今月26、27日に伊勢志摩で開催されるG7サミットを前に安倍首相が各国首脳を訪れ、サミットにおける共同宣言文の基本構想のため会談したが、必ずしも意見の一致を見たわけではなかった。
円高株安相場の日本は財政出動を考えているが、アメリカは為替相場の介入を警戒する監視国に中国、韓国と同様、日本をリストアップする状況である。これでは思い切って為替相場に介入できない。安倍政権としては構造改革、金融政策、財政出動の3本の矢もそろそろ命運が尽きたか、新たに第2の3本の矢を準備中であるが、一連の訪問では、それほどの理解を得られたわけではなかった。
それでも出足は良かった。レンツィ・イタリア首相、オランド・フランス大統領の両首脳からは財政出動に理解を示され、気分好くドイツとイギリスへ乗り込んで行った。だが、ドイツのメルケル首相からは、財政出動だけに捉われず、それぞれ金融政策と構造改革をやっていく必要性を聞かされる羽目になった。加えて、意外にも難民対策が経済成長に寄与しており新たな景気対策は必要ないとまで言われている。イギリスのキャメロン首相からは、お互いにそれぞれの国の事情を反映させようとあまり成果のある会談とはならなかった。
どうせ経産省官僚の入れ知恵であろうが、安倍首相からはすぐ景気浮揚のために借金をしてまでも投資をしようとの財政出動の発想が出てくるようだが、よくよく国の借金1000余兆円を考えてほしいものである。
サミットでどんな共同宣言が発表されるのか気になるところだが、ヨーロッパ、ロシア訪問を終えた安倍首相もサミット議長としてよほど共同宣言が気になっていることのようだ。
さて、世界中からいま注目されている北朝鮮の第7回朝鮮労働党大会のニュースがどうも外国人ジャーナリストの目を通してあまり伝わってこない。彼らも北朝鮮当局の指示に右往左往させられているようだ。今日はすでに開会して3日目である。にも拘わらず、労働党大会とは関係のない工場、産院、記念塔、高級マンションなどを無理やり見学させられているが、依然として大会会場内で取材することを許されていない。何のために外国人ジャーナリストを招いたのか。
僅かに金正恩第1書記が、①並進政策と呼ぶ核開発と経済再建、②核保有国として非核化に努力する、③アメリカと国交正常化、などについて力説したことをプレスセンターのテレビを通して伝えたに過ぎない。いつ閉会となるのか、それさえ外国人ジャーナリストは知らされていない。予想では明日大会は閉幕し、北朝鮮軍人パレードや市民のマスゲームが行われるのではないかと噂されている。とにかく相も変わらずよく分からない国である。