4114.2018年8月18日(土) 昔の軍隊と今の官公庁の同質性

 今朝の毎日新聞は一面トップに「ゾルゲ事件報道統制文書」を採り上げ、戦時中司法省が報道を厳しく規制した内部文書が見つかったことを特集風に扱っている。リヒャルト・ゾルゲがソ連のスパイとして検挙され、ソ連のスパイ網が国家の中枢にまで深く入り込んでいたことが判明し衝撃を受けた当時の政府が、不都合な表現を削除して、事件の重大性の矮小化を図るなどのメディア戦略を行っていたことが明らかにされた。この事実を知ると昨今公になった財務省の公文書改ざん事件や、文科省モリカケ問題、農水省の障害者雇用職員水増し、厚労省の文書改ざんや宮内庁の公文書紛失事件の根源へたどり着いて、日本の官公庁の根源的な隠蔽体質は、昔も今も変わっていないことをつくづく思い知らされる。

 ゾルゲ事件では記事をトップ扱いや特殊扱いとしてはならないとか、4段組以下の扱いに納めることや写真掲載を止めること、などあまりにも姑息な指示には呆れる。例えば、「重要機密事項」の「重要」や、西園寺公一の肩書「外務省嘱託」の削除を要求し、新聞社はそれに従って原稿を書いている。このころから権力とメディアの結びつきが強くなったのではないか。セルビアの山崎洋さんの父ブランコ・ド・ブケリッチ氏に関する記事は書かれていないが、脚色された文書があるかも知れない。取り敢えず記事のコピーをセルビアの山崎さんにメール送信した。

 そう言えば、8月は終戦記念日があったこともあり、このところ戦争関連のテレビ番組が多かった。その中でもNHKが数日前にノモンハン事件に関するドキュメントが、現地取材で撮影した当時の掩体壕などのビデオ映像を映し出してくれたので、当時の事件現場の状態や、実態がよく分かった。また陸軍参謀本部と関東軍の対立、及び組織内の上司の責任回避体質、つまり軍部の本質が改めて浮き彫りにされたドキュメントであり、中々秀逸であると思った。いかに上司が責任を取らず部下に罪を被せるか。これはどこの部隊でも行われていたことだろう。つまるところ、官公庁内のスキャンダルも根っ子は、軍隊と同じ体質ということになるのではないだろうか。

2018年8月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com