2925.2015年5月17日(日) 大阪都構想、実現成らず。

 カイロ刑事裁判所はムルシ前エジプト大統領に極刑である死刑の判断を下した。随分荒っぽい判断を示したものである。ムルシ氏は、3年前に国民の民主的な選挙により初めてエジプトの大統領に選出された人物である。そのムルシ氏を軍部がクーデターによって追放し、あまつさえ選挙の前年刑務所から大勢の受刑者を脱獄させた首謀者として関与した「ムスリム同胞団」メンバーとともに刑事裁判に処したものである。ことの真相はどうあれ、民主的な方法で選ばれた大統領を武力で放逐し厳罰に処するというのは、民主主義社会ではとても理解されまい。現状ではイスラム国家宗教指導者の見解を聞いたうえで6月に最終的な判決が言い渡される見通しである。

 この報を受けて早くも国際人権団体アムネスティ・インターナショナルや、トルコのエルドアン大統領から非難する声が上がっている。いずれにせよ国際的に大きな問題となるであろう。

 この厳しい裁判と同じように情報非公開の北朝鮮でも、恐怖の粛清事件があった。一昨年金正恩国家主席は後ろ盾だった伯父の張成沢氏を突然粛清し、処刑した記憶も生々しい中で、今度も側近だった玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相を国家反逆罪として処刑したと伝えられた。玄氏が粛清されたのは金主席の演説中に居眠りをしたとか、反抗的な態度を取ったとか、些細な理由で国家のトップ人材を葬ってしまっている。しかも処刑の仕方が機関銃で射殺したうえに火炎放射器のようなもので遺体を焼きつくしたなど、非道でヘドが出るような残虐な方法を執ったと言われている。

 だが、ここへ来て韓国の情報機関・国家情報院の報道に対して、その真偽につき疑念が浮上している。北朝鮮のニュースは眉つばものが多いが、南北朝鮮の情報合戦になると針小棒大もエスカレートするからここは一歩引いて冷静にニュースを注視することが肝要である。

 さて、今日は大阪市の大阪都構想に対する賛否を問う大阪210万有権者の住民投票が行われた。都構想は大阪維新の会のリーダーである橋下徹・大阪市長がい就任時から強く主張していたものであり、維新の会以外の自民、公明、民主、共産ほか各政党はほとんど都構想に反対を唱えている。維新の会がどれだけ無所属、或いは態度を決めかねている市民の票を掴み取ることができるかどうかに懸っている。言い出しっぺの橋下市長は、負けたら政界を引退すると発言し進退を賭けて必死になってようだ。しかし、その発言は市長を辞められたら困るという市民の同情票を集めることが狙いだと足元を見られている。

 開票当初は賛否互角ながらも僅かに都構想賛成が上回っていたが、次第に反対票が盛り返し、僅差ではあったが、最終的に賛成70万5千票(50.38%)に対して、反対69万4千票(49.62%)で、大阪都構想は否決された。終始接戦を繰り広げたが、結局のところ市民にもどうなるかの将来のビジョンがよく分からなかったというのが、大阪都構想が実現しなかった大きな原因ではないだろうか。これにより選挙前に負けたら引退との発言もあり、橋下市長は市長任期満了を待って政治の世界から身を退くと考えられている。

2015年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com