4612.2019年12月28日(土) 自衛隊の中東海域派遣を閣議だけで決定

 政府は昨日唐突に海上自衛隊の護衛艦と哨戒機を中東海域へ派遣することを閣議で決定した。アラビア海域を航行する日本の船舶の安全を確保するためとの名目である。近年なし崩し的に行われている自衛隊の海外派遣の一環であり、有志連合の呼びかけを断った安倍首相のトランプ大統領への忖度がある。今回の派遣は、「調査・研究」が目的とされている。「調査・研究」が目的なら防衛大臣の命令だけで実施可能とされ、国会承認も必要ないとされている。しかし、目的の「調査・研究」とは何のための「調査・研究」なのか、きちんと説明してくれなくてはまったく分からない。派遣決定を国会承認なしに決定するための隠れ蓑ではないかと邪推したくなる。現状では審議を忌避するための「調査・研究」ではないかと首を傾げざるを得ない。

 去る7月にアメリカが有志連合への参加を同盟国に提唱し、日本にも参加を呼び掛けていたが、日本は友好関係にあるイランへの配慮や、有志連合加盟の法的根拠がないことからアメリカの誘いを断っていた。このアメリカの有志連合呼びかけは60カ国になされたが、僅かイギリスを含む6カ国しか応じなかった。

 つい1週間前に来日したイランのロウハニ大統領に対して、安倍首相が事前に日本の計画について耳にいれていたことと、自衛艦が展開するアラビア海域はイラン沿岸のペルシア湾やホルムズ海峡とも離れていることから、イランは日本に対して特に厳しい見方をしていない。

 一方、アメリカは、本音はともかく自衛隊の独自派遣について一応歓迎の姿勢を示している。

 問題は、前記のように国会の審議を経ないで自衛隊が海外へ派遣される大事を閣議決定のみで認めることが出来るという点である。しかし、「調査・研究」が目的であると曖昧な理由をつければ、いつでも自衛隊海外派遣が出来るということでもある。こんな好い加減な法律解釈で、戦争に最も近い行為が安易に行われるというのは、ちょっと危険ではないだろうか。考えるとぞっとする。

2019年12月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com