政、或いは行政の長が権限外の介入をしているとして世論の批判を浴び、更に業界団体からも抗議の声が殺到して撤回要求を突き付けられ、大臣は謝罪のうえ撤回することになった。その後菅首相も謝罪した。

 このような金融機関への働きかけや取引停止依頼は、営業の自由を制限しかねず、法的根拠を軽視する政府の姿勢が問われるところである。いくら不公平との声があるにせよ、どうしてこのような一方的な言動にまで及んだのか。気持ちは分からないでもないが、あまりにも世間の風を知らなさ過ぎる。大臣は頭脳明晰なのだろうが、世間常識とか、現場を知らな過ぎる。気になるのは、同じような考えを持っている国会議員が他にも多くいることである。その中のひとりが、麻生太郎・副首相である。麻生氏は本件について法的根拠は基本的にはないと思うと述べている。麻生氏はさほど頭脳は優秀ではないのに西村大臣と同様世間知らずだから西村氏より面倒である。こういう軽薄な発言を戒める意味でも、自民党は党内のモラルと規律の徹底を行って欲しいものである。

 現在来日中のバッハIOC会長が、今日菅首相、丸川五輪担当相と会談し、明後日広島へ行き、原爆慰霊碑に参拝する。原爆被爆地をIOCの首脳が手分けしてコーツ副会長は長崎へ向かう。そのバッハ会長が昨日組織委員会を訪れ、橋本会長に対して日本人の安全というべきところを中国人の安全と語り、すぐ訂正はしたが、これがSNSで拡大し、会長の本心や真意をあれこれ詮索する声がSNS上に殺到している。訪問国滞在中にその国名を選りによって、間違え、しかも最も呼ばれたくない国名をテレビで流されるとは本人も反省しているだろうが、日本人にとってはあまり気持ちの良いものではない。IOC会長たるもの、もう少し慎重に発言すべきである。

 ついては、このところIOCの強引な言動が一部で顰蹙を買っている。バッハ会長の国名間違いへの批判もその裏返しではないだろうか。開催国がコロナで苦悩している実態をどこまで考慮しているのか、オリンピック開催一辺倒に対しては、反オリンピック、反IOC感情が根強くある。結果的に直近の菅内閣支持率が、昨年9月発足以来最低の水準33%に落ち込んだのも、コロナ対策の不十分さとオリンピック開催に拘り過ぎたせいではないだろうか。

 さて、今日広島高裁は、俗にいう「黒い雨」を被ったという原告団に対して全員「被爆者」と認める判断を下した。国が定めた保護区域の外に居住していた原告に戦後76年で漸く所謂被爆者と同じ待遇となる。但し、政府が最高裁へ上告の可能性は残されている。湯崎広島県知事は、厚労省が上告をしないよう望んでいる。ほとんどが高齢者であるこれらの人たちにこれ以上精神的負担をかけないようにしてあげるのが、「被爆者」への配慮ではないだろうか。

2021年7月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com