5878.2023年6月17日(土) 「週刊朝日」最終号発行、無期限休刊

 「サンデー毎日」と並んで、101年もの長い間発行され日本で一番古い週刊誌である「週刊朝日」が、「6月9日休刊特別増大号」を最後に休刊となった。1世紀以上に亘って発行されていた同誌の休刊を惜しむ声はあちこちから聞こえる。その最終号を手に取って、まずその表紙に驚く。折り畳み3頁の編集部内部の写真である。編集長以下33名の正規・非正規編集部員の思い思いの自由な編集部内の写真に「101年間ご愛読ありがとうございました」と書かれている。編集部内の雰囲気は自由奔放な感じが表れているようだが、これも写真家の演出によるものだ。室内にはとても雑誌を編集するような空気がなく、仕事をしながら遊んでいるイメージが強い。服装もマチマチで、居眠りをしたり、タバコを吸っている人もいる。ボクシングの真似事をしたり、ラーメンを食べたり、お茶くみをしたり、そこへ出前のオッサンが入ったり、実に様々で、朝日らしからぬ面白い企画ではあると思う。

 同誌は、最盛期の1958年新年号には154万部を発行したが、以降年々販売数が下落して最近号では、最盛期の20分の1以下の7万4千部しか販売されなくなった。広告収入も減り、朝日は他に週刊誌「AERA」も発行していたが、時代性や印刷方法などを考え、「週刊朝日」を泣いて馬謖を斬ったようだ。これについては、最終号誌上に林真理子氏が疑問を投げている。

 内容的には、国公立大学高校別合格者リストは少々薄っぺらな感じがするが、グラビアで宮崎美子をはじめ過去に女子大生のポートレートを表紙に載せたことや、ありきたりだが、「週刊朝日とわたし」と題して著名人のインタビューをそつなくまとめている。田原総一朗氏の「首相への進言 今こそ対米従属脱却する好機だ」が同誌らしい最後っ屁だ。

 かつてはあれほど売れた同誌がこれほどまでに販売実績を下げたのは、時代性もあると思う。その最たるものは、現代人が本、新聞など紙上の文字を読まなくなり、紙文化の購買者が減ったことだが、同時に「週刊文春」「週刊新潮」など他の週刊誌が、興味本位のプライバシー暴露や、スキャンダル報道などで一般の関心を呼び、購読者が流失したことが大きいと思う。ともあれ我々の就職期には、憧れを持っていたほどの新聞社が、その大きな売り物のひとつが姿を消していくのは何とも言えず寂しいものである。

 さて、昨夕のニュースでプロ野球界で活躍した2人の元有名選手の訃報を知った。ひとりは、私がまだ小中学生のころフォークボールを武器に活躍されていた杉下茂投手である。彼の最も印象的だったことは、1951年のシーズン開幕前にサンフランシスコ・シールズのオドゥール監督に招かれて、当時強打者として力を存分に発揮していた藤村富美男(阪神)、川上哲治(巨人)、小鶴誠(松竹)とともに渡米して、実力を磨き、そのシーズンに最多勝、沢村賞を獲得したことである。通算215勝の実績を上げた。享年97歳だった。

 もうひとりは、広島カープのエースとして活躍した北別府学である。長年広島の大黒柱として活躍し、86年にはリーグ優勝に貢献し、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、沢村賞の他にリーグのMVPに輝く5冠を獲得した。生涯に杉下投手に2勝足りない213勝を挙げた。白血病症状があったとはいえ、まだ65歳は早過ぎる永眠である。

2023年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5877.2023年6月16日(金) 中西準子さんの連載もの最終回

 昨日の山崎洋さんの出版記念イベントは格調が高かった。岩田昌征氏とトークで交わされた内容は、セルビア国民の世論と欧米の考えが対立していることを窺わせるものだった。彼の大著の読み切っていない部分をこれからじっくり楽しもうと思う。

