5084.2021年4月13日(火) 中国共産党による宗教統制

 いまアメリカに次ぐ第2の大国・中国に対する国際社会の非難が厳しくなっている。月刊誌「選択」4月号には、中国に関する手厳しい記事が下記の通り4章も掲載されているほどである。

 1.中国「台湾侵攻」は遠くない

 中国「宗教弾圧」がさらに狂暴化

 3.ロシアとの同盟を「拒否」した中国

 4.中国経済「虚構」の急成長

 それぞれに内容は興味深いが、2.「宗教弾圧」には驚愕している。あまりの中国共産党の酷い仕打ちには副題として「広がる冬季五輪『拒否』の声」が冠せられている。その中国の傲慢なやり方とは、5月1日を以て施行する国家宗教事務局令により世界の3大宗教である仏教、キリスト教、イスラム教、及び国内主要宗教の宗教活動を中国共産党が指導、監督するというのである。これは宗教の中国化を睨んで国内聖職者の任命権に踏み込むことで、宗教に対して厳しい統制を敷くことになるということである。

 カトリック教会では、ローマ法王庁が聖職叙任権を持っているが、新政令ではこれを全面的に否定している。イスラム教については、すでに新疆ウィグル自治区内に作られた強制収容所で思想改造を強制されている。新政令は国家の宗教弾圧に法的根拠を与えると見られる。不思議なのは、かつて中国は中国内の聖職任命権を主張したのに対してローマ法王庁は断固譲らなかったため、双方は1951年に断交した。それが3年前にお互いに「司教任命権で合意した」と発表し関係改善に歩み出した。ところが、司教は司教会議によって承認され叙階すると明記されているという。司教会議とは、中国側の官製団体であり中国当局の言いなりである。中国側があくまで承認権を持つということである。ローマ法王庁についてはまったく言及されていない。ローマ法王が中国に屈したというのが法王庁内の受け取り方である。

 実は、10年余前中国共産党は、約7千万人の会員を持った信仰宗教団体「法輪功」を暴力的に鎮圧した過去がある。中国国内では宗教であろうとなかろうと共産党に楯突くことは、敗北、壊滅を意味する。それにしても人間精神の安息所にまで入り込み、撲滅しようという神をも畏れぬ所業には、二の句が告げない。

 ここまで中国共産党と党主席の習近平を思い上がらせたのは、何が主たる原因だったのだろうか。学生や労働者、また貧しい農民は何が故にここまで習近平一派に抑え込まれてしまったのだろうか。いま再び天安門事件が起きないものか。経済的には確かに中国は表面的に発展した。GNPはアメリカに次いで3位の日本を上回る世界第2位である。しかし、人口で割った1人当たりのGNPは、日本の23位に比べても遥かに劣る世界第72位である。富や社会福祉が貧しい層にまで及ばず、貧困のツケは貧しい農民層にしわ寄せされている実態は、共産主義国家でもなく社会主義国家でもない典型的な帝国主義国家であり、覇権国家なのだ。

 アメリカのバイデン政権はウィグル族弾圧をジェノサイドと呼んで強く非難している。記事は新制度下の宗教弾圧は、国際社会との摩擦を一段と先鋭化しそうだと結論づけている。

2021年4月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com