6024.2023年11月10日(金) ガザ攻撃、1日4時間の休戦とは?

 このところ連日に亘ってイスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃の様子が、メディアを通して伝えられている。荒れ果てた瓦礫の中を逃げ惑う子ども連れの家族の様子などは、とても見るに忍びない。あまりにも非人道的な住民への攻撃に対して、世界中からイスラエル及びハマスに対して厳しい非難の声が浴びせられている。国連はグテーレス事務総長が非人道的な攻撃に対して口頭で非難する以外に、これという有効な手を打てない。イスラエルのあまりにも容赦ない攻撃に対して、流石にアメリカも同国へ停戦を求めているが、ネタニヤフ・イスラエル首相は、停戦を受け入れる気持ちは毛頭ないようだ。

 そんな時に今朝になってビッグ・ニュースが入って来た。アメリカのホワイトハウスが、ガザ地区へ地上侵攻を続けているイスラエル軍が人道目的のために1日に4時間に限って戦闘を休止すると発表したのである。そして、その戦闘休止は実施の3時間前に発表される。これまで休戦とあれば、普通は日数による期間を決めていたものだ。それが今回は1日4時間などと時間を区切り、それ以外は戦闘は連日続くという中途半端な休戦には、呆気にとられる。まるで戦争ごっこである。この4時間の間に避難させるという主旨のようだが、一種の「取り敢えず休戦状態」にする世論操作のような気がしている。アメリカがイスラエルと協議した結果、一時的休戦は現地ガザ地区北部で9日から実施されることに決まったそうだが、アメリカもよくぞこんな中途半端な休戦に納得したものである。イスラエル軍は、ガザ地区内のハマス地下都市にある数百mに及ぶ地下トンネルを大分破壊したこともあり、一定の成果は上げたものとして、支援国アメリカの声を聞き入れ一時的に攻撃の手を緩めることにした。

 アメリカからの強い要請があったが、イスラエルとしては自発的に一時的休戦を行うものではなく、当分の間渋々要請を受け入れて休戦の期間についてはアメリカも知らされていないようだ。基本的には戦闘行為は今後も続けられるということであり、まだまだ犠牲者が出てくる。ネタニヤフ首相とハマス両者には、今では戦闘行為を続けることに意地のようなものを感じる。

 ついては、このほどNPO紙「世界遺産物語」に「負の世界文化遺産・アウシュビッツ」と題してアウシュビッツ収容所について拙稿を書いたが、実はこの収容所内を見学した際に、ナチスによって否応なく地獄に突き落とされたユダヤ人の怨念のようなものを感じたものである。今朝の「天声人語」に次のような言葉が紹介されていたのを見て、何となく納得がいった。そこには次のように書かれていた。

 「ぞっとするようなホロコーストからくむべき教訓は、私たちも犠牲になりかねないということではなく、私たちも加害者になりうるという自覚だ」

 今パレスチナ・ガザ地区で行われているイスラエルによる激しい攻撃は、ホロコーストによって地獄を味あうことになったユダヤ人による執拗な逆恨みであるように思えてならない。決してあってはいけないことである。まぎれもなくホロコーストによる被害者のユダヤ人が、今度は加害者に成り代わったおぞましい姿であると思う。

2023年11月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6023.2023年11月9日(木) 自民党が決定した減税論の矛盾と対立

 岸田文雄内閣の支持率がじりじりと下がって、首相も前のめりの人気取り政策を生み出すことにばかり気を取られ、少々ガードが甘いようだ。首相が適材適所と胸を張った政府3役の内、先日山田太郎・文科政務官、柿沢未途・法務副大臣がスキャンダルで辞めて間もないが、また神田憲次・財務副大臣の税金滞納問題が週刊誌に暴露され、野党からは辞任を求められたが、本人は反省しつつも職務の遂行に全力を尽くすと辞める気は毛頭ないようだ。卑しくも国の財政を扱う部門の副大臣で、税理士でもあろうものが、長らく税金を払わなかったなんて冗談としか思えない。愚かにも本人は誤魔化せると思っていたのだろう。これで、岸田政権は益々窮地に追い込まれることになる。

