4813.2020年7月16日(木) 公文書改ざん訴訟の行方

 森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強制されて悩んだ末に自死した近畿財務局元職員の妻が、国と佐川宣寿・元理財局長に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が昨日大阪地裁で開かれた。真実を知りたいと意見陳述した原告に対して、国と佐川氏は請求棄却を求めて争う気持ちがないようである。だが、豊中市内の国有地を森友学園へ売却した経緯を記した公文書から、森友を優遇したと記載した文言を削除して改ざんしたことは間違いないようで、国は何とかこの事実に蓋を被せようとしている。現状で妻が事実の解明を迫っても、政府は一度調査済と公表している以上原告から要望が出ていようとも再調査の必要がないとの立場を取っている。どこまで新たな事実が浮かんで来ようとも、政府は徹底してシラを切るつもりだろう。

 一度は、国へ対して改ざんを拒否した近畿財務局の上司も、政府に抵抗し切れなくなって改ざんに同意したが、その時の上司には良心がないのだろうか。結局トカゲのシッポ切りのまま終わってしまうのだろうか。

 さて、アメリカ国内で人種差別問題や、コロナウィルス感染拡大で苦しい立場に陥り、対外的な発言を抑えていたトランプ大統領が、11月の大統領選を意識して、久しぶりに中国に警告する大統領令に署名した。香港の「1国2制度」を蔑ろにする中国政府の国家安全維持法施行に対して、香港に与えてきた優遇措置を撤廃するというものである。併せて、新たな制裁を課する香港自治法案も成立させた。国家安全維持法の制定や香港での抗議デモ弾圧に関与した政府当局者に対して、資産凍結やアメリカへの入国制限を課するものである。

 このアメリカの対中戦略と同時に、イギリスも拘束通信規格「5G」網から中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」を排除する方針に転じた。

 中国が警戒しているのは、これにより反中国の動きが広まることである。アメリカ主導の中国封じ込めが国際社会に広がり、孤立することである。中国は、それを読み込んでアジアを中心に切り崩しを図っている。今年1~6月の貿易統計によると、コロナ禍にも拘わらずASEAN諸国との貿易額がプラスを維持した。そこにはこんな背景もあったようだ。

 6月に開催された国連人権理事会ではイギリスの呼びかけで国家安全維持法への懸念を示す共同声明に27カ国が賛同したが、アジアではそれに加わったのは日本だけだった。中国との強い絆のカンボジアをはじめ、中国との経済協力を強化したいシンガポールやタイは同調せず、韓国ですら対中関係を重視して応じていない。中国は中々にしたたかであり、中国との対応は中々難しい。

 今日中国の国家統計局が今年4~6月期の国内総生産(GDP)が3.2%増だったと公表した。それによれば、1~3月期にコロナの影響で対前年▲6.8%と統計開始以来最悪の数値を示した。どこまで本当か分からないが、徹底したコロナ対策により感染は下火となり経済の再開が進展してプラス面に貢献したという。今日東京都の感染者は過去最大の286人で、全国で613人だった。ところが全中国で昨日の感染者が僅か20人だった。どうも俄かには信じがたい。日本はもとよりアメリカでもコロナ対策にてんやわんやの中で、コロナ発生国である中国がコロナを克服して経済が成長軌道に乗ったとは、中々理解しがたい。困ったことにそれほど中国という国は全体像が分かり難い。

2020年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com