3063.2015年10月2日(金) 原発再稼働次々と

 今年は自然の猛威に襲われることが随分増えてきた。火山噴火、大雨、台風、竜巻、洪水等々、例年に比べて自然が与えた災害は深刻で惨々たるものである。台風もすでに上陸したものだけで21を数える。先の関東・東北豪雨の悲惨な被害から日時を経ずして、昨日から再び台風21号に付随して豪雨がやってきた。今朝方まで戸外では激しい風と雨の音が聞かれた。昼近くになって漸く晴れ間が見えてきた。

 日本は地形的に自然災害に襲われる運命にあるが、せめてそれらの防止のために知恵を絞って欲しいと思っている。残念ながら、最近それに逆行するような動きがまたぞろ出てきた。それはまず川内原発で稼働がスタートしたことである。原発推進賛同者は世界最高の技術水準とか、故障が感知されたら稼働をストップさせるとか言っているが、絶対事故は起きないと言い切れるのかとの問いに対しては、誰も自信を持って明確に答えることが出来ない。つまり専門家ですら、最高水準の安全性を保つとか、事故は絶対発生しないなんてあり得ないということが分かっているからである。

 しかし、原発再稼働を何とかして全原発に実施させたい政府、及び電力会社にとって、九州電力が同社川内原発2号機の原子炉を今月14日以降に起動し、再稼働させると原子力規制委員会に報告したことは今夏川内原発1号機の一里塚を越えて一安心したからであろう。これで東電福島第1原発事故を精査したうえで新規制基準を定めた後の再稼働は、川内原発の2基となる。いずれも現在噴煙を吐き出している桜島からそれほど遠い場所ではない。

 一方で、今日福島原発事故で漏れた汚染水の処理に充分対応しなかったとして東電が書類送検された。これほど周囲で話題になっても、事故が起きればフォローが充分行き届かないことを示している。他方で、四国の伊方原発の再稼働については町民の賛成を受け町議会は今日原発GOサインを出した。これは町の財政的な面と町民の雇用を考え町の活性化と、原発の危険とを秤にかけた苦渋の選択だろう。

 ともかく100%安全とは言えない新規制基準下の原発再稼働を、自然災害がいつ襲ってくるかも知れない環境下でやってしまおうというのである。しかも、今年は桜島、口永良部島、箱根、阿蘇山、小笠原諸島近海などで火山噴火が見られ、日本列島全体に地下のマグマの活発な活動が見られるのである。仮にもし再び原発が事故を起こして多くの犠牲者を生んだら、誰がどういう形で責任を取ってくれるのだろうか。

2015年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3062.2015年10月1日(木) 「マグナ・カルタ」って何だ?

 世界史でマグナ・カルタを学んだのは高校時代だったが、当時は大学受験で頭が一杯だったので、あまり歴史的事実関係とか、時代背景についてその何たるかはあまり関心がなかったし、考えもしなかった。ただジョン・イングランド国王の治世下の1215年に発布されたマグナ・カルタは、イングランド王としての自らの権限制限を制定した大憲章とだけ憶えた。わが国では、厳しい縦社会の武家政治が始まったばかりの封建時代である。今年そのマグナ・カルタが発布800年の記念すべき年に当たり、イングランドでは今年それなりの行事が行われていると思う。

 それが、日本ではどうかというと、何と今年の北海道大学の入学試験に関連の問題が出されたのだ。40年ほど前初めてイギリスを訪れた時、ロンドンから確かウィンザー城へ向かう途上だったと思うが、ラニミード地方の野原の端っこに記念碑らしき石碑が建てられてあった。ガイドによるとそれがマグナ・カルタ記念碑だった。ジョン王は、どちらかというとそれほど評価の高い国王ではなかった。彼はフィリップ・フランス国王との戦に敗れてイングランド領地だったフランス内の国土を失い、財政的に苦しくなり増税しようとして貴族らの反発を買い、自らの権限を縮小させられて制定させられたのが、瓢箪から駒というか、この大憲章である。後にローマ教皇から大憲章の放棄を求められるなど、概して浮かばれない国王だった。だが、このマグナ・カルタが危うくなりながらも今日のイギリス憲法の下地になったことを考えると、マグナ・カルタ制定に関わったジョン王は非凡の王だったとも言える。