 この財務副大臣の不祥事に呆れていたところだが、他にも鈴木俊一財務大臣に首を傾げるような発言が公になり物議を醸している。問題になったのは、昨日衆院財務金融委員会の質疑応答の場で、鈴木財務相が応えた内容である。前々から岸田首相が「税収増の国民への還元策」として打ち出した所得減税について、鈴木財務相は、「過去2年間で増えた分は、政策経費や国債の償還などですでに使っている。減税するなら国債の発行をしなければならない」と原資はないと皮肉か、本音か分からないようなことを暴露した。それが真実なら首相が人気対策として言い出した、所得減税なんて最初からあり得ない話だということになる。閣内の意見の不一致も甚だしいが、これに振り回されている国民や経済専門家たちも「ふざけんな!」と言いたいに違いない。流石にこれには事実を知った国民の一部からSNSなどで「財務省からも見放されたぜ どうすんだ岸田や!」とか、岸田首相がハシゴを外されたとの声が上がっている。

 それにしても、首相と財務相の意見がまったく真逆であることを、なぜ今頃になって財務相はぶち明けたのだろうか。こうなると政権も末期症状である。元々この鈴木俊一大臣は、鈴木善幸首相の子息であり、姉の夫は麻生太郎自民党副総裁であり、典型的な政治家一家の二世であり、親族と派閥の力によって現職に就いている印象が強い人である。日ごろから感じているのは、業務に精通しているのか疑問に感じていたところである。財務官僚の言いなりの言動をしていたのではないかと思っている。現今の円安市場について、すべて監視、対策を日銀、或いは財務省に任せっきりで、財政のトップとしての毅然とした行動や矜持が見られない。

 そして、閣僚の一員である自らが内閣不一致のお粗末さを外部にさらけ出すとは、情けないし、一国民としても国家財政を任せることは不安で早晩交代させて、それこそもっと適材適所の閣僚を任命して欲しい。

 このところ岸田内閣は、あちこちでボロが出ている。前記以外にも財務関係では、1人4万円の所得減税について、宮沢洋一・自民党税制調査会長は首相と同じく減税の期間を当然1年内と考えているが、萩生田光一・同党政調会長は「1年限りと決定しているわけではない」と述べるなど、自民党内の幹部の間でも考えの不一致が際立っている。党内が結束して、行動して総選挙に打って出るべき時に、党内が大事な問題で支離滅裂ではとても戦えないのではないか。案の定これでは年内に解散とも言われたが、とても総選挙では戦えないと悟ったか、解散は来年以降に持ち越しと言明した。何とも夢遊病者になったような岸田政権のふらつき状態である。

2023年11月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6022.2023年11月8日(水) セルビアの郵便ストと旧統一教会解散命令

 3週間前にセルビアの友人に月刊誌を送ったところ、受け取ったとの連絡がなかったので、少々気になり2週間が経過した先週友人にメールで尋ねたらまだ受領していないと返事が返って来た。そこで郵送した郵便局へ出かけて聞いてみたところ、セルビアは直行便がないのでやや遅れがちになるので、もう少し待って欲しいということだった。その時、届いたかどうかの確認は取れないのかと尋ねたら書留ではないので、追跡番号がないから難しいとの回答だった。友人もベオグラードの郵便局に尋ねたところ、該当の郵便は届いていないと知らされたという。こうなると何とか届いて欲しいと願うものだ。それから1週間語の昨日友人に再びメールで照会したところ、彼も郵便局へ行ってみたが、届いておらず10月4日付の奥さん宛ての手紙が届いていたくらい郵便が遅れていると伝えてくれた。まだ可能性はあるようだ。セルビアでは低賃金と過剰勤務でやっとストが解消したばかりで、郵便局に務める人がいなくなるのではないかと懸念していた。もう少し様子を見るより仕方がない。書留でないので、送った証拠としては領収書だけだが、もし届かないと雑誌代と郵送料がまったく無駄になってしまう。特に、今回の雑誌代金は1,000円だったが、郵送料は遥かに高い1,560円もした。追求する手段がないので、理不尽とは思いつつも諦めるより仕方がない。だが、郵送料が無駄になってしまうことが何ともシャクだし、どうもすっきりしない。時々海外へ郵便物を送ることはあるが、ほとんど書留便にしたことはない。これからは費用がかかっても送り届けたい品物は、書留便にすることを考えなければいけないと反省しながらも悩みどころである。

 さて、昨年安倍晋三元首相が若者によって銃砲で殺害された原因は、容疑者の母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)にのめり込み、資産を注ぎ込み家庭を破壊してしまったことにあるようだが、安倍元首相が旧統一教会と強いつながりを持っていたことを知り、安倍氏を恨んでいたと容疑者が告白した。この事件発生以後教団に多額の献金をして家庭、家族が大きな被害を受けたと申し出た人々が続々と名乗りを上げた。挙句に教団は、本来の宗教活動を逸脱していると判断され、遂に文部科学省は、先月13日教団に対して解散命令を東京地裁に請求した。その理由として法令違反が約1,550人、解決金の総額が約220億円もあったそうである。

