4354.2019年4月14日(日) 中国はなぜアジアで嫌われるのか?

 最近中国とフィリピンの間がぎくしゃくしている。両国間には中国の経済的な支援もあり、近年は大きな問題がなかった。特にフィリピンの南沙諸島周辺に中国が埋め立て工事を行って人工島を造設し、軍事基地化した。今では中国軍の軍事拠点化して界隈に目を光らせている。それに対してフィリピンのドゥテルテ大統領は、自国民の間にわだかまる反中感情を封印してきた。それがここへ来て南沙諸島周辺の自治体が、中国の漁船が操業していると抗議した。これまで中国に対して気を遣っていたフィリピン政府も、一昨年ごろから従来の対中姿勢を一転して改め、中国に対して厳しい態度を示すようになった。

 フィリピンへの経済支援は主にインフラ整備のための公共工事であるが、多数の中国人労働者がフィリピンへ流入していることから労働市場への貢献が少ない。これはアフリカ諸国における中国の経済支援の一環として行われてきた公共工事などでも同じである。中国本土から労働者を連れて来て、アフリカ人を雇わないで工事を行い、アフリカ諸国の労働市場拡大にはほとんど寄与していない。そんな点が問題視されたが、中国側は一切自らの方式を代えようとはしていない。そこへ最近の中国船問題が反中感情に火をつけた。中国政府はこれに対して開き直り自己弁護しているが、両国関係は悪化するばかりである。

 中国をめぐるトラブルは、ベトナム海域でも起きている。西沙諸島周辺ではベトナムの漁船が中国船によって沈没させられたり、ベトナム海域で違法操業をしていた中国漁船が警告に従わず、ベトナム側が高圧放水で撃退するような事件もあった。

 中国との関係が近ごろ悪くなった国は他にもある。それは台湾である。最近中国と台湾の関係が緊張状態となっている。両国の間を隔てる台湾海峡の空・海で危険な動きが見られる。中国空軍機が両国中間線を越えて飛行したり、アメリカ艦隊が台湾海峡を繰り返し通過していることが両国軍事関係者の神経を尖らせている。中国に対する台湾国民の感情は、決して芳しいものではない。中国が求める「一つの中国」に対する反感が強いからである。そのせいであろうか、来年の総統選を控えてアメリカ寄りに傾斜して中国に厳しい姿勢を示している蔡英文現総統の支持率が徐々に上がっている。1月に行われた世論調査では従来の支持率24.5%に過ぎなかったが、僅か2ヶ月の間に10ポイントも上がり、34.5%になった。これも中国と合流すれば、大国中国に飲み込まれてしまうと考える台湾人が増えたせいだと思う。「一帯一路」政策で周辺諸国のみならず、イタリアまで虜にしたが、今になって当初恩恵を受けた国々がそのマイナス面に気が付いたようだ。

 これだけアジアで警戒され、嫌われるようになった中国は、これからいかなる手を打ってアジアの国々との友好関係を再構築し、更なる経済発展を遂げようとしているのだろうか。

2019年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com