4904.2020年10月15日(木) アブ・シンベル神殿とスエズ運河

 一昨日の深夜NHK・BSテレビで2つの興味深いドキュメンタリー番組が放映されたが、今日その録画を観た。ひとつは「アナザーストーリーズ『ダムに挑む神殿を救え!』」で、副題を「巨大遺跡‘引っ越し’大作戦」と題していた。もうひとつは「世界のドキュメンタリー『スエズ運河 メガ建築の大拡張』」というものだった。

 前者は、世界遺産「アブ・シンベル」がアスワン・ハイダム建設によって水没するのをユネスコの協力を得ながら、1エジプト人文化科学者が費用面と技術面で奔走して移築に成功したドキュメントである。印象深かったのは、私自身初めて訪問して洞窟の内部に入った時、ガイドが移築のずれで1年に春分と秋分の2度、太陽の光が正面奥のラムセス二世像の顔面に当たるところが、僅かにずれてしまったと説明していた。だが、番組ではお彼岸とは言わず、日時が本来の日時より1日遅れて2月22日と10月22日になってしまったと、さも残念そうに言っていたことである。いずれにせよ古代エジプトの世界遺産には、格別な文化的意義と価値があるように感じている。

 後者は2016年フランスのドキュメント作品である。地中海沿岸のポートサイドから紅海のスエズまで190㎞の運河を拡張する工事を2014年に始め、1年後に開通させた時の大プロジェクトである。運河の河幅を広げ、掘削して底面を深くし、更に一部上下線に複線化して交通量を大幅に増加させた。今では1年に1万8千隻もが航行しているという。スエズ運河を航行する船上から見る景色が頗る気に入った。

 1967年末にスエズ運河を訪れた時は、第3次中東戦争直後で空爆により運河は爆破されて、再び開通した1975年まで運河は閉鎖されていた。今では運河は大幅に拡張され、交通量も飛躍的に伸びて、スエズ運河の交通量は世界海上交通量の8%を占め、その航行料収入がエジプト国家財政の内3番目の収入源となっている。思い返すと私が訪れた時は、スエズは戒厳令下で街はひっそりとして外国人は滞在許可証がなければ、訪れることが出来なかった。そんな時に無許可でカイロから列車でやってきて警察仮施設に身柄を拘留されてしまった。こっそり警察仮施設から抜け出し街を歩いて波止場まで行き、クレーン船が沈んだ現場を茫然と眺めていたことが懐かしく想い出される。この警察仮施設から脱走した事件については、近々「はるかぜ書房」から上梓する拙著「八十冒険爺の言いたい放題」に、カイロを列車で出てからスエズに1泊して再びカイロへ戻って来るまでの鼠小僧治郎吉的体験記を書いている。

 2つのドキュメント番組は、特に現地で斬新な体験をしただけにとりわけ興味深かった。

 さて、47都道府県の中で最も魅力のない県として、過去7年間茨城県は最下位の常連だった。この汚名から何とか抜け出さんと茨城県は、官民一体となり脱出作戦「いばらきビリ県脱出連携会議」に取り組み、その甲斐あってか今年は42位に躍進?した。独自に涙ぐましい努力を重ねてきた成果が発揮されたわけである。県知事は、茨城県にはまだまだ魅力がいっぱいあると更なる上位進出を期待しているようだ。替わって最下位県に落ちたのは同じ関東で日光という観光地を抱える栃木県だった。ビリから上位に栃木県、徳島県、佐賀県、福井県、茨城県となっている。その一方で魅力度ランキング1位は北海道、以下京都府、沖縄県、東京都、神奈川県となっている。誰だって魅力ある自治体に住みたいだろう。私自身これまで居住したのは、東京都(4位)、兵庫県(12位)、神奈川県(5位)、千葉県(21位)、京都府(2位)だったから、まずまず魅力的な住環境にいたことになろうか。

2020年10月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com