5040.2021年2月28日(日) 「国会議員と知事はどちらが上位」の愚論

 最近ちょっと気になったことがある。丸山達也・島根県知事が、新型コロナウィルス感染拡大により発出された緊急事態宣言下に今年7月開催予定の東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーについて、唐突に不参加の検討を始めると政府、並びに東京都に対して抗議の意思を表したのだ。これに対して島根県出身の自民党竹下亘元総務会長が怒りを表し、知事に注意しなければいけないと述べた。それがこの問題に火を点けた。

 地方自治レベルの話は、国がとやかく言えるものではない。中央の国会議員が地方の首長である知事に対して部下に対するように命令調の話はおかしいとの批判的な声が挙がった。それはその通りである。知事の発言後テレビで最初にクレームをつけた森永拓郎・独協大学教授は、知事に対する竹下議員の発言は問題だと語った。確かに竹下議員の言い方は上から目線で強圧的な言いようであり論外である。しかし、それでは知事の発言の是非について問題にされないばかりでなく、論点がずれているように思える。ことはオリンピック開催が瀬戸際にある中で、その火付け役である47都道府県が参加する聖火リレーを知事の一存で不参加の意思表示をするのは、「木を見て森を見ない」の類ではないだろうか。発言する前に周囲の声や、常識に適った言い方があったのではないかと愚考する。聞けば、島根県は全国47都道府県の中でも一番感染者が少なく、死者がひとりもいない唯一の自治体である。他の自治体の気持ちはどうだっただろうか。

 それより何より丸山知事の思考経路には、現場の声を斟酌していない点が気にかかる。東京をはじめ、各県のオリンピック担当者は連日風前の灯となった東京五輪の聖火リレー成功のためのあの手この手を尽くしている筈である。知事の一方的な発言は、彼らに対する思いやりに欠けるのではないだろうか。むしろ、高給官僚から地方のトップに立ったエリートの不遜な対応は些か目に余る。実際、県民の間には、「全国で盛り上がっているのに水を差すな」「知事の政治的パフォーマンス」「(島根県で)飲食店への給付金が支給されない不満を聖火リレーに転嫁している」との声もある。

 一番気になるのは、多少名を知られた人物が、実態を充分知らないくせに論点をすり替え政府が地方を下に置いて無理難題を吹っ掛けるのは許せないと、無責任に正義漢ぶることである。中央政府も地方自治体もまずは現場の実態と空気を知ることであり、そのうえで尽くすべく手を尽くしてもらいたいものである。

 今日行われたびわ湖毎日マラソンで鈴木健吾選手が、2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。日本人で2時間4分台で走った選手は、鈴木選手が初めてである。残念ながら、びわ湖毎日マラソンは日本のマラソンでは一番古く伝統のあるレースだったが、大阪国際マラソンに統合され、今年が最後となった。「びわ湖毎日マラソン」の名と伝統を日本記録とともに後世に伝える良き置き土産になったのではないかと思う。

 さて、今日は少々腰の周辺に不安を感じながらもいつも通り駒澤公園へウォーキングに出かけた。公園の片隅の河津桜は見事に花を開かせ今や満開だった。我が家の庭の白梅もほぼ満開で、今日はメジロ、うぐいす、名をしらない小鳥がやってきたが、どれも美声を聞かせてはくれなかった。いよいよ明日から春3月だ。

2021年2月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com