 この事案に対して先日教団は、唐突に「供託金」として政府に100億円を拠出する考えを表明した。そして、昨日教会の田中富広会長が当事案に関連して記者会見で、その意図を説明した。教会はトラブルが明るみに出た内容について、謝罪し反省の言葉を述べた。しかし、心から詫びたわけではなく法的な責任は認めることなく、解散命令請求について到底受け入れがたいと述べ、不満を露わにした。一方、この提案に対して弁護士を始めとする関係者らは、教団側の「供託金」を実現するには、立法措置が必要とされるが、政府がそれを推進する気持ちはなく、教団側が解散命令を避けようとする「情状酌量戦略」ではないかと見ている。気がかりなのは、教団への解散命令によって財団が所有財産を隠匿したり、海外へ移転させたりすることである。教団は否定しているが、「供託金百億円」の意図は透けて見えるようだ。どうもすっきりしない昨日の会長記者会見であるが、決して教団の逃げ得を許してはならない。広く国民の監視が必要ではないだろうか。

2023年11月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6021.2023年11月7日(火) 人類は戦争も、地球沸騰も解決できないのか?

 先月7日にパレスチナ・ガザ地区からイスラエル領内に突然ロケット砲が撃ち込まれ、多くの犠牲者を出し、その仕返しで始まったイスラエルとイスラム組織ハマス間の激しい攻防は、今日でちょうど1か月が経過した。今その戦闘は激しさを増し、連日イスラエル軍によるガザ地区への空爆が続き、この数日前から陸上からも攻撃を加えて世界中の注目と関心を集めている。そのせいもありこれまでウクライナに対するロシア軍の侵攻もここへ来て影が薄くなり、ウクライナにとって欧米からの支援も今までのようには期待出来なくなってきたのではないかとウクライナは憂慮している。一方でロシア・サイドはほくそ笑んでいるのではないだろうか。

 今度の双方の戦闘ぶりを見てみると、イスラエル軍の徹底的に相手を壊滅させるとの激しい攻撃には他の戦争には見られない執念のようなものを感じる。ハマスはテロ組織であり、同じパレスチナ暫定自治政府とは言え一線を画している。イスラエルのハマス壊滅作戦は、憎悪の塊となり一般市民が犠牲になろうとも手段を選ばず攻撃する怨念のようなものである。支援する欧米側にも戸惑いが感じられる。イスラエルのユダヤ人社会は、ドイツを始めEU側にはナチス・ドイツによるアウシュビッツ収容所のホロコーストという苦い歴史を想い出させ、それがトラウマとなり、どことなくイスラエル批判に遠慮がちになることであり、全般的にイスラエルに対して強い制約を加える動きが感じられない。更にイスラエル建国史上イギリスやフランスが行ったユダヤ人とパレスチナ人それぞれに約束した国家建設の二枚舌、或いは三枚舌外交が、大きなくびきとなり、今も西欧にとってはストレスになっている。一般市民だろうとテロリストだろうと殲滅させるとのイスラエルの排他的な強硬論は、ホロコーストの仕返しであろう。それは今も現代のイスラエル人に引き継がれ、その勇み足はイスラエル政府閣僚が、原爆投下も選択肢の一つだとの暴論を述べるほどエスカレートし、この過激発言については、人質や行方不明者の家族が無謀で残酷だと非難し、流石にネタニヤフ首相も当該閣僚の閣議への出席を当分凍結すると語ったほどである。怖いのは、その発言が本音から出た言葉であることである。

 今上記のような事情から欧米諸国は、自らの発言に神経質なほど気を遣っている。ガザ地区の住民に同情しつつ、ハマスに支援する気持ちはなく、イスラエル政府を支援したい。されどイスラエル軍のガザ地区の一般市民や難民とハマスを問わない激しい徹底的空爆作戦には、反対せざるを得ず、イスラエルとガザの谷間で右往左往している状況である。

 一時停戦、或いは休戦の提案が国連で提案されたが、いずれも否認され、国連の機能も充分果しえず、毎日死者が増え続ける一方である。今仮に休戦になったとしても多数の犠牲者を出したことについて、多くの反省と補償問題が生じることだろう。アメリカは来年行われる大統領選挙で、頭がいっぱいのようである。世界のどこにもこの地域戦争を止めさせる人物はいない。混乱の世の始まりであり、末法の世の出現である。このまま当分の間決着がつかないことだろう。一刻も早く停戦が実現することを、エルサレムを聖地とするキリストとアラーの神に願うばかりである。

