4305.2019年2月24日(日) 天皇在位30年、ドナルド・キーン氏他界

 今日国立劇場で天皇陛下即位30周年記念式典が行われた。その席で天皇作詞、皇后作曲の「歌声の響」という曲を沖縄出身歌手の三浦大知さんがソロで唄った。沖縄を唄った曲であるが、天皇陛下が書かれた詩を沖縄の方言に変え、メロディーは沖縄の民謡の感じを皇后陛下がうまく表現した曲だと感じた。1975年皇太子時代に両陛下は初めて沖縄を訪問された。その最初の訪問でハンセン病患者の療養所「沖縄愛楽園」を訪ねられた当時は、まだハンセン病への差別や誤解が残っていた時代で、収容されていた人々が両陛下が帰り際に一斉に唄った沖縄民謡♪だんじゅかりゆし♪は感動的だった。「歌声の響」はそれに相通じるようなメロディーだった。

 慰霊碑にお祈りしていた時に爆発物を投げつけられたり、沖縄では最初の内は皇太子ご夫妻の訪問に歓迎ムードはあまり感じられなかったようだ。しかし、それもお2人の優しい心遣いに沖縄の人たちの気持ちも和んで次第に歓迎ムードが高まって行った。お2人での沖縄訪問は実に11回に上ると言う。

 天皇在位30年というのは、ご苦労と気遣いの歳月だったと思う。口の悪い韓国国会議長が戦争犯罪人の息子呼ばわりしたり、時には何かと悪く言われるような空気の中で、ひたすら国家の平和と安寧、そして国民の幸せを願って全国を訪れては国民と触れ合っておられた。今日の挨拶でも、平成という時代に戦争がなかったことは平和を願う国民の気持ちが功を奏したと国民に感謝のお気持ちを謙虚に述べておられた。そういう意味では、とかく怖く冷たいようなイメージがあった昭和天皇の暗いイメージを極力払拭されるよう努められておられたように思う。天皇84歳、皇后83歳となられ、4月30日には公務の天皇という激職を去られ、それぞれ上皇、上皇后となられる。これからはのんびりと生活をされ、両陛下お揃いでいつまでもお元気にお過ごしになられるよう願って止まない。

 両陛下にとって思い出と、思い込みのある沖縄では、今日米軍基地辺野古移設への賛否を問う県民投票が行われた。午後11時現在ではまだ最終結果は出ていないが、影響を与える勝敗の分岐点は、投票数の1/4を超えられるかどうかであるが、ほぼ反対が1/4を超えそうだと予測されている。明日詳細な数値が明らかになるが、残念なのは、結果はどう表れようとも政府によって沖縄県民の気持ちと相反する判断がなされるような気がしている。

 さて、日本文化の研究者で日本ペンクラブ名誉会員でもあったドナルド・キーン博士が今日心不全で亡くなられた。享年96歳だった。言わずと知れた日本通で日本が大好きなアメリカ人で、最近まで現役で活躍しておられた。文化勲章他国内外で数々の名誉ある賞を受賞され、日本国籍を取得されてからは名前も英語名からドナルド・キーンと片仮名に替えられ、通称は「鬼怒鳴門」を使うこともあった。年齢的には人生を全うされた方であるが、つい最近までお元気だったので少々寂しい感じがする。何度かお話を伺ったことがあるが、日本ペンクラブが島崎藤村初代会長の下に発足した11月26日を記念した2012年「ペンの日」に講演され聴講したことが懐かしい思い出である。心よりご冥福をお祈り致したい。

2019年2月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com