  昨日こんなこともあった。品川駅改札口周辺で友人を待っている間に唐突にラジオの街頭インタビュー班に掴まり、「一番最初に買ったレコードは何でしたか?」と問われ、急には思い出せなかったが、唐突に小学生のころ毎夕NHKのラジオ・ドラマで放送していた「菊田一夫作詞、古関裕而作曲『さくらんぼ大将』のテーマ・ソングです」と応えた。ところが若い女子アナには70年以上も昔のテーマ・ソングなんてピンと来なくて説明することになってしまい、挙句に完全に覚えてはいなかったが、唄ったところ随分喜んでもらえた。どこの放送局か聞き漏らしてしまったが、少しはお役に立てたのかなと思っている。

 昨日6月15日は、60年安保闘争が激しかった1960年に東大生の樺美智子さんがデモの中で亡くなった日である。その7年前の昨日には今絶頂期の習近平・中国国家主席が生まれた。習主席は70歳、古希を迎えたのだ。今年全人代で前人未踏の国家総主席、及び共産党総書記3期目に入り、権力を欲しいままにして権力基盤を一層固めつつある。今月中国では大学生の入学シーズンに当たり、一斉テストである「高考」が終わったばかりであるが、提起された問題に習主席の言葉が出されたという。それについて受験生が彼らなりにコメントを書くわけであるが、習語録に対して褒めたり、高評価を与える文章を書くに決まり切っている。そうやって思想操作、コントロールを行っているのではないかとの声が聞かれる。今の権力欲から考えると現在の第3期習政権が終わっても、後継者が見当たらない現状から75歳になる習主席は、更に第4期政権へ踏み出していくのではないだろうか。

 さて、朝日新聞朝刊「文化」欄に「語る~人生の贈りもの」と題して連載中だった高校同級生の中西準子さんのインタビュー記事が今日14回目で最終回となってしまった。予告の段階では大分期待して、同窓生や関係者にメールで知らせた。ところがその内容は、初代リケジョと自称するだけに工場排水に関する専門的、技術的なことが多く、大分難かった。母校に入学したことはほんの1~2行にしか書かれなかった。旧満州に生まれ苦しい生活の中で育ったようだが、戦後引き上げるまで上海生活を送ったことや、高校時代の記述がほとんどなかったのが、それこそ興味深く期待していたので、やや残念に思っている。文化功労者として、相変わらず在野で活躍されておられるが、今後も益々活躍されるよう期待している。今では高級福祉施設に入居され自由に生活されているようだが、まだまだ元気な様子なので今年辺りはコロナ後初めて開催されるであろう同期生会には出席されるだろうから、その折話が出来ることを楽しみにしたいと思っている。

2023年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5876.2023年6月15日(木) セルビア大使館で友人の出版記念会

 セルビアの友人・山崎洋さんが一時帰国し、今夕セルビア大使館で「山崎洋仕事集・丘を越えて海を越えて」の出版記念イベントが開催された。昨年も同大使館で夫人との共著の出版記念会を開いたが、相変わらず執筆への意欲は旺盛である。本書は600頁を超える大書で価格も税別で4,500円なので手軽に入手出来るものではない。友人から前もって1冊出版社を通して贈っていただいていたが、まだ半分も読んでいない。話を聞いていてやはり読んでおくべきだったとの悔いが残る。これまでに雑誌や新聞などに公表した論文や論説、エッセイなどを整理し1冊にまとめられただけに、主にセルビアの社会的、外交的な優れた文章が揃っていて中々読みごたえがある。同書には、恥ずかしながら私を紹介する記述が、2か所もあり恐縮している。特に1文は、「三田評論」2022年6月号に掲載された文章の転載で、初めて彼と出会った経緯と今日までの交流について書かれている。表紙のレイアウトも画家であるご子息が描いたもので、中々洒落たデザインである。

 いつも通り大学ゼミの友人にも声をかけたが、中には出席したい気持ちはあれども予定が重なって参加出来ないことを悔やんでいた友人もいた。そこで今日はゼミの友人1人と高校時代の友人の3人で出席した。

 イベントでは、山崎さんの執筆に際しての苦労話もあり、続いて彼をよく知るジャーナリスト・岩田昌征氏が書いたユーゴスラヴィアの自主管理社会主義について持論を語っていた。山崎さんと中々格調の高い議論だった。

