4193.2018年11月5日(月) 安田さんの行動を批判するだけでは解決しない。

 先日シリアで拉致されたが身柄を解放され帰国した安田純平さんが、一昨日記者会見で解放された経緯に感謝し、迷惑をかけたとして謝罪した。しかし、心ない人々からSNSなどNETを通じて安田さんが自身の責任で行った行動の結果であり、自己責任であると厳しい非難が浴びせられた。今日もテレビでは有識者やタレントを含めて出演者の間には批判的な意見が多かった。安田さんの過去の発言には誤解されるような点もあったが、厳しく批判する人たちはそういう危険な戦場などの実態もあまり知らず、また当然足を踏み入れたこともないような人たちである。彼らはジャーナリズムの本質と実態を充分分かっていないようだ。

 確かに安田さんの身柄拘束は世間を騒がせるような行動であるし、政府関係者は事前に危険であり遠慮して欲しいと公式に述べていたほどである。しかし、真実を報道すべきメディアが、大手を主に揃って危険な場所へ社員を派遣したがらないような現状では、現地の実態を報道するのはフリー・ジャーナリストに頼らざるを得ないのではないか。そのジャーナリストたちが戦場へ取材に出かけなくなったら、一体誰が戦場の現実、国際社会の動静を伝えてくれるのか。

 中には、外国通信社から記事を買えば好いなどと軽薄なことを言うタレントもいたが、日本人的感覚のない外国人特派員のリポートは部分的にはともかく、レポートを全般的に納得して理解してもらうにはほど遠い。その点では、やはり日本人レポーターが書いた記事が分かり易く訴求力もある。メディア各社が危ない場へ記者を派遣しないとするなら、フリー・ジャーナリスト、フリー・カメラマンからレポートを買わざるをえないではないか。するとフリー・ジャーナリストが危険地帯へ入ることは無責任に止めることはいかがかと思う。充分な対策を練ることは当然として、フリー・ジャーナリスト以外に危険がなく、リアルなレポートを得られる方法が他にあるだろうか。

 危ない戦場などを訪れたことのない門外漢が、常識人ぶって安田さんらの行動を理屈で批判していること自体、むしろ無責任ではないかと思えて仕方がない。

2018年11月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com