4503.2019年9月10日(火) 元文科省事務次官・前川喜平氏の教育論

 所属するNPO法人JAPAN NOW観光情報協会の定期「観光立国セミナー」が、いつも通り麹町の海事センタービルで行われ、久しぶりに参加した。今日の講師は、元文部科学事務次官の前川喜平氏で、森友学園・加計学園、いわゆるモリカケ問題で注目された。官邸から睨まれ、天下り先を斡旋してもらえず、現代教育行政研究会代表としてツィッターで「右傾化を深く憂慮する一市民」と称してネット上で激しく安倍批判を繰り返している。

 「生涯学習の課題」をテーマに2時間に亘って教育の本質に関わる話を分かりやすく展開された。前川氏は憲法によって保障された教育の機会均等について、それは国民の権利というより、国家の義務であると述べられた。また、日本に住む人にはすべて年齢、国籍を問わず国が義務教育を供与する義務、というより無償普通教育の機会を与える責任があるとも話された。国民にとって学ぶことは将来自分にとって役立つものだということを思わせるようでなければいけない。そして、学んだ知識が身に付かなければいけない。教師はもちろん、生徒も学校を卒業してもいつまでも学び続けることが重要であると結ばれた。

 かつて、小学生のころの国語は、「読み方」と「綴り方」とに分けられ、「綴り方」は書くことを重視していた。それが今も作文を書く上で役立っていると考えているが、今日国語ではそのような仕分けがなく、少々書くことが疎かにされていると思う。それがスマホの悪影響もあるが、若者が今日まともな文章ひとつ書けないような実態となっている。このために文科省としては「綴り方」を復活させる気持ちがないかと尋ねたところ、文章力を身に着けることは大切なことだが、それは他の科目の中でもその気持ちさえあれば出来るとの回答だった。本当にそうだろうか? もう少し若いうちから、国語教育の中で文章を書く機会を作り、指導者が上手に指導するようなことを考えないと文章力は中々身に付かないと思うのだが・・・・。

 それより今度学習指導要綱が改定されるが、それによれば小学校で英語が必修となる。小さい時から英語に慣れることは確かに必要であるが、今は現場の反対が強い。前川講師はそれ以上に現状は英語を教える教師が不足していると言っておられた。どうも十分な態勢を整備しないで見切り発車をしたら、ことが教育問題だけに取り返しがつかなくなる。まだ小学生に英語は早いと思う。

2019年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com