 午後から雨が降り出したので、イベントが終わってから軽くワインをいただいて大使館を辞した。一緒に参加した友人も山崎さんの著書を買うつもりだったが、大使館内では販売は出来ないということで後日アマゾンから購入するとのことだった。

 さて、今日午後国会では参議院財政金融委員会が開かれ、今国会でも重要法案である防衛費増額に向けた財源確保法案が可決された。もうひとつの重要法案である少子化対策への財源がなく苦慮している時に、再軍備費用はいとも簡単に捻りだせるのには違和感を覚える。立憲民主党のある議員は、「どういう歳出改革を行って財源を確保するのか見通しが立っておらず、財源論としてあまりに無責任。財源確保のための増税についても復興特別所得税のスキームを流用していて悪質である」とまで批判している。

 政府の防衛費増額は単なる増額ではなく、そこにはアメリカへの気配りが見え見えなのだ。1発3億円のトマホークを400発、各種戦闘機6千億円など高額な支出はすべてアメリカから購入し、5年間に43.5兆円を注ぎ込む。これとは別に気になるのは、これだけ大事な防衛費支出が、どうしてもっと与野党間で是非を徹底的に議論しないのか。それはメディアにも言えることだ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が、相変わらずまかり通っている。今以て防衛費の膨張予算について鋭い論調を言い続けているのは「赤旗」だけである。日本は益々軍事国家化しつつある。

2023年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5875.2023年6月14日(水) 元外務省分析官・佐藤優氏の日本外交分析

 ウクライナに対するロシア軍の攻撃は相変わらず問答無用である。報道ではウクライナが部分的に反撃したとも伝えられるが、大勢ではロシア軍の攻撃が激しい。先日ウクライナのヘルソン州でダムが破壊されてからヘルソン州では周辺に大規模な洪水が押し寄せ、多くの避難民が飲料水にも困っている状況にある。

 こういう戦況についてウクライナ、ロシア双方の言い分は、ダムが破壊されたのは相手によるものであるとお互いが相手国を非難し合っている。実際の戦況について本当のところはどうだろうか気になっていた折に、昨日発売された「週刊現代」6月17日号に、ロシアに詳しい元外務省主任分析官の佐藤優氏が、全情勢分析として「ロシア・ウクライナ戦争 正しい理解の仕方」と題して自身の考え方を述べている。ロシアは形勢不利になれば核を使用するので、アメリカはこの戦争に参戦する気はまったくない。特にアメリカはロシアが、「サルマト」というICBMを開発したが、これは南極経由でアメリカを攻撃出来る代物であり、アメリカは今日まで北極経由のミサイル以外まったく想定していなかった。そのためこれに対する防備体制が出来ておらず、使用されることにアメリカは警戒心を強めている。当初はウクライナとロシアの2国間戦争だったが、途中からは日本を含む西側諸国とロシアとの戦争に変容しているとも語っている。

 また、台湾有事を例えに、現在のウクライナを日本と考え、日本が中国と戦うか、或いは、台湾がウクライナの立場で、日本がポーランドの役を務めるかも知れないと言っている。こんな物騒な論理を展開しているのだ。他にもいくつも卓見を主張しているが、ロシア人の性格と国民性を知り抜いているからこそこの佐藤氏の分析は説得力がある。佐藤氏の結論は、「日本人は何も分かっていない。世界が笑っている日本の『ゼレンスキー礼賛』」というから、まるで今の日本の外交政策を憂いながらもせせら笑っているように思える。

 それにしても日本国憲法は戦争を禁止しているが、今や泥縄式に自衛隊という疑似軍隊を抱え、装備も充実させ、日に日に臨戦態勢を備えている。少子化対策が岸田内閣の1つの金看板でありながら、肝心なその予算措置が講じられていないのに対して、軍事費は使用目的が明確化されていないにも関わらず、多額の支出を決めている。佐藤氏の指摘を待つまでもなく、日本は今戦争にまっしぐらである。

