4109.2018年8月13日(月) 無駄が多いオリンピック会場・施設の建設

 2020年の東京オリンピックについては話題に事欠くことはないが、今年2月開催された韓国平昌冬季オリンピックは、この猛暑の中で忘れ去られていくような気がしている。

 実は平昌五輪後の会場、及び施設利用については開催前から平昌が人口4千人の小さな村でもあり、あまり利用価値が高くないと悲観的な話ばかりが聞かれた。

 韓国の中央日報の調査によると日本円にして数百億円が投入された競技場と会場施設は、今や「白い象(大きくて厄介なもの)」となっている。開会式、閉会式が行われた体育館は今では倉庫同然となり、スキー競技の行われた場所は、元々傾斜面の貴重な植物の多かったところで他に有効転用出来るものではない。政府と自治体は、オリンピックが終わればスロープ敷地の55%以上を復旧し、自然生態系を回復させるとして環境団体などを説得していた。また、政府がそのために補助すると約束までしていたが、それも実行されていない。

 あれだけ世界中を興奮させ、世界記録を生んだ施設が、はっきり言って今や大きなお荷物となっている。最早遅きに失しているが、この事実を他山の石として日本の五輪関係者も施設の建設、利用について考えなければいけないと思う。以前から東京オリンピック用の会場施設については、前回1964年五輪大会で利用された既存の施設を補修、改善して使用したらかなり費用が節約出来るものと思っていたが、新し物好きな五輪関係者は箱ものを作ることに没入して、前回大会の会場施設をほとんど使わず、施設を新設する方向に気持ちが行ってしまう。

 自宅近くの駒澤オリンピック記念公園には、前回1964年大会で使用した運動施設がいくつか残されている。その中には日本人を熱狂させたバレーボール会場の屋内体育館や、サッカーが行われた補助球技場などがそのまま残されている。更に昨年第2屋内体育館が取り壊され立派な体育館が新築された。地理的にも、交通の便にも恵まれたそれらの施設を使用するのかと思いきや、2020年オリンピックではまったく使用されないのだという。実にもったいないことだと思う。

 そこへ最近になって直接オリンピックとは関係のないこんな問題も浮かび上がってきた。公園内の子ども用屋外プールが設備が老朽化したとの理由で閉鎖するという。近所の子どもたちの要望も強く、改修工事をすれば再び使用出来るので、そうすれば彼らが喜ぶという声がどう伝わったのか、東京都は近所に同じような施設があるからその必要はないと答えたという。近所の施設はすべて民間の経営であり入場料もバカにならない。そんなことが分からず、オリンピックには想定以上の費用を惜しみなく注ぎ込んでいる。

 こんな不経済なことを考えるから、経済的にも効率が上がらず、先週末に次いで今日も日経平均株価は大幅な下落をした。もっとも今日はトルコの通貨リラが1日で20%近くも急落したせいであるが、7月6日以来の440円もの値下がりである。経済感覚も普通の空気感も鈍っているのではないだろうか。

2018年8月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com