 ついては、今日も暑かった。関東一帯が夏日となり、この11月になって東京都と千葉市では11月としては過去最高の27.5℃を記録し、小田原市では28.1℃、甲府市は28.4℃、いずれも過去最も高温の1日となった。暦のうえでは、明日8日は二十四節気の「立冬」である。立冬1日前が夏日とは、地球温暖化はいよいよ止まる気配がないようだ。

2023年11月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6020.2023年11月6日(月) イギリスで粋な飲み屋・パブが激減

 イギリスへ行くと必ずといってもいいくらい、夕方には大衆酒場のパブへ立ち寄っていたものだ。雰囲気も好いし、安全で、単なる飲み屋ではなく、文化の寄り集まるところと言った感じである。文化遺産とも言われるくらいイギリス人に愛されて来た。まだ現役中に旧文部省の教員海外派遣団のお世話をしていた当時、毎年1~2度はイギリスへお供したものである。ヨーロッパでは、ホテル内の朝食以外は昼・夕食はいつも自由だったので、慣れない先生方をお連れして度々パブに入ったことがある。居心地が良かったことを覚えている。

 コロナ渦が拡大した最中にスキャンダルで名を馳せたジョンソン元首相が、パブでパーティを開いて物議を醸したこともある。パブでは食事も提供してくれるので、手軽に利用できる。それはロンドンばかりではなく、地方都市にも多くのパブがあるので、便利である。

 ところが、月刊誌「選択」11月号に掲載された「『英国パブ』絶滅の一本道」を読んで少なからずショックを受けた。それによると今イギリスではパブの数が大分減っているという。一説には、2000年にはイギリス中で6万店以上あったパブが、20年後の2020年には、何と4万店以下に減少したというからパブ好き、酒好きには耐えがたいのではないだろうか。パブ減少の理由は、イギリス人が外ではなく、家で飲む人が増えたということと、近年若者があまりパブに寄り付かなくなって客足が伸びていないイギリス人の生活慣習の変化が挙げられている。

 しかし、パブが閉店、廃業する裏には、こういう表面的な事情だけではなく、実は、大手の金融会社と不動産会社が関わっていることが指摘されている。そもそもパブは人通りの多い賑やかな場所に店舗を構えている例が多い。不動産物件としてパブのある土地をごっそり買い上げて地価高騰を待っているのだという。例えば、タイムズ紙はアメリカの大手投資会社のモルガン・スタンレー社が、パブ経営大手のストーンゲート・グループからパブ1千店の買収計画があるとつい最近報じたばかりである。その買い取られたパブはどうなるのかというと、その地区の一等地にあり、ロンドンなどでは高級マンションに変身する。しかもかなりの高値で、あっという間にマンションは売れるという。こうして文化的名残のあった落ち着いた飲み屋パブが、姿を消し、跡地に高級マンションが建つ。国の経済としては、特に失うものはないが、ちょっと息抜きに通う伝統ある飲み屋がなくなり、リッチな階層が居住する高級マンションが増えることに一抹の悲哀がある。

 実は、昨日コロナ・ワクチン接種の帰途、自由が丘駅周辺のレストランで妻とランチをいただいていたが、車も通らないような狭い道路を隔てた向こう側に、日本蕎麦店、北海道蕎麦店、バー、イタリアンレストランなどがびっしり並んでいた。いずれも店の外まで行列が出来るものだったが、何となくロンドンのパブを想い出した。あのレストラン街が高級マンションに変貌したら、どういうことになるだろうか。

2023年11月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6019.2023年11月5日(日) 阪神38年ぶりの日本一と、暑さで消える日本の文化

 プロ野球日本シリーズでセ・リーグを制した阪神タイガースが、連覇を目指すパ・リーグの覇者オリックス・バッファローズを7-1で破り、4勝3敗で実に38年ぶり、2度目の日本一の座に就いた。今年は3月に開催したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝して、野球景気を盛り上げ、その延長線上で夏の甲子園高校野球も慶応高校が107年ぶりというドラマチックな優勝を遂げた。

