5173.2021年7月11日(日) 八木哲郎・知的生産の技術研究会会長を惜別する。

 5月21日に「知的生産の技術研究会」(略称:知研)創設者である八木哲郎会長が逝去された。長きに亘ってご交誼をいただき、数々の教えをいただいた。大変寂しくもあり残念で堪らない。

 ついては、知研の今後などについて若干気になることもあり、昨日知研の福島哲史氏にメールで、久恒啓一理事長にはCCで照会したところ、早々に福島氏よりメールを受け、理事長からは電話で直接お話しいただいた。

 知研に入会してかれこれ半世紀近くになるが、そもそも知研を創立したのは、八木会長の個人的に強い希望と熱意に依るものだった。当初八木会長が、梅棹忠夫のベストセラー書「知的生産の技術」に触発され、梅棹先生に直接ご了解を得て知研は創立され、発足することになった。爾来NPO法人としてアカデミックな分野で広範に、かつ深く勉強する機会を作り、多くの学識経験者、著名人らのご理解とご協力を賜り多くの知的好奇心に渇望した社会人、学生らにあらゆる勉強の機会を提供してきた。手元にある「知的生産の技術研究会のご案内」冊子の冒頭に会長が「~人生の前段では受験勉強、サラリーマンになって出世のために自己中心的なキャリアを積む。45歳を過ぎたら世のため、人のために知識を役立てねばならない。知研はそのための交流の場になるのが理想」と書いておられる。

 ただ、あまりにも知研への期待と希望が会長ご自身の中で強く、すべての業務をおひとりで抱えられた結果、いざ亡くなられてみると誰にも引き継ぎ業務がなされておらず、残された知研会員が戸惑うことになったことは事実である。いかに愛情が深く思い込みが強いとしても、これほど多くの人びとや組織団体とつながりを持つようになったら、補助、或いは業務引き継ぎ者が傍にいて、フォロー出来る体制を常に備えていないと、周囲が途方に暮れることになる。遅まきながらつくづく思い知らされた次第である。NPOとしての報告義務もあり、これから理事長も福島氏にとっても想定外の事務作業があるのではないかと思う。理事長もひとつずつ整理して、いずれ早い機会に全会員に現況と今後の方針を伝えたいと話しておられた。

 思い返すとこれまで知研では、拙い文章を会長に唆されて度々会報「知研フォーラム」誌に寄稿してきた。講演でもシベリア鉄道と今日のロシアや、社会主義国キューバ他についても話す機会を与えてもらった。他にも2008年韓国で行われた高齢者の福祉交流に関する国際シンポジウムに日本からただひとりのパネリストとして派遣していただき、多くのことを学ぶ機会を与えていただいた。普段のお酒を飲む機会を含めて、随分長いお付き合いになる。会長はご自分の後継者は特に望んでおられなかったようだが、これまでと同じように知研が再び活動出来るようになるまでは、私自身このままやや消極的ではあるが、知研を支えていければと願っている。

2021年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com