4306.2019年2月25日(月) 沖縄県民投票の結果はどう反映されるのか。

 気になっていた昨日実施された沖縄県民選挙の結果が判明した。民意を問う県民選挙が実施されるのは、1996年以来実に23年ぶりのことである。結果は米軍基地辺野古移設工事に対する「反対」の声が圧倒的に多かった。72.15%の有権者が工事に反対票を投じたのである。工事反対派が強く工事の中止を求めていた結果が、県民の民意としてはっきり票に表れた。この結果をデニー玉城知事は、安倍首相とトランプ大統領に報告する。投票前から安倍首相ら官邸は、そっけない態度で結果に関係なく工事は粛々と継続するとして、政府としての見解を表示することはしなかった。前以て反対派が多数を占めることは、昨年9月に行われた県知事選挙で玉城知事が圧勝した結果から見て予測していたことであろう。

 1996年の県民選挙の際には、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しを求められた結果、当時の橋本龍太郎首相は、沖縄県民の過去の苦しみと負担について政府の努力が足りなかったことを反省するとして、対米交渉に真剣に向き合い、沖縄とも謙虚に話し合った。それが、安倍首相はどうだろう。沖縄とは話し合いすらしようという気持ちがない。民意を無視する民主主義の根幹を揺るがすような対応ではないだろうか。周囲から甘やかされて育ったお坊ちゃん総理の安倍首相には、庶民の気持ちがまるで分からない。また、天皇・皇后のような沖縄への深い思いや愛情が見られない。沖縄では最初の内抵抗感が強かった天皇に対する沖縄県民の気持ちが、天皇が誠実に県民と触れ合い、昨日ニュースでも紹介されたように県民から敬愛され慕われるまでになったのは、天皇・皇后の沖縄県への思いと県民への愛情であろう。安倍首相夫妻には、両陛下のように同じ目線で触れ合うという考えは毛頭ないことを表している。

 玉城知事がトランプ大統領に投票の結果、つまり米軍基地の移転計画は7割以上の県民が反対していると報告しても軽く受け流すだけだろう。安倍首相とトランプ大統領は、ともに自国民を軽視し、国民の気持ちを汲み取ろうとしない性格を有している。だが、これだけ明白な結果が示されていながら、まったく県民の意向を無視するというのは、政治家としては厳に慎むべき行動である。

 安倍首相は何のために、誰のために政治家になったのだろうか。首相在位期間が長くなったことから思い上がりが益々エスカレートしている。政治家としての能力がなくとも、世襲という自分の力ではない見えない力によって頂点を極めたことは、ツキに恵まれたに過ぎない。われわれ現代の日本人が、このような傲慢な人物を首相にいただいたことはツキがなかったと諦めるしかないのだろうか。それにしてもこれまで苦しみに苦しみを重ねてきた沖縄県民が、まだ呪縛から抜け出せないとはあまりにも気の毒である。

 今回の県民投票は実質的には何の意味も効果ももたらさなかったということになりかねない。「言論の抑圧」と同じことにならないだろうか。安倍首相を始め、自民党は胸に手を当てて謙虚に反省し、沖縄県民の気持ちを斟酌して玉城知事、及び沖縄県と真摯に解決に向けた話し合いを行うべきであろう。

2019年2月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com