 38年より遥かに遡って今年は関東大震災からちょうど100年という節目の年でもある。自然災害からの防止・防災が随分話題になり、警告もなされた。ところで、同じ100年記念でも何となく微笑みがこぼれてくる話題がある。それは先日渋谷のハロウィーンで、周囲を板塀で囲まれ姿を隠していた「忠犬ハチ公像」である。ハロウィーンの翌日には、板塀は取り払われ、懐かしいハチ公が姿を現してその写真を撮ろうと思っていた外国人ら観光客が待ち構えていた。何とあのハチ公像が建設されてから今月でちょうど100年になるという。

 ハチ公と言えば、今は亡くなった両親は2人とも東京生まれの江戸っ子だったから、若かったころに渋谷に立ち寄ると飼い主のご主人を待って駅前に大人しく座って待っていたハチ公を何度も見たと言っていた。私には、待合場所と言われているあの周辺で人と待ち合わせをしたこともないので、格別ハチ公に対して親しみとか、愛情を感じるようなことはないが、昔に比べて、傍を通ると確かに外人を含む多くの人びとがハチ公像と一緒にカメラに収まっている光景を見るにつけ、いつの間にかここも話題の観光スポットになったのだろうか。

 さて、秋冷の候である11月に入ったにも関わらず、このところ日中の気温が平年に比べて暑く、今夏の暑さの延長ではないかとの声が聞かれる。

 東京都内の11月の平均気温は、記録に残っている1875(明治8)年以来20℃を超えたことはなかった。それが地球温暖化の影響もあり年々気温が上がり、2016年の15.5℃以降上昇傾向が続き、昨年はついに20℃一歩手前の19.1℃を記録した。そして今月に入り昨日は、26.3℃という11月としては記録にない夏日となってしまった。昨日まで4日間の11月平均気温は、夏日手前の24.7℃に達した。そして今日はやゝ下がったとは言え、23.7℃である。これには街行く人の感想では、出かける時の服装が難しいと話していた。秋の服装か、夏の軽装か迷うところのようだ。

 いずれ一般的な今年の陽気などについては、専門家筋から公表されると思うが、今では地球規模的に暑さが蔓延し、夏が長くなり、南極の氷も解け始め、グテーレス国連事務総長の言葉を借りれば、「地球沸騰化」現象とまで言われている。「地球沸騰化」という言葉については、今年の流行語大賞候補にノミネートされているほどである。古来日本には春夏秋冬4つの季節があり、それぞれにその季節の味わいが文化や風習面に表れていた。今の状態が持続され、暑さが加わってくると冬の鍋料理などは姿を消し、春秋の風情が見られなくなり俳句などもなくなってしまう恐れがある。

 例えば、秋を表す「秋深き 隣は何を する人ぞ」、「荒海や 佐渡に横たふ 天の川」(いずれも芭蕉作)や、有名な持統天皇の春を詠った「春過ぎて 夏来きたるらし 白妙の 衣干したり 天の香具山」や、「菜の花や 月は東に 日は西に」(蕪村作)の季節感を伝えた日本の俳句、和歌の特異な詩情が伝わらなくなる。暑さが情緒を奪うということだろうか。

 厚生労働省が今年5月から新型コロナウィルスの感染状況を、定点観測値として公表するようになってから、メディアではほとんど感染状況を報道しなくなったが、確かに感染者数は減少しているが、完全に消えたわけではない。日本各地でコロナが流行していた数年前から昨年までは、伝統行事も自粛していた。それが、最近では各地で再び行われるようになって、地元では景気づけになると積極的に行事を再開している。実は、今日妻ともどもコロナの7回目のワクチン注射を受けてきた。2021年5月に初めて接種して以来7回もワクチン接種をしたことに自分でも驚いている。普段外出の際は、今以てマスクを着用しているが、電車やバス車内では最近はマスクをしている人が少ない。厚労省も、メディアもワクチンを無料接種している以上はもう少し、コロナ感染について警戒を啓発すべきではないだろうか。

2023年11月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6018.2023年11月4日(土) 警察官は他の職種に比べて厚遇

 毎月届けられる東京都広報紙11月号によると、東京都職員16万9千人の昨年度の給与総額が、実に15,893億円に達するという。私が大学1年生だった昭和34年の国の一般会計歳出予算、14,192億円を遥かに凌ぐ支出である。東京都の人口は1千4百万人の大所帯だから総額が多いのは理解出来るが、内訳を見て意外だと思ったのは、多種多様の業務の中で警察関係者の給与が一番高かったことである。給料にボーナスなど諸手当を加えた給与が平均月額でひとり524,686円だった。これは、一般行政、警察、小中学校教育、高等学校教育、技能労務の職種の5つに分けられた職種の中でも最も高い。しかも、これら5つの職種の職員の中でも警察官の平均年齢が39.8歳で一番若いのだ。ただ、平均給料は、5つの職種の中で中間の3番目であり、結局諸手当が多いというということになる。つまり、他の職種に比べて残業や非常勤業務が多いということだと思う。仕事柄唐突に呼び出されて非常勤の仕事を行うケースが多いということだろうか。

