4743.2020年5月7日(木) 近代経済学に沿わないMMT学説

 自民党の若手衆議院議員有志グループ「日本の未来を考える勉強会」が、新型コロナウィルスで戦っている国民を支援するために今年度第2次補正予算を組んで100兆円の財政出動をすべきであると提言した。一般会計予算とほぼ同じ巨額である。これに対して3日の本ブログで赤字予算を組む以上財政健全化の建前から今後補正予算額をどう補填すべきかの論点が欠けているのではないかとの趣旨を書いた。

 それに対して高校の友人から財政出動すれば景気拡大につながるので、それほど気にする必要がないと言ってきた。そういう学説があると教えてくれた。それでは財政健全化はなし崩しになるのではないかと逆に尋ねたところだ。しかし、それでは近代経済学には適わない。その学説はアメリカに生まれたMMT(Modern Monetary Theory、「現代貨幣理論」)というセオリーで、それはインフレさえ招かなければ財政出動は景気を拡大させるので効果的だということらしい。どうもそのまま素直に理解出来ないが、友人に依れば、これまでの考え方とは矛盾する理論だがヨーロッパでも注目を集めているという。以前にそれに似た新聞記事を見たことを想い出し、その切り抜きを探したところ運良く切り抜きを見つけることが出来た。昨年7月に朝日朝刊に掲載されたコラムで、こんな理論は受け入れられないだろうとあまり真剣には考えなかった。それが図らずも友人の拙論への疑問から改めて調べてみることになった。

 しかし、このMMTは国家が多額の財政出動で社会保障や公共投資などを行っても日銀が財政赤字を気にせず、国債を引き受けてもらい通貨を発行することが出来るので問題がないという論旨で、従来の財務省の見解とは真っ向から対立するものである。このまま国の借金拡大が止まらず、通貨の信用が落ちて物価が急上昇してインフレになったらどうするのかとの疑問が拭えない。どうもこのインフレがMMTの難点のようだ。現状ではMMTはどう考えても納得し難い。

 久しぶりに近代経済学の理論に触れる機会があったが、やはりMMTはおかしいと思う。家庭でもそうだが、現金が足りないからと言って無駄遣いばっかりしていたら家計が破産しないわけがない。もう少しいろいろ資料を加えて説明してくれないと現状ではMMTには首を傾げるだけである。

2020年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com