4205.2018年11月17日(土) サウジ記者殺害と日ロ交渉の不可解さ

 今日の夕刊トップ記事は、「CIA『皇太子が殺害命令』」である。いわゆるサウジアラビアのジャーナリストジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ大使館内で殺害された事件についてである。国の独裁者に対する批判的な記事を書き母国から執拗に追及されていたが、結局殺害されてしまった。世界中から注目され各国から疑心暗鬼の声が聞かれる中でサウジ政府はムハンマド皇太子の関与を否定する一方で、一昨日21人を拘束し、サウジ検察は11人を起訴、その内の5人に対して死刑を求刑する拙速な行動で皇太子が関与していないことを内外にアピールした。だが、明確には述べていないが、自国内で事件を起こされたトルコ政府は当初からムハンマド皇太子が黒幕との疑念からサウジの対応に満足せず、疑惑の目でサウジの捜査状況を見守っている。

 夕刊記事はワシントン・ポスト紙が伝えたもので、アメリカ中央情報局(CIA)が「サウジのムハンマド皇太子が殺害を命じた」と結論づけたと報じた。トルコから提供された殺害に至る様子を録音したデータや、アメリカが独自に傍受した電話会話記録などを総合的に分析した結果だという。実力者ムハンマド皇太子の実弟で駐米大使のハリド王子がアメリカ在住カショギ氏に氏の結婚手続きのためイスタンブールの総領事館で書類を受領するよう伝えたとされている。この電話がムハンマド皇太子からの指示だったという。

 サウジ政府は、あくまでムハンマド皇太子は無関係と言い張っているが、真実の包囲網は一歩一歩狭められている。いずれ真実は明らかにされるだろう。

 さて、日本は今ロシアとの平和条約締結の前提となる北方領土問題俄かに追い詰められつつある。安倍首相がシンガポールでロシアのプーチン大統領と会い、領土返還に伴う話をしたが、我々の受ける感じではどうもストンと腹に落ちる話ではない。終戦時からの両国間の外交問題で、複雑さが入り組んでいるが、あまりにも急ぎ過ぎている感じがしてならない。北方4島返還を掲げてきたのに、1956年に取り敢えず歯舞、色丹の2島返還に触れた日ソ共同宣言を根拠に、2島返還を先行させようとするのは結構であるが、日ロ両国の要望はどうも噛み合っていない。ロシアは2島以外の択捉、国後を返還する気持ちはさらさらなく、加えて2島返還後にも主権は、ロシア側に残したい腹があるようだ。経済協力を得たいだけである。とにかくクリミア半島でも有無を言わせず奪い取るお国柄である。したたかなプーチン大統領の口車に乗せられて実態の伴わない2島返還を実行したとて日本にとってどれだけのプラス面があるのだろうか。

 ロシアの狡賢い出方にゆめゆめ乗ってはならない。

2018年11月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com