4045.2018年6月10日(日) トランプ大統領とG7首脳とのずれ

 昨日閉幕した先進7か国首脳会議(G7)は、腹蔵なく話し合うとは行かず、これまでになく、すっきりしないままさほど実りのない会議に終わったような印象である。その最大の原因は、主役のトランプ大統領が、2日後の米朝首脳会談に気を取られてG7の課題に気持ちが入っていなかったからである。そのうえ会議前に自由貿易に歯止めをかけるような保護主義貿易を打ち出し、輸入品に多額の関税をかけると宣言して、各国から反発を招いていたことである。そのトランプ大統領は、会議終了前に首脳会談の会場であるシンガポールへ向けてカナダを去った。トランプ氏は、カナダのトルドー首相が記者会見でアメリカの鉄鋼輸入制限措置を侮辱的と発言したことに対してツイッターでトルドー首相を軟弱者とこき下ろす有様である。格調高い首脳会議の場ではあまりにも傲慢なコメントであり、礼を失している。両国が北米自由貿易協定で対立している背景もあるようだ。それにしてもトランプ氏は、G7首脳がすでに採択した首脳宣言を専用機から承認しないようアメリカ代表団に指示したというから呆れるほかない。アメリカが他の6か国と対立している構図がはっきりした。来年以降も引き続き開催されるG7がこのままでは、猶予ならぬ事態になることが心配である。

 その一方で、トランプ大統領がやみくもに提起したロシアのG7への復帰は、いずれの国からも受け入れられなかった。今年のG7ではトランプ大統領の身勝手な行動ばかりが目立ち、会議自体の成果は乏しかった。この様子では来年以降が心配である。

 さて、一部でちょっと意外な興味を持たれているのが、早稲田大学が2021年度から政経学部の入試科目に数学を加えることを決めたことである。文系学部の入試科目は、これまでほとんど文系希望の受験生が嫌う理数科目を避けてきた。そのため私立大学の文科系学部で受験科目に数学を必修としていたのは、母校の慶大経済学部以外は見当たらなかった。そのせいで受験者数は少なく、入試合格倍率は低かった。私は早大政経学部も受験したが、その年早大の倍率は慶大のそれより4倍ぐらい高かったと思う。数学があるため普段から受験勉強に数学を学んでいる国立大学受験生でないと受験出来なかったからである。それが、3年後から早大政経学部も慶大経済学部と同じように合格倍率は低下するだろう。だが、受験科目を減らして、特に文系学部だからとの理由だけで理数系科目をなくして受験生を増やそうという大学の安易なシステムも、考え直すべき時に来ているのかも知れない。大学生となって専門科目を学ぶようになった時、受験数学であるにせよ数学を学んだ経験がどれだけ自分の専門科目修学上プラスであるかを大学は真剣に考えるべきであると思う。

 これについては、学生時代にゼミの恩師から文系の学生も大学で学ぶに当たっては数学の基礎知識が必要であり、況してや経済学を学習するには、論理的に物事を考える学問上数学の基礎知識は絶対欠かせないと伺ったことがある。

 経験から考えても確かに数学の知識は、経済学を学ぶに際して大切なことだと思う。今にして恩師の卓見が思い出されてくる。

2018年6月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com