4325.2019年3月16日(土) 駐留アメリカ軍への過重な経費負担

 このところ日本国内に駐留するアメリカ軍に関する難しい問題が、各地域に持ち上がって来て関係自治体を大いに悩ませているようだ。これはアメリカ軍だけの問題ではなく、当然日本政府がアメリカ政府、並びにアメリカ国防総省と話し合った末に持ち上がって来た問題である。

 第1の問題は、沖縄県住民投票の結果、投票者の7割以上が反対した辺野古移設地埋め立て工事が、その後の調査で軟弱地盤であることが判明し、そのため改良工事を更に海底の基盤を固め、そのうえ3年8カ月間工期が伸びるとされ、巨額の追加投資も強いられることが判明した。

 第2の問題は、防衛省が配備を計画している陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、配備が計画されている山口県萩市、及び秋田市で電波を発生させる実測調査を行った。集まった周辺住民から対空レーダーの電波の強さを心配して質問が出されたが、担当者からは答えられないと言われるばかりだったという。これでは住民が心配して不信感と疑念を持つばかりである。恐らく政府、防衛省はこのまま住民に誠実に応えることはないだろう。

 「民意に沿って」「民意を真摯に受け止める」と言いながら、辺野古移設問題でも県民投票の結果に反して、強引に「決めたことは進める」と民意を受け入れようとしない傲慢な姿勢と同じ対応を取り続けるだろう。

 第3の問題は、アメリカ軍駐留経費負担である。1978年に政府が在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部を日本側が負担すると決めたことから、以後誤用された言葉「おもいやり予算」として当初62億円を負担したが、今やこれが1年に約2千億円と言われている。更に今日では在日米軍関係費用も負担して年間約6千億円の巨額の負担に上っている。これは他の同盟国に比べても突出したアメリカへの厚遇である。

 アメリカ国防総省が発表した古い記録(2002年)ではあるが、その当時日本が負担した米軍駐留経費は、他の同盟国のそれと比較しても圧倒的に多いことが分かる。例えば、日本は米軍駐留経費(74.5%)を負担してその経費は44億1,134万$だった。これに対して他の同盟国は、ドイツ(32.6%)の15億6,392万$、韓国(40.0%)の8億4,311万$、イタリア(41.0%)の3憶6,655万$である。いかに日本が突出して米軍駐留経費を負担させられているかが歴然としている。このほかしばしば問題となる日米地位協定の不利な協定がある。基地外の米軍兵による犯罪であっても日本には司法権、つまり裁判権も認められていない。以上の実情に鑑みて、苦しい財政状況と国民感情を考え、駐留米軍経費の改定、負担増についてアメリカに対してもう少し説明、説得して日本の言い分をアピールするべきではないか。

 いずれにせよ、安倍政権はトランプ大統領の言いなりである。これから日米貿易交渉が始まろうとしているが、それは赤字増大に悩むトランプ政権が、日本に有利な貿易市場をもう少しアメリカ有利に日本政府へ圧力をかけようとするもので、これに後ろ向きでは益々アメリカに譲歩する条件を与えることになる。

 日本政府は日本国民に負担を押し付けることばかり考えずに、アメリカ政府に対してもっと主張すべきは主張するのが日本政府にとって喫緊の課題であり、責務である。

2019年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com