 話は全く別物であるが、驚いたことに今日陸上自衛隊の岐阜市内の射撃場で今年入隊したばかりの18歳の自衛官候補生が、3人の先輩自衛官に対して小銃を発砲し、内2人を死亡させたとの衝撃的なニュースが今朝慌ただしく伝えられた。この新米自衛官の採用も当然大幅に増額した本年度防衛費予算に組み込まれていたものだ。この不祥事は偶々起きた事件であるが、無駄に使われた予算であることは間違いない。しかし、国費を無駄にしたことは間違いない。本件以外にも自民党並びに防衛省は、極力国費の無駄遣いをしないようくれぐれも注意して欲しいものである。

2023年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5874.2023年6月13日(火) 国内外著名人の栄枯盛衰

 一昨日元官房長官だった青木幹雄氏が亡くなった。自民党の参議員議員会長を務め自民党のドンと言われた大物議員である。小渕恵三首相の下で官房長官を務め、首相が体調を崩して休まれた間首相代理を務めたこともある。自民党内では古賀誠元幹事長、野中弘務元幹事長と並ぶ陰の実力者だった。享年89歳だった。

 そして昨日海外でも大物政治家が死去された。日本人でもかなりの人がその名を知っていると思われるイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相である。86歳だった。長い政治家活動の間に4度も首相を務めて政界はもとより、サッカー界、プライバシー面でもその名は轟いていた。建設業者として財を成し、同時に放送会社を経営して政界に進出した。政治家としては名を上げたが、複雑な政界事情により波乱万丈な政治家生活を送った。軽口で物議を醸すことも多々あった。特にオバマ元大統領夫妻に対しては、人種的な差別感を与えるような発言が度々あり、夫人を怒らせたこともある。人格的には一国のリーダーとしては首を傾げる点もあった。イタリアを訪れると絶頂期だった時もあるが、その次に訪れた時には名は知られていたが在野の1議員だったり、浮き沈みの激しい政治家生活を送っていた。晩年になってイタリアを訪れると出迎えてくれたガイドさんに、「ベルルスコーニは元気ですか?」というのが挨拶となったほどである。良きにつけ悪しきにつけ、印象に残っているイタリア人である。これからは彼の噂も聞かれないと思うとちょっと寂しい気もする。

 もう1組、著名なグループについて取り上げてみたい。それはあの「ビートルズ」である。ビートルズについては昨晩NHK「世紀の映像」で、「ビートルズの革命~音楽と言葉で世界を変えた4人の若者の冒険」前編と題するドキュメンタリーとして放映された。10年足らずの活動期間にレコードの総売り上げ数が10億枚という世界最大のヒットメーカーだった彼らの活動を、ビートルズ生誕前後から解散までを追っていた。彼らが異色だったのは、4人が揃ってリヴァプールの労働者階級の家庭に生まれ育ったために、下層階級の気持ちに同情し寄り添っていたことで、それが階級制や人種差別に反対する立場を取らせたことである。ちょうどアメリカでキング牧師が非暴力差別抵抗を指導する公民権運動がピークに達し、ビートルズは彼らに寄り添った。それが世界の保守派の一部にはビートルズに対する反感を買ったようで、アメリカ国内でのコンサートや、日本では右翼団体の激しい反対により宿泊先のホテルから一歩も外へ出られない不条理な対応を余儀なくされた原因ともなった。

 最初のプロデューサーの良き指導もあり、ショーの前後には揃って観衆にお辞儀をし、また背広とネクタイを身に着けるエチケットなど、他のロック・シンガーとは一線を画していた。このようなことは知らなかったが、やはりビートルズには聞く者に感銘を与える実力と所作があったことに私もテレビを通して感銘を受けた。1970年にはグループは解散してしまったが、短い間に大きな花を咲かせた惜しいロック・グループの解散だった。

 偶々ジョン・レノンが銃撃されて亡くなった1980年12月8日には、私自身南仏マルセイユでそのニュースを号外で知り、その驚愕的な記憶は今でも頭の中に残っている。来週もこの後編が放映されるようだ。楽しみに待ちたい。

