2927.2015年5月19日(火) 天皇のご学友・橋本明氏から有益なお話を拝聴

 所属するNPO法人JAPAN NOWの講義が印象的だった。講師はジャーナリストの橋本明氏である。橋本氏は天皇陛下のお気持ちを忖度しつつ、ご自分の気持ちとしてリベラルなジャーナリストらしく安倍晋三首相の集団的自衛権の行使やその手法について厳しく批判されていた。氏は共同通信のジュネーブ、ロサンゼルス支局長などを歴任したが、兄は元日本鋼管常務、弟は元シンガポール、オーストラリア大使と優秀な家系に包まれている。氏が個人的な知遇を得られたという面では、サッチャー元英首相、チトー元ユーゴスラビア大統領、サマランチ元IOC会長、等々びっくりするような華やかで錚々たる経歴の方々の名前を知って驚く。初等科から大学まで学習院一筋に学び、その学習院で天皇陛下と机を並べたというご学友という関係は何者にも代えがたいものであると思う。橋本龍太郎元首相、橋本大二郎元高知県知事は従兄弟に当たられる。

 橋本氏とは5年前小中陽太郎氏にご案内をいただき、中目黒にあるカソリック教会でアメリカ在住の映画監督すずきじゅんいち氏が講演した時にお会いしている。奇遇にもすずき氏が湘南高の後輩で、すずき氏ともども講演会後の懇親会で橋本氏と同じテーブルでお話したことがある。

 今日のスピーチには格別強い印象を受けた。日ごろより天皇家と親しい関係にあるだけに昭和天皇、今上天皇、美智子皇后に関する身近な話を伺うことができた。

 特に心に留まったことは、

 ★日本は海外に対して天皇家はひとつのウリである。

 ★天皇の安倍首相に対する対応には、天皇が牽制球を送っているような様子が見て取れる。

 ★安倍首相は就任時から「戦後レジームからの脱却」を唱えているが、常に躁と鬱が交錯してその合間に出された言葉である。

 ★現行憲法は日本の憲法学者がGHQと充分話し合った末に作られたもので、アメリカから押し付けられたものではない。戦後アメリカの押し付けで制定されたと述べる安倍首相と天皇の考えはどんどん乖離している。

 ★安倍首相の狙いは、国連常任国入りである。

 ★日本には生存権があり、年金制度、国民健康保険が整備されているが、アメリカには生存権が認められておらず、それらの整備が充分ではない。その点では日本の方が進んでいる。

 ★天皇は現行憲法、特に第9条を守り抜くことを秘かに願っているが、改正されれば法律発効のための天皇印を押捺することに頭を痛めるであろう。

 天皇が憲法改正に反対の気持ちを持たれていることは、これまでの言動から推察していたが、今日橋本氏から天皇の本音と思える話を氏のスピーチから汲み取ることができたように思っている。

 先月天皇・皇后両陛下が窮屈な自衛艦内に宿泊されたご苦労にも拘わらず、ご自分の意思を通されパラオへ巡拝慰霊されたが、その際安倍首相が羽田空港でお見送りされた。その時の安倍首相の気持ちは両陛下の純粋なお気持ちとは正反対だと思っていたが、橋本氏の話を伺って納得するものがあった。

2015年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com