 しかし、我々日本人にとっては、受験用の知識としてしか教わらず、覚えようともせず、況してや成立した時代背景や、その内容についてはあまり関心がなかったのではないだろうか。それが、北大入試に下記のような質問形式で出題された。

 「インノケンティウス3世と対立し破門された王ジョンは、大憲章(マグナ・カルタ)を承認させられた王としても知られる。大憲章承認にいたる経緯を60字程度で簡素に説明しなさい」。

 これに対して都立高教諭が次のような模範解答例を書いている。

 「フランス王に敗れて大陸領土を失ったジョン王が財政難から重税を課すと、貴族が結束して王にせまり、大憲章を承認させた(57字)」である。そうかぁ。なるほどそうかと思えども、正しいとも、間違っているとも言えない。これで満点をもらえるのか。

2015年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3061.2015年9月30日(水) 朝日は反省すべし。夏目漱石を考える。

 朝日朝刊に夏目漱石の「門」復刻版が連載されている。そして今日「漱石の世界」と題する特集別紙8頁(広告込み)が付録として届けられた。漱石と言えば、近代日本文豪の中でも最高レベルの作家であり、小学5年の時、母親から勧められて初めて「坊ちゃん」を読んでから虜になり、すっかり漱石ファンとなった。

 昨年来漱石作品を朝刊紙上に次々と復刻連載して、私も漱石初版本時代の雰囲気に浸りながら改めて読み直しているが、いくつか新しい事実を知った。漱石は東大で教えていて教授一歩手前で請われて朝日新聞社へ入社した。40歳で途中入社とは言え、「坊ちゃん」「吾輩は猫である」等を世に出し作家としてすでに地歩を確立していたので、当然ながら雇用条件は一般の中途入社社員とは大きな差があった。入社後、「虞美人草」「三四郎」「それから」「門」「彼岸過迄」「行人」「心」「道草」等々の大作を次々と発表した。朝日としては大いに元を取ったのではないかと想像している。そして、平成の今日また復刻版を連載して、朝日は漱石の恩恵に浴し続けている。正に漱石様々ではないだろうか。比較的自由な新聞社勤めだったようで、朝日の人使いが荒かったとは思えないが、入社9年後の大正5(1916)年漱石は、「明暗」を未完成のまま49歳で他界した。

 その漱石が「朝日新聞社の読者へ」というメッセージを残している。全社傲慢体質の朝日に対してではなく、読者個人個人に宛てたものである。

 「~自分の作物を読んでくれる人は何人あるか知らないが、その何人かの大部分は恐らく文壇の裏通りも露地も覗いた経験はあるまい。全くただの人間として大自然の空気を真率に呼吸しつつ穏当に生息しているだけだろうと思う。自分はこれらの教育あるかつ尋常なる士人の前にわが作物を公にし得る自分を幸福と信じている」と記している。漱石は読者に感謝し、自分の作品を読んでもらえることを無上の幸せと思っていた。それほど読者を何物にも代えがたい存在と考えていた。近年の朝日新聞が驕り高ぶり、読者を軽視した態度を取っているのとは大きな違いである。元雇用主の朝日も文豪・夏目漱石を見習って、もう少し謙虚になっては如何であろうか。

2015年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3060.2015年9月29日(火) 2020年東京オリンピック追加競技

 2020年東京オリンピックで開催都市に提案権とやらが与えられている追加競技について、大会組織委員会は、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目をIOCに提案することを決定した。野球・ソフトボールが追加競技の中では最も知名度があり、ファンが多いことや、2008年北京大会で実施されたことを考えると順当な選定と言えよう。

 但し、日本で最も人気のあるスポーツで過去にも実施されたことから言えば、野球が選ばれたのは当然とも言えるが、オリンピックのような世界中から多くの選手が参加する最高レベルのスポーツ・イベントであることを考えれば、野球が世界的に平均して人気のある競技であるかどうかを考える必要があると思う。実際スポーツ評論家・玉木正之氏が、野球は外しても良かったのではないかと言っていた。その理由として、野球の世界的普及度が今一つということと、最も盛んなアメリカで最高レベルにあるメジャー・リーグがオリンピックにあまり協力的ではない点を指摘していた。実際過去のアメリカ・オリンピックチームの選手構成は必ずしも最高レベルの選手らで編成されていたわけではない。アメリカ、並びに大リーグ関係者にとっては、オリンピックと並行して行われるペナント・レースのスケジュールを優先するため、第一級の選手をオリンピックに出場させるわけにはいかなかったためである。