2023年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5873.2023年6月12日(月) 国の分離独立と鎖国政策

 アメリカではトランプ前大統領が来年実施される大統領選へ準備を進めている中で、機密書類の不正持ち出しなどで起訴された。今年3月に続いて2度目のことである。こんなことは中国やロシアでは絶対有り得ないことである。仮に習近平総書記や、プーチン大統領が違反行為を行って、仮に露見しても隠蔽し、知った周囲を抑圧して逮捕されるということはまずない。それだけ民主主義国家では、個人的に政治的な力があろうとも国家警察の力は毅然としている。また、こういうことも言える。例え多少傲慢であろうとも、法に逆らうことなく、自らを外の世界へ曝け出し、自らの力を訴える逞しさが評価されることだろう。

 イギリスで昨日こんなことがあった。スコットランドのスタージョン前首相が逮捕されたとのニュースが伝えられた。前首相はスコットランド民族党の前党首でもあり、スコットランド独立運動の中心人物だった。彼女は独立運動の疑いで逮捕されたのではなく、党の資金を巡る疑いで逮捕されたもので、政治的な匂いはないと見られているが、果たしてどうだろうか。

 日本では「イギリス」と一括りにされているが、旧大英帝国はその後互いに袂を分かち、民族的、また宗教的に分裂して、現在イギリスと呼ばれているのは、グレート・ブリテン島内のイングランド、スコットランド、そして海を隔てたアイルランド島の北部の北アイルランド地方である。同じ島内のイングランドがイギリスの実権を握っているのに対し、エディンバラやグラスゴーのような歴史的な都市のあるスコットランドは、イギリスからの分離独立を志向する動きがこれまでにもあった。今回のスタージョン前首相の逮捕も必ずしも独立運動とは無関係とは言い切れない点もあるのではないかと思う。

 この種の事象が起きるといつも思うことであるが、同じ国内に民族的、宗教的に異分子が居住していたら揉めることも多いと思う。その点で考えるなら、日本は民族的にも宗教的にも際立った異分子は国内にほとんどいない。支配、統治し易い国と言えるだろう。ただ、それが観光客なら大歓迎だが、難を逃れて日本へ難民として入国を希望する外国人に対しては厳しい政策を取っている。2021年の難民認定数も日本では僅か74人しか認めていない。これは難民希望者のほんの0.7%にしか過ぎない。昨22年に増えたとは言え、せいぜい202人でしかない。日本は、世界でも類を見ない極めて少ない難民認定数と言われている。ある面で鎖国政策と揶揄されても仕方がない。

 科学学術分野のような知識人だけが競争する世界ならともかく、これまで一般社会で外国人と交流し合う機会が少ないことが、逞しさを育てることなく、外国人と伍して行ける能力を育んで来なかったと言えよう。これからの世は、日本人だけの殻の中へ閉じこもっているだけではなく、積極的に外へ出て、外の人も迎え入れる逞しさがもっと必要だと思う。

2023年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5872.2023年6月11日(日) 東大名誉教授のナンセンスな提言

 いま日本では少子高齢化が大きな社会問題となりつつある。昨年は女性が生涯に生む子どもの数が過去最少となり、今後これは一層大きな社会問題となる。政府も「少子化対策」を喫緊の最重要課題と掲げているが、あまり明るい展望は期待出来ない。

 この重要課題に井堀利宏・東大名誉教授が、月刊誌「選択」6月号の巻頭にナンセンスな言い分を提言している。その最大のポイントは現状の選挙制度を改定して、不条理にも若者重視の制度に変えよというのである。その具体案として、先ず「世代別選挙区」制度の導入を訴えている。「青年区」「中年区」「老年区」に分けて、それぞれの代表を選出することを提案しているのである。青年区から選出される代表が若者の意向を反映することが出来るというのである。教授は、現状の18歳では若者票がまだ足りないという考えから、更に参政権の年齢を引き下げるべきだとも主張している。その極端な例が、子どもを持つ親は、子どもの数だけ投票出来るようにして、参政権年齢を実質的にゼロ歳まで引き下げようとの乱暴な説である。生まれたばかりの子どもに1票を与え、これを親が替わって投票する。まだ考える能力の備わっていない赤ちゃんにも1票を与えるというのだ。どこからそんな無謀な発想が生まれるのだろうか。

