4911.2020年10月22日(木) アメリカ軍駐留経費増額のゴリ押し

 先日来日したアメリカのエスパー国防長官が、昨日アメリカのシンクタンクで講演した。だが、その講演内容は同盟国に対する身勝手な要望を語って、同盟国というより支配国に対するアメリカの一方的な押し付け希望だった。

 まず、すべての同盟国に対して防衛費を国内総生産(GDP)の2%以上にするよう求めたというから余計なお世話と言いたい。その理由として極東地域で中国やロシアからの攻撃に対してアメリカが防衛する安全保障へのアジア諸国のただ乗りは認められないというものだ。極東地域の防衛は、間違いなくアメリカが主導している。だが、それは中国やロシアが攻撃してきた時にアメリカが防御、かつ攻撃をしかけないと他のアジア諸国では太刀打ち出来ないからアメリカが国策によって防衛体制供与の防衛計画の下に防備体制を固めているのである。当然アメリカにとっては相当の費用が掛かる。そのアメリカの主体的な費用を分担して人件費も含めて当事国も負担すべきであるとのアメリカの言い分である。そしてアメリカでは国防費が厳しくなってきたので、アメリカが対中、対ロをにらんで極東地域に展開している防衛体制をこれまで通り維持、管理する費用を当事国にも負担せよというものである。そのためには、GDPの2%を防衛費に注ぎ込めと主張しているのだ。

 アメリカは北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対してもGDP比2%以上の防衛費を求めてきた。エスパー長官は、現在同盟国の中で2%以上の防衛費を計上している国は9カ国に増えたという。アメリカは、自国の防衛費を軽減するために駐留国に対しても経費の負担増額を次々要求している。韓国に対しては駐留米軍経費の現在の5倍近い負担増額を求めて、話し合いが中々まとまらない。日本に対してもかなりの増額を求めているが、防衛費がGNP比0.9%の日本の財布からはそんなに駐日アメリカ軍への思いやり予算なんて出せるわけがない。

 問題は、アメリカは一方的に日本に米軍駐在日負担増額を要求しているが、日本政府こそアメリカ政府に対してヨーロッパの駐留米軍に比べて負担の多い日本の立場と事情を率直に伝えるべきである。アメリカの押しつけがましいやり方は、他の分野でも露骨に見られる。日米不平等条約と揶揄される日米地位協定によって認められた在日米軍人の有利なアメリカの言い分だけが、認められたような条約や、集団的自衛権を前提とした双務的体裁の採用が罷り通っている。

 高額な防衛機材の購入を押し付けたり、日本の民間航空機の空域を狭めたり、アメリカ軍人の治外法権を認めたり、我々が学生時代だった1960年に反対した日米安保条約は、当時懸念したように今や日本にとって迷惑千万なことが多過ぎて、大きな重荷になっている。安保条約は、日本とアメリカ双方が日本および極東の平和と安定に協力することを表面的に規定したものであるが、「極東の平和と安定」に資するということは、それが軍事面であるとするなら明らかに憲法に抵触している。

  日本政府は、日本憲法の精神、趣旨、目的を説得してアメリカ政府にそれを無視するが如き言動を慎むよう明確に説明すべきである。

2020年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com