 他の競技でも若者向きのローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンなどが果たして競技種目として適当なのかどうか。いずれも日本国内ではそれほど知名度のある競技ではないし、競技会場などに問題がある。特に、サーフィンは海で行われるのが通常であるが、最初から最後まで安定した同条件の波に全選手が乗ることは不可能であり、そのため人工会場を建設するとなると、場所が限定されるうえに、建設費用がべらぼうにかかるようだ。更に大会終了後の再利用が難しく、その維持管理に別途費用がかかる点など負の遺産になりかねない。

 前回1964年東京大会ではあまり表面化しなかった問題点が、2020年大会ではいろいろな局面で浮上し、これらを解決しなければならない点を考えると今後相当慎重に気を配る必要がありそうだ。

 さて、今日の朝日夕刊の「時代のしるし―戦後70年」に作家・加賀乙彦氏の戦争観を取り上げていた。加賀氏は陸軍幼年学校に入学したくらい戦争に一家言を持つ人である。6月23日付本ブログにも書き込んだが、僭越だが、私は加賀氏の性急な人物評価や単刀直入に物事を切り捨てるご性格にやや疑問を抱いている。6月23日加賀氏と隣り合わせになった際会話を交わしたが、「書名は短いに限る」「一番売れた自作小説は『宣告』だ」「差別用語なんて気にしなくて好い」「『南太平洋の剛腕投手』の着想は良い」「私の名前乙彦のいわれを知らないのは、私の本を読んでいない証拠だ」等々、厳しかったり、煽てられたりして、今から考えれば大先輩から良いアドバイスをいただいたと思っているが、その時の会話の雰囲気からペンクラブの仲間には、「近藤さんが加賀さんに怒られた」と思われている。こんな大作家から教育的指導をいただいたのも、ひとつの勲章なのかもしれないと都合よく考えている。

 だが、まだ加賀氏の小説を読んでいない。

2015年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3059.2015年9月28日(月) こっそり施行されていた新税「出国税」

 昨日は旧暦で8月15日の十五夜に当たり、夜空に大きな月が見えたが、今日は満月である。庭先から東方を見ると夜空に旧暦満月を象徴する見事な月が見える。昨日は雲がかかり見えなくなってしまったが、今晩は真丸い月が輝いて見える。こういう満月を英語風には「スーパームーン」というそうだが、それではピンとこない。普段天体を考えたり、夜空を見上げることはあまりないが、見事なものである。昔の歌人の心情を思うとついしみじみとしてくる。

 さて、こんな税金があるとは知らなかった。7月から実施されるようになった「国外転出時課税制度」である。株式などの資産を1億円以上所有している人が海外に移り住む場合、株式を売却しなくても国外に出た時点で売却したと見なし、株式に含み益があれば所得税を課されるのだそうである。こういう人たちが国外に出る時「出国税」と呼ばれる税を課せられる新たな課税制度である。

 この他にも「国外財産調書制度」というシステムが昨年からスタートした。これも国外に所有する財産が5千万円を超えている人に対して財産の中身を税務署に詳しく報告するよう義務づける制度である。

 これらの新税制度施行に際し、裕福な資産家の対策と貯蓄術は、簡単に言えば日本から身を隠すことである。つまり両法律に対する最大の節税対策は、外国へ行き、そこで滞在の手続きをして、日本の厳しい税法から逃れることである。とりわけ多額の金融資産を所有している人の相続対策としては、相続人、被相続人ともども揃って税負担の軽い国へ行き、そこで生活することである。

 これまで税金逃れとして一部でとかくの噂があった「タックス・ヘブン」に似た節税対策と言える。しかし、こういう節税をこのまま放っておいて良いものだろうか。日本人として外国で株式投資を行って得た所得に対して税を課さないということに対して、一方で国内で同じような投資をして利益を得た人からは所得税を徴収するということは不平等ではないだろうか。外国にいる人は納税しないで済むということになる。些か不公平ではないだろうか。

 気になるのは、こういう一般国民が中身を知らない法律がいつの間にか施行され、それにより新たに税金を支払う人とそうでない人が現実に生まれるということである。そして今まで他人事と思っていた「タックス・ヘブン」なる地域へ税金逃れのために逃避する日本人が増えることである。どうしてこんな大事なことをもっと一般に広くPRすることを考えないのだろうか。裏に隠されたことでもあるのか、どうも一部の人間だけが知っているという事象が多過ぎるような気がしてならない。