 そのうえ以下のような身勝手な主張までしている。それは、余命の長さと政治的発言力を比例させるために、90歳の人の投票権を1とした場合、20歳の人のそれは5倍とか6倍にするというものだ。お年寄りの票は軽視し、若者の票ほど重視せよと言っているのだ。この暴論には呆れかえる。これでは憲法が保証する国民誰もが平等に有するひとり1票の権利にそぐわず、憲法違反にも該当するのではないだろうか。

 教授は若者の権利と行動を重視するあまり、高齢者の自由、平等の権利を極端に制約して、若者の投票権利を高く評価するよう訴えており、極めて理不尽だと言わざるを得ない。その前に現実をもっと直視してもらいたいと思う。若者の意見があまり反映されないことを盾に主張されるなら、その前に若者が選挙に際し与えられた投票権をきちんと行使するよう教育することの方が先決ではないだろうか。現状では若者の投票率はあまりにも低過ぎる。彼らは国民の権利を充分行使していないのだ。それが出来ないからと若者有利な手段を講じたとしても、基本を守らないで若者以外の世代層を納得させることが出来る筈がない。

 70歳を過ぎた後期高齢者の学者が、あまりにも身勝手に若者重視の選挙制度をアピールするなら、もっと若者の教育に注力し、彼らが憲法の精神をしっかり身に着けるよう啓蒙すべきではないか。日本最高峰の東大教授が、このような暴論を提言するのは軽薄過ぎると思う。こういうアピールの仕方は、象牙の塔に籠り過ぎて、俗世間とほとんど接触せず、世間を知らなすぎるが故の「学者馬鹿」であろう。

2023年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5871.2023年6月10日(土) ジャングルで大人は「死」、幼児は「生」

 世の中には、驚くべきことや、奇々怪々なハップニングは起こり得るが、このニュースばかりは俄かには信じられない。ジャングルで発見された時の最初の報告が、「奇跡、奇跡、奇跡だ!」というものだった。これを聞いた大統領が、「国にとっての喜びだ! 国への贈り物だ!」と率直な喜びを表しツィッターに投稿した。

 こんなことがあるのかと思えるハップニングは、南米のコロンビアで起きた。ことの発端は、去る5月1日アマゾンのジャングルに小型飛行機が墜落し、操縦士と母親ら3人の大人の死亡は確認されたが、4人の子どもたちの行方はようとして分からなかった。そして約40日も経過して昨日になって奇跡的にも13歳、9歳、4歳、1歳の子どもが生きていることが確認されたという。しかも1歳の赤ちゃんはこの間に初の誕生日を迎えていたことが分かった。とても信じられない。彼ら母親と4人の子どもは、現地先住民だった。子どもたちには、脱水症状や虫に刺された症状があるというが、1か月以上もの間幼い子どもだけで野生動物が生息するジャングル内で、誰の助けを借りることもなく食事も与えられず無事という奇跡なんてあるだろうか。ネットで現場の写真を見るとジャングル特有の大きな植物や、適度な気候が幸いしたように思える。これがゴツゴツした岩山や、強い日射の砂漠地帯、海上だったらとてもこんな奇跡は生まれなかったと思う。

 子どもたちの母親は亡くなったが、祖父母や父親は生存しているようなので、肉親や周囲の温かい理解と助けを得て子どもたちが揃って、第2の奇跡である全員が天命を全うするまで健康に生きながらえるよう願って止まない。

 さて、世襲議員へ厳しい批判が高まっているが、「週刊ポスト」今週号は、「岸田バカ息子(翔太郎氏)が公邸追放、広島で『立候補準備』へ」と少々意地の悪い見出しで、先般首相政務秘書官を更迭された首相の長男を取り上げている。しばらく派手な行動を起こさないよう自重すれば良いのに、この長男もこうなったらこうするしかないとばかりに早変わりで世襲ぶりを発揮しているようだが、物笑いの種になるのではないだろうか。

