4227.2018年12月9日(日) フランス全土で激しい反政府デモ

 フランス各地で先月17日以来毎週土曜日にマクロン大統領に対する反政府デモが繰り返されている。パリ市内でも暴徒が火炎瓶などを投げつけ治安部隊が催眠を発射して、観光のメッカも危険な状態である。特に凱旋門の周辺で双方の対立が派手に報道されていた。シャンゼリゼも「君子危うきに近寄らず」の状態で観光客は安心して外を歩けず、パリのイメージが台無しとなった。先月17日以来毎週土曜日にシャンゼリゼにデモ隊が集まり、その動きを封じようとする治安部隊との間で衝突が起きていた。その原因はマクロン大統領に対する不満の表れだった。

 ご多分に漏れず、ドイツのメルケル首相と並んでEUの中心的首脳であるマクロン大統領は、昨年5月の大統領選で対抗馬だった国民連合(元国民戦線)のルペン党首を破ったが、大統領の地盤は弱いものだった。そのため中間層に配慮したのか、その政策は弱者に痛みをもたらす一方で、富裕層に甘いと非難されていた。

 政権は、取り敢えず予定していた来年度の燃料税値上げを延期することにした。マクロン大統領にとっては、地球温暖化の中で2015年のパリ協定に照らして二酸化炭素を削減しようとの目論見だったが、ちょっと配慮が足りず国民の不満を買うことになった。その配慮が足りなかったというのは、二酸化炭素排出の元凶であるガソリン税を値上げすることを提案しながら、同時に企業の法人税を33%から25%へ値下げることと、労働者を解雇しやすくする労働法の改正を進めようとした。その際富裕税の値下げをセットに推し進めようとしたことが金持ちに甘く、貧乏人には厳しい政策と受け取られた。政権は一旦公約を取り下げると発表したが、これからどういう政策をフランスで行おうとするのか、毅然として将来を見通せる代案を用意することが大切である。

 パリ中を、フランス中を、また世界に対して少なからず混乱を与えた、ともかく表面的には収束するのではないかと思う

 一方日本国内では通常国会閉幕が迫る中を8日未明、外国人労働者を受け入れ拡大に向けた「改正出入国管理法」が参院本会議で可決された。

 来年4月から実施される。5年間で最大34万5千人の外国人労働者を受け入れることになる。この法律は、少子高齢化が進むにつれ、現状及び今後は労働人口の不足が心配されているとの前提の下に採用された。その懸念を外国人を採用することによって補おうとするものである。それは望ましいように見えるが、これについて野党は激しく反発している。野党としてはこの人材不足の現状は認めているが、政府与党の話の進め方があまりにも強引考えなければならない問題点を考えず、じっくり議論もせずに短期間で採用人数だけを決めて事足れりとしていることに強く反対しているのだ。これでは問題が起こることは避けられない。現実に、後から後から法律の不整備をあざ笑うかのように外国人労働者にまつわる不祥事が露呈している。これは日本だけの問題ではない。それだけに慎重にも、慎重に長い時間をかけて議論を尽くしたうえで法律を整備して成立させるべきではないか。

 どうも安倍政権は先を急ぎ過ぎる傾向がある。心して欲しいものである。

2018年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com