2015年9月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3058.2015年9月27日(日) 中国は自らを世界のモデルと思っているのか。

 訪米中の習近平・中国国家主席とオバマ大統領が、昨日首都ワシントンで首脳会談を行った後、共同記者会見を行った。この席上2人はお互いにほとんど目を合わせることがなかった。首脳会談は訪米前から予想されていたように、全面合意というわけにはいかなかった。友好関係を築き上げるには、根本的な点で両国間にそれぞれの主張と考えにあまりにも行き違いが多過ぎる。

 特に中国の南シナ海埋め立て問題と人権問題について、アメリカ側の強い抗議にも拘わらず、オバマ大統領は習主席から納得出来る回答をもらえず、習主席の都合の好い主張を聞くだけだった。習主席からいつもながらの「南シナ海は太古から中国固有の領土」とか、「それぞれ異なる歴史や国情が尊重されるべき」との利己的な自説を聞かされるばかりでは平行線も致し方なかったと言える。覇権国家中国のトップ習近平主席は、アメリカと肩を並べる世界2大国家であることを過剰に主張し、それを国際的に認めさせ中国の立場と自らの存在感を強固にしたいとの気持ちばかりが先走っている。これだけ領土拡大に並々ならぬ執念を見せているのでは、南シナ海問題が当分の間解決することはあるまい。このままでは、下手をすると中国がまともな国と友好関係を結ぶことは当分期待出来ないかもしれない。

 今日もテレビで上空からの南沙諸島俯瞰図を見ると、もはや中国は公海上に中国軍の軍事基地を建設し終えたと言える。しかもこの基地は、地理的に限りなくフィリピンとベトナムに近い。中国のいう、太古から中国領土であったなどということは、嘘八百であることは明明白白である。厄介な国と付き合わなければならないとは、実に憂鬱である。

 今回中国側の意向を事前に読んでいたアメリカは、両国友好ムードの演出を煽ることを避け、むしろ訪米中のローマ法王・フランシスコ教皇をもてなすことで、相対的に習主席を歓迎しないムードを演出する手段を取ったようだ。アメリカが中国に対して、今一つ強く出られないのはアメリカ経済が今や中国なしには身動きが出来ない現状にあるからである。対中貿易額は圧倒的な数字を示し、中国のアメリカ国債の保有もかなりのシェアである。今もし中国との経済取引の停止ともなれば、アメリカ経済は相当な打撃を受けることは間違いない。ひとつの例として、今回習主席が最初にシアトルに足を下ろし、私もかつて見学したことのある近郊のボーイング製造工場を訪れ、しかもボーイング300機を4兆円で購入するとの商談をアメリカへのお土産として持参したことでも分かる。それは中国経済の力強さを表していると同時に、アメリカは今や対中貿易を軽視出来なくなっているのだ。習主席も中々の商人ぶりでもある。

 ただ、いつまで世界は、この傲慢な中国を言いなりにさせておくのか。アメリカ人の中にもすでに我慢ならないとしびれを切らしている人物がいる。次期米大統領選に名乗りでたトランプ氏とカーター国防長官である。中国政府はいつまでも好い気になっていないで、中国国民ともども国際常識や国際慣例、エチケット等を示さないといずれ世界中から総スカンを食ってしまうのではないか。隣国のために一言忠告したい。

2015年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3057.2015年9月26日(土) 分かり難い消費税軽減税率

 昨日本ブログに書き込んだように新国立競技場建設の白紙問題で、下村博文・文科相と河野一郎・日本スポーツ振興センター(JSC)理事長の責任が指摘され、2人とも近日職を辞することになった。

 その件で実は、第三者委員会がこの2人より以上に実質的な権威と指導力を持っていたと名指しした「国立競技場将来構想有識者懇談会」の森喜朗元首相ら重鎮について、権限をふるうが責任は問われていないと今朝の新聞各紙が一斉に皮肉たっぷりに報道した。朝日の「天声人語」では、「大会組織委会長でもある森氏は競技場計画案撤回前に、3、4千億円かけてもいいと語っていた。それでも、おとがめなし」と書き、日経「春秋」でも辞任劇に触れて「文科相の担当局長は定例異動に合わせて退職し、JSCの理事長は任期切れとともに退任する運びだ。どうにも曖昧、すっきりしないやり方ではないか。いやいや、組織委員会の森喜朗会長はどっしり構えて揺るぎない様子ではある」と森さんも中々厳しいペンの砲火を浴びている。