 今時間外勤務の多い小学校教員の数が足りず、採用試験でも応募者が定員に満たないという話を先日聞いたばかりであるが、その小学校教員よりも時間外勤務が多いという。現場の警察官の仕事は、24時間制勤務でもあり、仮に非番であっても突然呼び出されることもあり、加えて他の職種に比較して夜とか、危険な場所に赴かなければならないケースもある。そのご苦労は大変なものだと常々察していたが、給与面である程度カバーされていることを知り、意外ではあるが、ある程度納得することは出来る。

 さて、相変わらずイスラエル軍のガザ地区への攻撃が激しい。一昨日には、イスラエル軍はハマスの中核であるガザ市の包囲を完了したと発表した。ガザ地区を南北に分断し、ハマスがいる北部を徹底的に攻撃してハマスを壊滅させようとの意図が明らかである。当然南地区へ避難出来ない人々は、攻撃の対象にされる。

 この戦争は、2001年ニューヨーク同時多発テロの後に、アメリカ軍がテロの首謀者を匿っていたタリバン政権のアフガニスタンに対して戦争を開始したが、それに似ているという話を最近よく聞く。当時のアメリカ軍と同じように、ガザ攻撃では圧倒的な軍事力を有するイスラエル軍が、攻撃を執拗に繰り返しているのだ。この2つの戦争の結果は、どういう結末になるのか。アフガンではアメリカ軍が泥沼にはまり、テロ20年後の一昨年無残にも撤退した。今アフガンにはタリバン政権が復活して、民主主義とはかけ離れたイスラム政権・タリバンが再び国民から自由を奪っている。

 少々気がかりなのは、イスラエルのガラント国防相が「イスラエルがガザの暮らしに責任を持つことはなくなる」と冷たく言い放ったことである。散々ガザ地区を攻撃しておいて地区を破壊した後に、何らの復興計画にも協力しないと述べたのだ。イスラエルには、アフガンにおけるアメリカ軍の部隊撤収の二の舞を演じる不安がある。

 ガザ地区に住むパレスチナ人は、1948年のイスラエル建国により故郷を追われた難民たちである。彼らを救う手立てをイスラエルは考えようともしないのだから、今後各国もイスラエルへの支援に二の足を踏むのではないだろうか。アメリカのブリンケン国務長官がイスラエルを訪れ、戦闘停止を求めたが、これにも応えようとしない。これでは和平なんて訪れることは期待出来そうもない。

2023年11月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6017.2023年11月3日(金) 今日は「文化の日」、85歳の誕生日を迎えた。

 今日は祝日・文化の日で、私にとっては85歳の誕生日でもある。息子たちや弟妹からもお祝いのメールをもらった。いつの間にか、長期高齢者の入り口を通り過ぎ、この年齢になってしまった。85歳と言えば、四捨五入すれば90歳である。もう余生もそんなに長くはないが、今まで通り健康で自由気ままな生活を続けられたら有難いと思っている。5人兄弟妹の2番目だが、幸い5人が5人、皆それぞれ元気であることが嬉しい。2週間後には、妹宅で久しぶりに5人兄弟妹全員揃って食事をすることになっているので、今から楽しみにしている。今日まで大きな病気もせず、健康でいられたのは、幸せだと思っている。育ててくれた両親も今やこの世にはいない。せめて父が亡くなった93歳までは生きてみたいと思っている。

 私が生まれた時は、前年に盧溝橋事件が勃発して日中戦争が始まり、軍国色が強まった時代である。戦雲が垂れ込め、遂に3年後には太平洋戦争に突入した。そんな戦時体制下で両親も随分苦労されたことと思う。

 今日皇居では文化勲章の親授式が行われ、能楽師の野村万作さんら7人に天皇陛下から文化勲章が手渡された。この他に、恒例行事である秋の叙勲が行われた。中でも最高の賞である、旭日大綬章を授かったのは、14人であるが、その内元政治家が12人である。また、私より年長者は14人中ひとりしかいない。政治家や公務員に授与される傾向があるが、それでもこういう温かく平和な雰囲気が感じられるのは良いことだ。私が生まれた当時は、時代が天皇制絶対国家体制であったせいもあり、今の文化の日も明治天皇が誕生された日に因んで明治節と呼ばれていた。その1文字をいただいて私は「節夫」と名付けられたが、終戦の翌年には現在の平和憲法が公布され、軍国調の明治節から文化の香り漂う文化の日に衣替えした。誕生日が文化の日になってホッとしている。

