3799.2017年10月7日(土) ノーベル平和賞は、反核組織ICANへ

 ノーベル文学賞に続いて、昨日はノーベル平和賞受賞者が発表された。この文学賞受賞がイギリス人とは言え、長崎生まれの日系人に授与されたことから、ふっと長崎への原爆投下をイメージさせた。文学賞に続き、今度の平和賞受賞も反核兵器使用という点で長崎を連想させた。授賞したのは長崎と関係深いICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)という世界的に核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOで、ICANは今年国連において核兵器禁止条約が成立したことに大きく貢献した。この組織の存在と活動が国際社会に対して核兵器使用に警鐘を鳴らしている。残念ながら日本政府はアメリカの核の傘の下にあるため、アメリカに配慮して同条約を批准していない。このため、広島や長崎の被爆者たちの悲痛な叫びが受賞につながったにも拘わらず、日本政府は正式なコメントを一切発表していない。

 だが、1日明けて今日フィンICAN事務局長は、核兵器禁止条約について2018年末まで発効させたいと述べた。条約発効には50ヶ国以上の署名と批准が必要であるが、7月の国連で123カ国中122カ国が賛成しており、すでにクリアしている。実際にこれらの国々が批准手続きを終えれば、条約は90日で発行する。核保有大国はあの手この手のしたたかな仕掛けで批准の妨害をするだろう。これに対して、正統派ICANは国際的世論の支持を得てどう目的を達成させることが出来るだろうか。

 この受賞は、原爆被爆者や核反対を訴える人々に支えられ、堅実に行動して実績を挙げたICANへの評価であるが、今後核兵器廃絶運動が地球規模的に拡大するのか否かは、予断を許さない。その最大の理由はすでに核を所有する米ロら核保有大国のわがままで、彼らに核を手放そうとの気持ちがまったくないからである。核廃絶への道のりは遠いと考えざるを得ない。

 それにつけても非核運動を進める被爆者の気持ちを考えると、日本政府がこの平和賞受賞に対して何のコメントも発表しないのは、無責任、非情と思われても仕方があるまい。

2017年10月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com