 拙著執筆と販売に当たって森さんには相当情報をいただきお世話になったので、何とも言うべき言葉がない。これを試練と受け止めていただき、今度こそ誰にも後ろ指を指されないような立派なスタジアムを造り、オリンピックを成功させてもらいたいと願うばかりである。

 さて、このところ社会的に大きな話題になりつつあるのが、2017年から実施される消費税8%から10%への値上げと、その際導入される軽減税率の取り扱いである。特に酒を除く食料品について素人考えでは支払わなくて良い税なら最初から食料品については払わなければよいと思うのだが、どういう実施方法にするのか与党内で揉めている。公明党は現在財務省が提案して2%を支払い、その後手続きを経て返済してもらう、一旦軽減税率徴取方法では、手間、費用がかかり、そのうえ軽減税率の実感が薄れるとして強行に反対しているからである。財務省案に同意した自民党に対して、公明党は食料品の買い物をした際一度2%分を支払い、これをネットで還付請求して降り込んでもらう方法は、事業者に多大の負担を強い、消費者には常にマイ・ナンバーカードを提示する不便さが付きまとうという煩わしさが付きまとうと主張している。与党内協議がもめて暗礁に乗り上げている。どういう解決策が編み出されるのか。

 財務省案は確かに面倒で、常にマイ・ナンバーカードを携帯しなければならないという面倒くささが伴う。これでは、消費者からは嫌われることは間違いない。頭の良いお役人が揃った財務省ならもう少し分かり易い方法を考えてくれても良さそうなものだが、国民のことをあまり考えようとしない彼らには馬耳東風だろう。マイ・ナンバーカードがまだ実用化されないうちに、軽減税率の実施に併用することを考えるのは、少々事を急いていやしまいか。来週玉川青色申告会でマイ・ナンバーカードに関する説明会が開催されるので、申し込んだところだ。

 さて、今日はラグビーではなくサッカーの話題である。すでに国際サッカー連盟(FIFA)の背任や資金不正流用問題で近々辞任することになっているブラッター会長とFIFA事務所に捜査の手が入った。昨日スイス検察当局はブラッター会長から事情聴取を始めた。その出金に関してプラティニ副会長にも嫌疑がかかり同氏も事情聴取に応じた。昨日記者会見を理由もなくキャンセルしたFIFAは、12月日本で開かれる予定の理事会を、突然FIFA本部のあるジュネーブに会場を変更すると発表した。理由は明らかにされていないが、FIFA関係ですでに14人を起訴したアメリカと日本が犯罪者引き渡し条約を結んでいるため、万が一にも日本でアメリカ捜査当局によって尋問されることを警戒したと見られている。世界最大のスポーツとも言ってもいいサッカーの国際組織はどうもすっきりしない。組織内に膿を持っているなら、隠そうとせず、また姑息なことを考えず、疑いを持たれた理事は、自ら身の潔白を証明すべきではないだろうか。

2015年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3056.2015年9月25日(金) 国内外に問題ぞろぞろ

 世界的に大きな事件が連続的に起きている。意図的であろうとそうでなかろうと、事件は事件であり、事故は事故である。VWディーゼル車の排気ガス不正ソフト使用問題の影響は、アメリカでは司法当局が介入することになり、VWの本拠・ヨーロッパでも調査を始めた。VW傘下のポルシェやアウディまで調査の対象とされることになった。VWでは会長が責任を取り辞任した。他にも販売量の多い中国や韓国などにもその影響は及んでいる。辞任したVW会長は、自らは不正に関与していないが責任を取ったと述べているが、ソフト不正使用は、何も知らない消費者を裏切るもので実に悪質である。過去10年急速に生産と販売を伸ばしてきたVWが、残る大きなマーケットであるアメリカ市場に狙いを定めてディーゼル車を売り込もうとして功を焦ったのか、大きな落とし穴へ落ち込んでしまったようだ。