 しかし、その平和憲法の存在も今年戦後78年を迎えて、自衛隊を憲法上認めようとする自民党と日本維新の会を中心にして、聊か危うい空気が漂っている。今や国会でも私より若い、最年長議員の二階俊博・自民党元幹事長を始め、すべての国会議員は皆戦争を知らない世代になってしまい、同時に議員全員が戦争を生身で怖いと感じる人たちではなくなってしまったのだ。世界では今ウクライナ、パレスチナで激しい戦闘が続いている。戦争を知らない日本の国会議員らが限りなく近い将来に現行憲法を改正して、自衛隊を軍隊として、防衛費を膨らませ、臨場感で戦争を知らないその戦争に向け一歩を踏み出すのを黙って見ているわけには行かない。

 残念ながら、85歳になっては憲法改正を止めるために、学生時代の60年安保闘争時のようにデモ活動をするということはもう不可能である。でも、それは今の右傾化政治をこのまま見逃して、隠居生活を送れということではない。戦争に熱中し過ぎると、今後数年もするととんでもないハップニングがあるような悪い予感がしてならない。

 それはさておき、一昨日母校・湘南高校の同窓会組織「湘友会」大和支部から再来週にパレスチナ・イスラエル問題などについて講演を依頼された。一応お引き受けすることにしたが、パレスチナ問題については、専門家ではないので、あまり深く立ち入った話は出来ない。しかし、日本ではパレスチナ問題がそれほど知られていないので、自分がこれまでにイスラエルや周辺のアラブ諸国を旅した時の厳しかった体験を話して、少しでも聞き手がパレスチナとアラブの問題に関して、関心を持ってもらえればと願っている。

2023年11月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6016.2023年11月2日(木) 激戦地の真っ只中で取材するメディアの姿

 人道上危機回避を求められているパレスチナ・ガザ地区に、イスラエルは数日前から激しい空爆に加えて、自国への奇襲攻撃に備えた地上作戦を戦闘の中心にした戦いを開始した。人道上の配慮なんて眼中にないようで、襲撃のターゲットはほとんどが難民キャンプだった。当初イスラエルは、ハマスを徹底的に叩いて壊滅させることが停戦の条件であるようなことを述べていたが、今ではイスラエル国民が安心して暮らせるようになるまでと、攻撃を一掃強める強硬姿勢である。これら戦闘により2日前には、イスラエル軍の空爆を受けた難民キャンプで50人以上が死亡したと発表された。昨日現在の死者の数は、ガザ地区で子ども3,648人を含む8,796人、イスラエル側に1,400人以上を数え、合わせて犠牲者は1万人を超えた。ガザの保健省は、「イスラエルが広大な範囲の家屋を標的にした凶悪な大虐殺だ」と非難したが、一方のイスラエルは、「特に言っておきたい。巻き添え被害を最小限にするために、我々はすべての予防措置を取っている」と反省の気持ちなんてまったくなく、一向に攻撃を止める気配はない。

 このような中で厳しい戦場でのメディアの取材合戦をよく見てみると、日本のメディアは戦闘現場近くには足を踏み入れるが、銃弾飛び交う緊張感の漂う危険な現場には、まず日本人の社員がいることはほとんどない。これは大分前から強く感じていたことで、私自身も第3次中東戦争戒厳令下の緊張感のある現場で、日本のメディア関係者に出会ったことはまったくない。1度だけヨルダンの戒厳令下の首都アンマンで、身柄を拘束された時、尋問されたホテルのロビーで4人の取材班に会ったことはあったが、彼らは戦争の取材にやって来たのではなく、偶々世界の王家・王族を紹介するシリーズ番組の取材のために当時のフセイン国王を訪問した直後に出会ったに過ぎなかった。

