経済協力開発機構(OECD)が、昨日加盟国34カ国の所得格差に関する報告書を発表した。それによると人口の上位10%の富裕層と、下位10%の貧困層の所得を比べると80年代の7倍程度から平均で9.6倍にまで広がりほとんどの国が過去30年間で最大になったという。
意外だったのは、これまで日本は所得格差が少なくほとんどが中間層と見られていたが、この統計で見る限りOECD平均格差を上回り格差の大きい順位では10番目だということである。最も格差の大きい国はメキシコ、次いでアメリカ、イスラエルの順になっている。最も低いのはデンマークである。OECDによれば、原因はいろいろあるようだが、背景に世界的に非正規雇用者が増えていることが大きいようだ。その点で言えば、近年日本にも非正規雇用者が増加していることを示していると言えるようだ。
それにしても34カ国という限られた国家数から示された数値とは言え、我々日本人は格差のない、経済的には平等に恵まれた国に住む幸せ人間ぐらいに思っていたが、必ずしもそうではないということを自分自身に言い聞かせる必要があるかも知れない。
さて、昨日の本ブログに書き込んだ文章で、昨日志位共産党委員長が安倍首相に対して国会の党首討論で、ポツダム宣言に触れて先の戦争は間違っていたと認めるかと質問したことについて、首相は「詳らかに読んでいないので、論評は差し控えたい」と応えたことが注目されている。私もテレビ・ニュースを見ていて首相がどう応えるか興味を持っていた。結果的につまらない質疑になってしまったが、ポツダム宣言を国会で持ち出すなど次元の高いものになった。残念ながら首相の回答が次元の低いものに終わった。
今朝の朝日「天声人語」の取り上げ方が興味を惹いた。首相の戦争観が論題だった。首相は実際にポツダム宣言を読んでいたのか。読まずに「戦後レジームからの脱却」を唱えてきたのかとやや批判的な質問だった。松井孝治慶大教授は質問した志位共産党委員長を「手だれ」だという。初めて知った言葉である。手慣れて熟練した人を表すそうだ。志位委員長の首相を惑わせるしたたかな質問者だと言っている。確かに志位委員長の質問は、よく考えて本音を聞き出すには上手な問いかけだったと思う。論客揃いの共産党員には、論点をずばっと衝く議論を行える人が他党より揃っている。自民党の世襲議員たちとは大分年期の入れ方が違うようだ。
さて、今日ひとつ嬉しいことがあった。湘南高校ラグビー部、及び早稲田大OBで日ごろから親しい矢田健一さんという元大学教授からメールで、2カ月前の逗葉(逗子・葉山地区)稲門会の集まりで、森喜朗元首相と親しい早大同期生の方が森さんから「逗葉稲門会会員の中にも湘南高校OBの人がいるだろうから、この本を見せてやって欲しい」と拙著「南太平洋の剛腕投手」をいただき、現在他の湘南OB仲間の間で回覧されているという。彼はその方から「著者の近藤節夫さんはラグビー部らしいが知っているか?」と聞かれたから、よく知っているし、しばしば会うと話して彼も些か誇らしい気がしたと知らせてくれた。それにしても森元首相は拙著を大分気に入って下さり、方々へ紹介してくれる。本当にありがたいと思っている。
「猿もおだてりゃ木に登る」のノホホン気分である。