4517.2019年9月24日(火) 愕然! トーマス・クック社破産

 今朝の新聞の見出しを見てびっくりした。「『世界最古の旅行会社』破産、大混乱」とある。イギリスの老舗トーマス・クックグループが昨日裁判所に破産を申請し手続きが始まった。トーマス・クックと言えば、旅行業界人のみならず多くの人に知られた歴史と伝統のある企業である。何とトーマス・クック氏が会社を創立したのは1841年というから、日本では老中水野忠邦が天保の改革を行った年である。トーマス・クック社は今日では、ホテル、鉄道会社、航空会社まで経営する多角的企業である。従業員数は今や2万1千人を数え、1年間の顧客数はざっと2200万人と言われている。我々にとっては理想的にして憧れとも言える旅行会社だった。それにしてもこれほど歴史のある大企業がどうして破産にまで追い込まれてしまったのか些か理解に苦しむ。こんな事態に追い込まれるまでに国や自治体、大企業が、何とか支援の手を打てなかったのだろうか。

 その最大の原因は、昨今の他社のネットによる予約によって顧客を奪われたことによるようだ。確かに近年の旅行予約事情は、我々のころと大分様変わりしたようだ。トーマス・クック社は、パッケージ・ツアーを開発し、その企画が受けており、それほど大きな誤算があったわけではない。しかし、ネット専門の旅行会社が台頭して来たうえに、個人で直接宿泊を予約するようになってから大きな打撃を受けた。なぜここに至る前に対策を打てなかったのか、不思議であるし、残念である。これだけの大企業であり、社員の中に絶対倒産しないとの油断と甘えがあったことは間違いない。トーマス・クックと言えば、イギリスを代表する企業のひとつであり、破産は忍び難い。

 それにしても旅行会社がネットで先を争うような営業展開をやっているようでは進歩とは言えない。やはり旅行会社は自社ならではの個性的でハイ・クオリティの企画商品を作り、企画力と販売力で勝負しなければ旅行会社としての力は備わらない。トーマス・クック社の破産はあまりにももったいないし、イギリスにとっても国家的損失であると思う。

2019年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com