2576.2014年6月2日(月) 両陛下来年パラオへ慰霊訪問を予定

 NHK「ニュースウォッチ9」の中で、天皇・皇后両陛下が来年戦後70年を記念してパラオ共和国を訪問されると短く伝えていた。両陛下にとって中部太平洋海域では2005年にサイパン島へ慰霊訪問されたのに次ぐ巡拝となる。偶々8月に上梓予定のノン・フィクション「南の島の日系人大酋長の波瀾万丈」の中で両陛下のミクロネシア巡拝について触れた。その中でこんなエピソードを紹介している。両陛下がパラオ、ミクロネシア、マーシャルを訪問されると読売新聞に報道までされながら、結局すべて実現されず、その後にサイパン訪問が実現した。ススム・アイザワ大酋長は当時のミクロネシア大統領とともに天皇にお会いした時に、天皇が慰霊のためにぜひ中部太平洋を訪れたいとの篤いお気持ちを抱いておられることを感じ取ったようだ。

 残念ながら天皇のミクロネシア連邦訪問はいまだ実現せず、パラオに先を越されてしまった。ご訪問はいつのことになるか分からない。ミクロネシアの受け入れ態勢をハードとソフトの両面で考えるとそれも致し方ないと思う。人口がパラオの2倍もあるというのに、現状はパラオにすべての面で遅れている。大酋長が亡くなる2年前の2004年に、チューク州だけでも現在のミクロネシア連邦から離脱して独立国家とならなければチューク州は発展しないと遺言のようなメッセージを残した。大酋長の予言は案外当たっていたのかも知れない。昨年ミクロネシアを取材して、確かに現状では両陛下はもちろん、各国の王族の訪問を受け入れるには少々無理があるように思えた。

 天皇に慰霊のお気持ちがあり、天皇の健康が許されるうちに、何とかミクロネシアとマーシャルをも訪れてもらえるよう願っている。それが、中国大陸、フィリピンに次いで今次大戦で戦死者が多かった中部太平洋海域の英霊に対する償いにもなると思うからである。

 さて、明後日6月4日は中国天安門事件が勃発してから四半世紀になる。すでに中国官憲は政府批判やデモを警戒して厳しい警備体制を取っている。昨日香港で事件の犠牲者を追悼する民主派団体によるデモがあった。東京でもシンポジウムがあり、当時の学生リーダーのひとりで中国から逃れ台湾に在住する、懐かしいウアルカイシ氏が「今も中国に自由はない。民主化を求める活動を止めてはいけない」と訴えた。

 最近の中国の非民主的強権ぶりはエスカレートするばかりで、公安当局は言論統制や政治的な集会などへの取り締まりを強めるため、刑法の「故意に騒動を引き起こした罪」の解釈を拡大し、ネット空間を公共の空間として取り締まる方針に切り替えた。これにより、ネット通信で政府批判をすればすぐ検束される。明後日の都市周辺ではどんな形で共産党一党独裁政権への抗議が示されるのか、他人事ではいられない。

2014年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com