 自民党内では頭の蠅も追い払えぬ内に、岩手県では筋金入りの世襲候補を自民党県連が自民党本部へ次期衆院選公認候補の申請を行う方針だという。その世襲候補とは、米内紘正・岩手県議員で帝国海軍の総司令官として海軍大臣も務めた米内光正元首相の曾孫だというから、並みの世襲候補とは別格である。学歴も開成高校から東大農学部卒というから、安倍氏や麻生氏のようないわゆるお馬鹿首相とは違うようだ。ただ、それでも米内県議の名を出せば、必ず曽祖父の米内光政元首相の名が思い出されるだろうから、世襲の恩恵を受けることは間違いない。本人は当然曽祖父の高名を利用したいだろうから、どうやって世襲候補者のイメージを払拭しつつ、自らが出来る行動と政策をアピールするかということになろう。

 残念ながら一時世襲制度を批判的にアピールしていたメディアに、昨今「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の傾向が見えるのがどうも気になるところである。

2023年6月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5870.3023年6月9日(金) 知っている筈の道を間違えるとは?

 今日所属しているNPOで講演会があり、聴講に出かけたが、私にとっては初めての会場だったので事前にコピー地図を持参した。ところが、雨が降っているせいもあったが、渋谷駅からいくら歩いても目的のビルへ行きつかず、途中で宅急便のドライバーに道を尋ねたところ道路が違うと言われ、それらしき目的地は距離的には行き過ぎていることが分かった。挙句にドライバーからは、雨が降って目的地へ行くのは大変なので、タクシーを拾った方が良いとアドバイスまでされてしまった。宮益坂から青山通りへ向かわなければいけないのに、明治通りを歩く大チョンボをやらかしてしまったのだ。現役のころならこんなチョンボはなかった。況してや通勤で乗り換えしていた渋谷駅近辺の道路を間違えるなんて恥ずかしいことだ。結局タクシーを捉えてドライバーに地図を示しながら目的地へ向かったお粗末だった。周辺の環境は知っていただけに油断したのか、最初から道を間違えていた。認知症第1期かな? それにしてもこの周辺は最近来たことがなかったので気が付かなかったが、新しいビルが建て込み、洒落たファッションの高級店舗が軒を並べて環境は随分変わってしまった。

 さて、毎度お騒がせのトランプ・アメリカ前大統領が連邦検察から政府の機密文書を不適切に持ち出した疑いで起訴されたとびっくりするようなニュースが入った。元大統領が不名誉にも起訴されることなんて、3月のトランプ自身の初めての起訴に続き、アメリカ大統領史上初めてのことだ。トランプ氏は、即座に自分は潔白だと主張し、これはバイデン政権による選挙妨害であり、魔女狩りだと断固反論した。相変わらず責任逃れの弁明を繰り返している。来年実施される大統領選を巡って共和党内ではかなりの有力者が名乗りを上げている。すでに10人が手を上げている。トランプ氏の最大のライバルと見られているのが、デサンティス・フロリダ州知事である。その他の大物としてヘイリー元国連大使、ハッチンソン・アーカンソー州前知事、バーガム・ノースダゴダ州知事らが名乗りを上げたが、昨日トランプ大統領の下で副大統領だったペンス氏が、トランプ氏に盾突くように立候補宣言を行った。しかし、現状ではトランプ氏の地盤が支持率56%とかなり固いので、票が拡散して一層トランプ氏が有利である。そこへトランプ氏の不祥事が大きく報道されることになった。このままではトランプ氏もうかうか出来なくなってしまった。この先裁判の成り行きが注目される。