 大きな事故としては、昨日サウジ・アラビアのイスラム教聖地・メッカ近郊のミナで行われた、ハッジ(大巡礼)で悪魔に投石する儀式で将棋倒しになった巡礼者717人以上が死亡した。1990年にも同じ行事で1400人もの犠牲者を生んだ。狭い場所に大勢の人々がすし詰めになると、いかにイスラム教の戒律に基づいてやったことであれ、神の恩恵と救いは受けられないこともあることをイスラム教が図らずも教えてくれた。

 さて、今国際的に大きな問題となり、ヨーロッパ各国が頭を抱えている難民問題について、EUは多数決により加盟国が分担して難民を受け入れることを決めた。この決定にはそれぞれ加盟国の思惑やお家の事情もあり、とりわけ中東欧国の反発が強く、簡単に決まったわけではない。EU主要国としては止むを得ず強引に多数決で決めざるを得なかった。取り敢えず今後2年間で12万人の受け入れを決定したが、押し寄せる難民の数は益々増加し、今年だけで40万人もいるとみられている。

 そんな厳しい状況の中で、昨朝の朝日新聞に緒方貞子・元国連難民高等弁務官が取材に応えていた。緒方氏は1991年から10年間に亘って難民高等弁務官として難民問題を間近に感じ、どう対処すべきかを常々考えてきただけに持論に説得力がある。日本が難民審査基準を厳しくして難民を認定しようとしない対応に、日本人の島国根性と厳しい法務システムを批判し、安倍晋三首相が声高に唱える積極的平和主義について、難民を受け入れることは積極的平和主義に繋がるとして、現状の厳しい審査基準を批判している。緒方氏は日本は人道上難民問題に正面から向き合い、彼らに救いの手を差し伸べることこそが、積極的平和主義の理念に叶うのではないかと主張している。その通り緒方氏の説と論理の方に理があると思う。

 その安倍首相は昨日自民党総裁選に無競争で選ばれた後の記者会見席上で、アベノミクスの新しい3本の矢について語った。公約したデフレ脱却がお題目に終わろうとしているのに、今後3年間の総裁任期中に、GDPを2014年度490兆円から2割アップの600兆円規模にまで達成させると大見栄を切った。現実的な視点から語る緒方氏に比べ、安倍首相はいつも夢ばかり追っているノーテンキな人である。

 次に、新国立競技場建設問題で迷走した責任の所在とその経緯を検証する第三者委員会(委員長・柏木昇東大名誉教授)が、昨日新国立競技場建設については適切な組織体制を整備出来なかったとして、下村博文・文科相と河野一郎・日本スポーツ振興センター(JSC)理事長の責任を挙げた。しかし、名指しは避けたものの、森喜朗元首相や競技団体、文化関係の重鎮らが名前を連ねた「国立競技場将来構想有識者会議」が、現実にはJSCの諮問機関としての役割を超えて最高意思決定機関になって、JSCが思うように「有識者会議」をコントロール出来なかった点を問題視した。

 これを受けて下村大臣は給与・賞与を辞退し、大臣職辞意を表明し、次の内閣改造で辞職すること、河野氏の今季限りの任期終了を以って辞職することが決まった。

 これで良いのだろうか。どうもまだ問題が潜在化しているように思えてならない。

2015年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3055.2015年9月24日(木) ラグビー日本、2匹目の「どぜう」ならず。

 残念だったが、ラグビー日本代表チームは地元スコットランドに勝つことは出来なかった。昨晩遅くまでテレビ実況を観ていたが、強敵スコットランドに前半12-7と互角に戦い期待を抱かせながらも、後半ディフェンス網が破られ次々にトライを重ねられ、後半は33-3となり結局45-10で敗れた。第1戦から僅か3日しか休みがなく、疲労を考えてメンバーも相当入れ替えたが、日本の弱点を突いたスコットランドにそこを狙われ、トライは前半の1つだけで、5トライを挙げたスコットランドに完敗した。攻撃の核として期待された俊足福岡選手を選抜させたが、相手の防御が固いうえに、ボールが回って来ないのでは手の施しようがない。日本中ラグビー・ブームに灯を点けた声援を背に、メディアも大きく取り上げ、ひょっとすると勝てそうな雰囲気もあったが、そうは問屋が卸さず、2匹目の「どぜう」はいなかった。第3戦は、来月3日で大分間があるので、作戦を練り直し再び熱気を呼び起こして欲しいものである。

