4173.2018年10月16日(火) 気になる難民・移民排斥の流れ

 ドイツのメルケル政権の足元がぐらつきだした。一昨日行われたバイエルン州議会選挙で、連立与党を組んでいるメルケル首相率いる中道右派・キリスト教社会同盟(CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)が、ともに惨敗を喫した。CSUの得票率は47.7%から37.2%へ下落し、SPDは20.6%から半分以下の9.7%へ大きく後退した。CSUは戦後50年以上も単独過半数の議席を占めてきたが、今回得票率が37.2%に留まり、68年ぶりの低水準になった。一方で昨年9月に発足したばかりの右翼政党「ドイツのための選択肢『AfD』」が台頭し、10.2%を獲得して初議席を得た。左派「緑の党」も8.6%から17.5%へ飛躍した。中道派が減った一方で、両極にある右派と左派が大きく票を伸ばした。

 EUの中でも長期政権として安定していると見られていたメルケル政権が敗れた最大の原因は、他のヨーロッパ諸国と同じように難民・移民受け入れに対する国民の反対が大きかったことである。もともとヒトラーを輩出したお国柄である。ファシズム回帰現象にならなければ好いがと些か気になる。今ではイタリア、フランス、スウェーデンなどでも右翼、保守の台頭が目立っている。

 南部のバイエルン州議会選挙で敗れたメルケル政権が、2週間後に実施される中部ヘッセン州議会選挙でメルケル首相が率いるCSUを中心とするキリスト教民主同盟(CDU)が敗れるなら、いよいよ良識派メルケル政権も命脈が尽きたということになるのではないか。心配なのは、これがドイツばかりでなく、ヨーロッパやアメリカまで移民排斥現象が拡大していくことである。

2018年10月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com