3951.2018年3月8日(木) アウシュヴィッツの悲劇とユダヤ人の影響力

 昨日ドイツ人監督が制作した「アウシュヴィッツ」、今日は別のドイツ人監督が作った「アウシュヴィッツへの最終列車」のDVDを観た。いずれも死の直前の断末魔の状況を写し出したものだ。その後に昨年NHK・BSが放映した「ただ涙を流すのではなく~(分断する世界)とアウシュヴィッツ」をまた観てしまった。昨秋アウシュヴィッツを実際に訪れてからいろいろ考えさせられている。暫し重苦しい気持ちにはなるが、いつも元アウシュヴィッツ博物館長が話していたという「ただ涙を流すより考えて欲しい」という言葉が蘇り、考え込んでしまう。

 極論であるので誤解されると困るが、第2次世界大戦時この世にドイツ人とユダヤ人が存在しなかったらあの忌まわしいホロコーストはなかった。その加害者であるドイツ人は敗戦によってどん底に突き落とされたが、優秀な民族であるゲルマン人は戦後不死鳥の如く立ち直った。一方抑圧されたユダヤ人は、誕生の地パレスチナを追われて2000年に亘って世界各地を流浪する過程で迫害を受け、近世ではドイツ人によるおぞましいホロコーストにより徹底的に痛みつけられた。しかし、文化面でも人材を輩出されるほど優秀なユダヤ人は、制約されなかった金融業を主に世界各地で逞しく生き抜いてきた。今ではアメリカ社会でユダヤ人の存在と力がなければ、アメリカは1等国の地位を保ってはいられないだろうと言われている。そのユダヤ人の影響力がアメリカの政治に及んで、アメリカ政界ではユダヤ人を味方に引き寄せようとの思惑が、トランプ大統領の「イスラエルの首都はイスラエル」宣言になり、5月にはアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムへ移転させる動きになった。

 現在アメリカ人が信仰する宗教では、キリスト教徒が圧倒的に多く全体の4分の3を占めるが、キリスト教の中でも宗派のトップはプロテスタント系の福音派と称する人たちで、全体の25%を占めてイスラエル寄りの立場を示すことが多い。福音派以外のプロテスタントは15%、カトリックが20%、ユダヤ教徒は僅か1.9%にしか過ぎない。

 今年11月に行われる中間選挙では、これまで表面上は大きく存在感を示さなかったほんの1.9%のユダヤ教徒が、福音派や母国イスラエルと連携しながら想像以上の影響力を示すのではないだろうか。興味深い中間選挙となるだろう。

2018年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com