4898.2020年10月9日(金) イギリスの科学誌‘Nature’から批判された菅首相

 今日も寒い。加えて台風14号が接近しているため、朝から雨が降り続いている。今日の東京都内の最高気温は15.3℃だった。

 「政治の学問の自由への介入」と指摘された「日本学術会議推薦会員任命拒否」問題が、相変わらず騒がれ収束しそうもない。菅首相はこの問題で「法に基づいて内閣法制局にも確認のうえで任命している」とか、「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と語っていたが、政府の方針に楯突いたと見られた6人が拒否されたことは間違いない。日本学術会議の元・現会長らも政府に説明責任を求めているが、政府は踏み込んだ説明をしようとしない。国会周辺では拒否された学者も含めてデモが繰り広げられている。

 1983年中曽根元首相が、当時形だけの推薦制で推薦された人は拒否しないと語っていたが、知らぬ間に内閣府は18年11月に「首相は人事を通じた一定の監督権行使ができる」と文書に明記していたことが判った。政府の言い分は整合性に欠ける点があり、きちんと説明すべきであろう。

 そんな折も折イギリスの週刊科学雑誌‘Nature’10月8日号が、トランプ大統領をはじめ世界中の政治家が科学的根拠を無視したり、貶めたりする例が相次いでいると同誌社説で厳しく批判した。その中で菅首相が日本学術会議の6人の科学者を会員に任命しなかった問題にも触れ、政治家が学問の自律性や自由を守るという原則に反発していると訴えた。「国が学問の独立性を尊重するという原則は、現代の研究を支える基盤のひとつ。政治家がこの約束を破れば、人々の健康や環境、社旗を危険にさらす」とも警告している。こうまで言われては、菅流弁舌も立つ瀬がないのではないか。

 さて、地味で静かに潜行しながら問題になっているのが、現在の大阪府を大阪都にする「大阪都構想」問題である。政令指定都市の大阪市を廃止して4つの特別区に再編することにより、大阪府と大阪市の二重行政の無駄を排除することを目的としている。すでに2015年に1度提案され住民投票にかけられたが、市民から賛成を得られず否決された。大阪を東京に匹敵する大都市として世界的に売り込みたい大阪維新の会は、5年前の屈辱にも懲りず、11月1日2度目の決戦に挑む。都構想を推進しようとしているのは、大阪維新の会の松井一郎・大阪市長、及び吉村洋文・大阪府知事でしきりにPR活動を行っている。

 自民党は都構想に賛成しているが、他の野党は悉く反対している。中でも日本共産党と立憲民主党の他に、菅政権与党の公明党がかつては賛成だったが、今では強く反対している。そこには、都構想により反って大阪市にサービスの低下、不利益がもたらされると大阪市民の腰が引けているからである。都構想では、現在大阪市内の24区を4区に整理し、二重行政をなくし自治体職員を減らすということが大きな狙いである。これによって住民サービスが低下する点が懸念されている。特に、市民病院が整理・統合される他にも、老人福祉センターが26か所から18か所へ、市民プールが24か所から9か所へ、スポーツセンターが24か所から18か所へ減らされることが市民に不安を与えている。このコロナ禍の中にあって、府知事と市長は実現に熱中しているが、大阪が今抱えているコロナ問題は深刻であり、都構想のイメージが湧かない市民にとっては気持ちが入らない。地方都市の問題であるとも言えるが、大阪が大都市であるだけに他の政令指定都市からも注目されている。

2020年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com