 もうひとつ女子テニス界で事件が起きた。どうも落としどころを間違えたようですっきりしない。去る4日全仏オープンの女子ダブルス3回戦で日本の加藤未唯選手が、コートの外へ打ったボールが、運悪くボール・ガールを直撃した。審判から直ちに警告を伝えられたが、相手ペアが異議を唱えて審判は警告を覆し、失格処分とした。これに対してプロテニス選手協会をはじめ、一部の人を除いて加藤選手の失格は厳し過ぎると対応に批判が出ている。加藤選手は賞金と獲得ポイントまで取り上げられた。失意のドン底に突き落とされた加藤選手は、気を取り直し翌日の混合ダブルス準決勝、そして昨日決勝で勝ち、堂々初のタイトルを獲得した。現在加藤選手は全仏大会主催者のフランステニス連盟とグランドスラム委員会に失格を取り消し、賞金とポイントの返還を求めて提訴している。加藤選手にそれほど落ち度はないと思われるが、陰ではアジア人選手に対する人種差別ではないかとの声も囁かれているようで、結論はどういうことになるだろうか。まだひと悶着ありそうだ。

2023年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5869.2023年6月8日(木) 戦時歌謡、軍歌の良いところ

 今日梅雨入りしたようだ。先日の台風2号に続いて今フィリピン東方に台風3号が発生しているらしい。これから1週間ほど悩まされそうだ。

 今取り掛かっているドキュメント作品の中で戦時中に流行った軍歌について若干頁を割いているので、YouTubeなどで調べてみると軍歌についていろいろなことが分かって興味深い。初めてビルマ(現ミヤンマー)やインドネシアを訪れた時、随分現地の人々が日本の軍歌を愛し唄っているのに驚いたものだ。軍歌についてはすでに上梓した拙著にも書いているが、軍部従属、戦意高揚に手を貸したとして、戦後まもなくマッカーサーの連合国司令部によって禁止された。しかし、その後徐々に緩和され今ではどこでも歌えるのだが、 歌詞が忠君愛国の軍国調のため、また再軍備に利用されるとの懸念からあまり大っぴらには流行ってはいない。

 ただ、「愛国行進曲」が、戦時中流行って第2の国歌とも言われたとは知らなかった。フランスの国家「ラ・マルセイエーズ」は、フランス革命に因んで作られた「ライン軍軍歌」というのがオリジナルだそうで、他にも戦争や革命を機に作られた国歌はかなりあるようだ。案外東南アジアの人たちにとって日本の軍歌はメロディーが馴染みやすいようで、かつてジャカルタ郊外の集落で知り合った警察署長さん宅の近くで随分日本軍歌を聞かされたものだ。それ以前にスカルノ大統領が来日してテレビ出演した際には、大統領が「愛国の花」を日本語で唄われたのを観て現地では大統領にまで唄われていたのかと感銘を受けたことがある。また、フィリピンのマルコス大統領イメルダ夫人は、大統領とともに皇居を訪れた際、前記の「愛国行進曲」を香淳皇后とともに合唱したとの話もある。それほど戦前の軍歌は、東南アジアでは受け入れられていた。とにかく言葉がはっきりしていることと、元気の良さを感じさせるところが良い。

 この他に「空の神兵」が、藤山一郎をはじめ多くの歌手によってレコード化され、戦後も国内では唄われているようだ。加藤隼戦闘隊がインドネシアの石油基地パレンバンを攻撃し、空挺団が奇襲的に落下傘降下したことを唄ったこの軍歌は、今では習志野自衛隊空挺部隊の隊歌とも言われ、各種行事の折には、その開会に当たり必ず音楽隊が演奏する。確かに兵士を元気づける歌詞になっていたり、神国日本をカモフラージュするようなとても今日受け入れがたい点はあると思う。難しいことではあるが、歌詞の内容は別にして良いメロディーをこのまま放っておくのは惜しいような気がする。

 個人的には「加藤隼戦闘隊戦隊歌」と「ラバウル海軍航空隊」が勇ましくて好きだが、特に前者は、長年旧陸軍戦友会慰霊団を計画、添乗や、太平洋戦争戦没者遺骨収集事業などに関わりよく戦友会の人たちと唄う機会があった。この戦隊歌の作詞者や、加藤戦隊長未亡人らをも存じ上げていたので、思い込みも人一倍強い。一般に軍歌を単に戦争を賛美する歌と思わず、良い点をもっと理解して欲しいと思っている。東南アジアの人々と同じように・・・。

2023年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com