世界的に物騒で油断のならない時代になったものである。シリア国内の「イスラム国」勢力地域に対してアメリカは、中東5カ国の支援を得てついに空爆に踏み切った。同じような空爆はイラクでは1カ月前に始まっている。どうも今ひとつはっきりしない「イスラム国」の存在と実態だが、地域的にはシリアとイラクの国境線を乗り越えて一方的に国家を建設したことを国際社会に向けてアピールしている。このアメリカのシリア攻撃に対して、「イスラム国」も残忍なリベンジを指令した。アメリカとその連合国である、フランス、カナダ、オーストラリアなどの市民を殺害しろと考えも及ばないことを言いだしたのである。
シリア攻撃に対してロシアとイランは反対していた。だが、これまでやや及び腰だったアメリカは、自国民が公衆の面前で殺戮された「イスラム国」の非業な仕業に復讐するかのように、慎重にして思い切った行動に打って出た。これで報復合戦になり、地域の戦いが拡大し、仕返しが繰り返されるだろう。
振り返ってみてかつてのベトナム戦争時の殺し合いよりも陰険で、残虐である。嫌な時代になったものである。
今日はもうひとつ好ましくないニュースを耳にした。中国の少数民族・ウィグル族出身で中国政府の少数民族に対する弾圧に抗議していた、民族学者イリハム・トフテイ氏に対して無期懲役、かつ全財産没収という厳しい判決が下された。トフティ氏はウィグル族のために民主化活動を行っているが、新疆ウィグル自治区の中国からの独立を主張しているわけではなく、ウィグル族の人々にもっと民族の自由を与えよと言っているに過ぎないのだ。トフテイ氏は当然ながらこの判決文に対してすべて否認している。
この非人道的な判決に対してアメリカは、単に政府に対して批判的な言動をしただけで、国家分裂を図ったと重罪判決を下したことを非難している。元々共産国家中国には言論の自由はないが、気に入らない反政府的な発言をする人物には中国政府は有無を言わせずしょっ引いて、厳罰で処する。
これでは他国の民主化や、自由について真っ当な意見を述べる資格はないのではないか。