 さて、米中会談のため、中国の習近平国家主席が一昨日シアトルへ到着した。米中間には南シナ海の南沙諸島、人権、サイバー攻撃、アメリカ人女性人質、中国経済停滞、等々数多くの問題が山積しており緊張が高まっているが、習主席は国際外交の課題より2国間の経済問題をターゲットにして巧みに極力緊張緩和へ向けたパフォーマンスを見せている。

 アメリカ政府としては、大統領や閣僚らの政府要人がシアトルで習主席を出迎えることをせず、逆に同日訪米したローマ法王を、オバマ大統領夫妻、バイデン副大統領夫妻が揃って空軍基地で出迎える手厚い歓迎ぶりを示した。シアトルと首都ワシントンと地理的に離れているとは言え、世界経済国家の2大国と自称している中国に対して、そのトップが訪問したら普通の常識なら大統領か、副大統領のどちらかが出迎えに向うのが普通だと思う。アメリカ政府が敢えて中国主席に冷たい対応をしたとのメッセージが、今後国際的にどう受け取られ、人一倍自尊心が強い中国がこれをどう理解するだろうか。

 いずれ米中首脳会談が開かれることになるが、本音と建前を巧みにそらすのがお得意の中国が、今後どういうコメントとパフォーマンスを見せてくれるか、少々興味がある。

2015年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3054.2015年9月23日(水) フォルクスワーゲンの信じられない不祥事

 相変わらずラグビー・ワールドカップの大逆転勝利の沸々とした余韻が消えない。今日も各テレビ局では、あの手この手で19日の試合を振り返り、今晩の対スコットランド戦の予想や、相手国チームの特徴などをゲストとともに紹介している。さあ第2戦の結果はどうなるだろう。寝るのは遅くなりそうだ。

 さて、品質管理では厚い信頼があったドイツのフォルクスワーゲン社(VW)のディーゼル車排気ガス試験が、排気ガス量を減らす違法なソフトを不正に使用していたとアメリカ環境保護局(EPA)から発表された。ヨーロッパでも調査がされるようになり、この不正は世界的規模の不祥事になりそうだ。

 VWは大衆車から高級車、商業車まで傘下のアウディを含めて多くのブランドがあるが、ヨーロッパ市場ではVWのシェアは25%の最大手である。2014年度の販売台数を1千万台に乗せて首位のトヨタに急迫し、今年に入って1~6月期はトヨタを抜いてトップに躍り出たばかりだった。そのVWが、なぜこのようないずれ判明するであろう愚かで悪質な不正事件を犯したのか、理解に苦しむところだ。今回の不祥事は、VWがアメリカを始め、進出を狙っていた国々へのディーゼル車の不正で誤魔化すことにより、ディーゼル車販売を伸ばし、一気に車販売量トップ企業に昇りつめたかったのだろう。EPAによると対象車両は1100万台、リコール対象車は48万2千台に上ると言われ、その無料回収や修理に当てる費用として、7~9月期だけで約8700億円を特別損失に充当させるとされ、経営が大きく揺さぶられる事態となった。

 実は、わが家でもVW車を所有しているが、VWのディーゼル車は日本では販売されていないというので、ほっとしている。だが、今年6月に車検のために車をVW販売店へ運ぼうとしたところ、エンジンがかからずJAFの手を借りて車を販売店へ運んでもらったことがある。その原因は分からず仕舞いだったが、優秀品質のドイツ製品と言えども、無意識にせよ、故意にせよ、完璧な商品というのは中々ないということと、悪意さえあれば「良貨は悪貨に駆逐される」と思っている。

 今回の不正は、排気ガス・テストの時だけ排気ガス量を減らす違法なソフトウェアが使われていたというからタチが悪い。不正対象車が実際に走行した時の窒素酸化物の量が基準値の10~40倍だったという。ゲルマン紳士も信用出来なくなった。

 この事件は環境大国とものづくりを自認していたドイツ一国のみならず、ヨーロッパ全体に与えた衝撃も計り知れない。世界一になったばかりのVWが、不正をやってぐらついた信頼、株価への影響をどうやって取り戻すのか。この数年のVW社内の権力闘争が影響を及ぼしたとの外野の声も聞こえてくる。「勝って兜の緒を締めよ」とは名言であるが、兜の緒を意図的に緩めていたことに堅物のメルケル首相も呆れている。VWに情報公開の徹底を指示したようだ。

2015年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com