一昨日辺りから日本列島南方海域を台風が通過しつつある。晩秋の今頃になってもまだ台風を心配しなければならないのかと思うと少々鬱陶しい。それがどういうわけか、台風はご遠慮願いたいところだが、日本にとってグッドタイミングで中国船にとって厳しいお仕置きになったのである。今この時期に小笠原諸島と伊豆諸島周辺海域で中国の密漁船の大群が屯して日本領海内で密漁をしようとやって来ている。海上保安庁は無線で彼らに台風の襲来を教え、南方洋上へ逃れるよう警告とともに気象情報を提供している。
中国の密漁船がここへ来て脚光を浴び出したのは、急激にその数が増加したからである。最近になって日本近海、それも赤サンゴの獲れる世界遺産・小笠原諸島近海に出現して貴重な赤サンゴを盗猟し始めた。それまで見られなかった中国船が、突然現れてそれは日に日に増え、今では毎日小笠原周辺海域に200隻を超える錆ついた中国船が出没している有様である。
卑しくも他国の領海内へ無断で侵入し、日本船がいない、そして警戒が緩いことを良いことに喉から手が出るほど欲しい赤サンゴを根こそぎ取りまくるという泥棒根性には呆れかえるばかりである。日本は海底資源保護のため、捕獲が規制されている。日本では自国の自然資源でさえ獲ることができないのだ。それが彼ら中国人漁師は日本領海内でやりたい放題の横暴ぶりだ。中国船が日本領海へ侵入を始めたのは、赤サンゴが中国国内で高い値段で取引されているうえに、中国領海内では赤サンゴの捕獲が禁止されているからである。自国で厳しい処分を受けるなら隣国の物をいただこうとの虫の好い言い分は、分からなければ、また捕まらなければ構うまいとの強欲主義の利己的典型である。彼らは禁止されている自国内領海より、警戒の緩い外国の宝物を掠め取った方が得策だと道徳心なしに、他国を荒らしまわることを是としている。確信犯なのだ。加えて中国政府は日本政府から注意喚起があるにも拘わらず、見て見ぬふりをして日本政府は適切な対応を取ることを望むとの他人事のようなコメントを出したり、世界でも稀にみる中国人らしい、自分だけが正しいとする手前勝手な公式見解を打ち出している。孟子や孔子も冥界でさぞや嘆いていることであろう。
この中国船の阿漕なやり方に対して、普通なら中国国民の中から泥棒行為は止めようと自制的で、常識的な声が上がる筈である。にも拘らず中国国内からは絶対このようなまともなコメントは出てこない。日本海域で自国国民が日本の財産を強奪するような、自国にとって不利に思われるような行為を国民に知らせることを国家が禁じているから、国民はこの悪行を知らないのである。こうして、中国政府とそれに引きずられている中国国民は、よどみなく悪事を重ねていく。国家と国民が手を取り合って一日一日劣化している。こうなっては、もう救いようがないとしか言いようがない。