不思議なことがあるものである。普段から購読新聞の連載小説を楽しく読んでいる。私の場合、朝日と日経を購読しているので、朝刊と夕刊を合せて4つの連載小説に日経の「私の履歴書」を読んでいる。そこへ朝日が4月から夏目漱石の「こころ」を連載した。そしてそれが終わると10月から「三四郎」が始まったのでほぼ半世紀ぶりに再読していることになる。つまり、これで一日に6つの連載物を飽きずに目を通しているわけである。
ところが朝日夕刊小説の連載で奇妙にして摩訶不思議なことが起きた。9月に小説の連載が終わり、次の連載小説として道尾秀介の「口笛鳥」の予告があった。そのまま放っておいたらいつの間にか、道尾の連載とは別の小説が連載されている。片岡義男の「豆大豆と珈琲」が始まっていたのである。慌てて追いかけるようにこれを読み始めたところ、あっという間に終わってしまった。新聞連載小説でありながらたったの27回連載の超短編で昨日幕を閉じてしまった。煙に巻かれたまま、4日から漸く予告の「口笛鳥」を読むことになっている。
どうでも良いことであるが、依然として何が何やらさっぱり分からず、夢遊病者のようにして明後日からの第1回目に立ち向かうことになる。それにしても大新聞も読者をかどわかすようなことをよくもやってくれるものである。