 今のガザ地区においても、NHKが現地の被災地から生中継と言っても、マイクを握って画面に登場するのは、NHKガザ報道員の現地パレスチナ人である。朝日新聞のガザの報道員にしても現地人である。大分前から気になっていたのは、率直に言って日本人の視点から見ているとは思えない。彼らの言葉を日本の現地駐在員が日本語らしい表現に修正しているようだが、日本人と戦時ガザの住民とは、明らかに物の見方が違うように思われる。大手メディアでは、特にその傾向が強い。これは現地駐在員が不幸にして殉職するようなことになっては、世知辛いようだが、多額の見舞金や補償問題などが生じることから、メディアでは危険地域に自社社員を派遣しようとはせずに、フリージャーナリストや、フリーカメラマンに依頼したり、現地の人を採用するケースが多いようだ。フリーのジャーナリストが、テロ組織によってしばしば身柄を拘束され、時には人質とされ、国単位の賠償交渉となって高額な対価を支払わされるケースがあり、近年フリージャーナリストもその数が大分減った。これならむしろ海外の通信社からニュース・ソースを提供してもらった方が良いと考えたのではのではないかと思える。実際大手メディアを含め、ほとんどのメディアが外国通信社から情報を得ているようだ。

 今後もこれと同じような取材方が続けられるのだとしたら、生々しい戦地の取材は、すべて外国人の見方、特に外国人ジャーナリストに委ねて断片的な情報を、日本的表現に置き換えて伝えるという形になるだろう。止むを得ないとは言え、その分当然記事から日本人的視点や迫力は失われることだろう。

2023年11月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6015.2023年11月1日(水) 「不便で面倒だ!」こんな旅行嫌いがいるとは?

 煩いとか、街が汚れるとマイナス・イメージが喧しかったハロウィーンが昨日には終わり、渋谷駅周辺は人の立ち入りを防ぐために立てられた防護板が取り除かれ、漸く平常に戻った。今年は駅周辺へ人が集まることを制限したために、例年の人出もさほど多くなく騒ぎもほとんどなかった。渋谷区や近くの商店街もきっとホッとしていることだろう。

 さて、芥川賞作家の町田康氏が、今朝の朝日のコラム「輪の芽」に「旅行、そんなに行きたい? 不便だし面倒なのに」と持論を展開している。氏が言いたいのは、旅行には行きたくないというこれまで誰からも聞いたこともない思いがけない気持ちである。理由は不便だからというだけである。家にいれば快適に過ごすために用意されているものを、旅先まで持って行かなければならないことが面倒だとまで書いている。普通は偶には旅行でも行こうかと、何とか時間のやりくりをして、旅費も小遣いをはたいて心が躍るような気持ちで出かけるものだ。それを準備が面倒くさいとか、不便だとか言うのは、とても普通の感覚とは思えない。私なんて若いころからいつもどこへいつ旅行しようかとか、何を目的に出かけようと考えてばかりいたものだ。その旅への憧れが、今世界の注目を集めているイスラエルや、戦時中のベトナム、いつも話題を提供するアラブ諸国まで足を伸ばすことになり、その分臨場感を持って現実に起きている社会現象を感じ取ることが出来たと考えている。旅には数々のプラス面があるが、不便だなどと感じたことは1度もない。むしろこれまでの人生において、旅から得た教訓、知識、友人などは何事にも代え難いと思っている。「可愛い子には旅をさせろ」と昔からの教えがあるように、楽しい旅、厳しい旅、それぞれに得るものは大きい。私は旅のない人生など無意味だと思っているくらい旅に惚れ込んでいる。

 元ロック歌手でもあった町田氏は、気持ちを発散出来るのは、家の中で想像力を解放して思考したり、ものを書いたりすることだそうだ。それはそれで良しとして、普通はそのように室内に閉じこもっている生活から精神的に解放されて、思い切って外の空気を吸うために旅へ出たいというのが、誰もの希望であり、常識的な考えだと思う。この人の不可解な気持ちの中には、旅は予約とか、道に迷うとか、不安だらけだという後ろ向きの気持ちがあるようだ。例え、当初の予定通り旅が出来ずに、変更せざるを得ないとしても、それは別の意味で旅の面白さであり、魅力でもあると思う。

 このような普通の感覚とは思えない性格であるために、町田氏は他人とよくトラブルを起こすようである。私が最もよく覚えているのは、2007年に同年齢のギタリスト布袋寅泰に顔を殴られたと警察に被害届を出して事件になったことがあった。

 氏の言い分をまとめてみると次のように言っているのだ。「自分が旅好きか、嫌いかを見極めることが大事ではないか。何となく周りに合わせて『旅行に行かなきゃ』と思う必要はないし、もし、家で発散するタイプであったなら、堂々と家で遊ぶことをおすすめします」とまで言っている。旅嫌いも極まれりである。

 どう考えてもこの型破りの作家の、旅行が嫌いという気持ちが理解出来ない。

2023年11月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com