4805.2020年7月9日(木) 贈収賄事件で収賄側の罪を問わない?

 昨年7月に行われた参議院選挙広島地方区で、当選した河井案里議員と夫の前法相河井克行衆議院議員が、公職選挙法の買収容疑で揃って逮捕されたが、その後現職を含む自治体首長をはじめ、多くの地方議員が収賄容疑で検挙され、日本中を騒がせる事件となっている。これは、1議員の選挙違反であるだけではなく、夫がいろいろ指図して多額の買収工作を行ったことが明るみに出て、選挙史上まれに見る大掛かりな摘発事件となった。票の取りまとめを依頼したとして、地元議員ら百人に約2千9百万円の現金を配ったとされている。夫妻は買収容疑を否定している。更に普通自民党本部から1千万円の選挙資金が支出されるのだが、河井議員については1億5千万円の高額が支給されていたことも分かり、安倍首相もからんだ自民党本部がらみの買収事件ではないか、と噂されるほどメディアを賑わせている。

 そこへ昨日東京地検特捜部が、公職選挙法違反の罪で河井夫妻を起訴した。法相経験者が逮捕・基礎されたのは、戦後初めてだそうである。ところが、意外というか、腑に落ちないのは、特捜部と広島地検が現金を受け取った疑いのある百人全員の刑事処分を見送ったことである。その理由もすっきりしない。夫の前法相が資金を一方的に渡していたことや、一部は返金したことなどを考慮したらしいと新聞には書かれているが、それはおかしいのではないか。どうも釈然としない。関係者の間でも一律に処分しないことは不公平ではないかとの声が出ている。公職選挙法では、投票や票の取りまとめを依頼する趣旨を認識して金品をもらった側も処罰の対象となる。買収事件では受け取った側も立件するのが一般的である。専門家は、立件したうえで不起訴にするのが筋だとして納得していない。こういうバランスを欠いた凡例が出ると、今後妙な小細工をする輩が出て来るのではないだろうかと法のあるべき姿や、公平性に疑問が生まれて来る。

 それにしても法相経験者が冒した罪は、一見単純そうで、その実かなり奥深いところでゴチャゴチャやっている複雑さがあるようだ。いずれにせよどうして片手落ちなのか、腑に落ちない。結局検察側としては、百人もの人間を正規に起訴していちいち取り調べて裁判をやるのが、面倒だと思ったのではないかと疑ってしまう。

 早速今夕の朝日「素粒子」欄にこんな皮肉が書かれていた。「配った罪は法廷へ。もらった側は100人とも不問。みんなで受け取りゃ怖くない?」

2020年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4804.2020年7月8日(水) 身勝手なアメリカ、世界保健機関(WHO)に脱退通告

 昨日国連は、アメリカが世界保健機関(WHO)から脱退すると6日付でWHOに正式に通告したと公表した。トランプ大統領はこれまでWHOが中国寄りの立場で中国の言いなりであるとの主張を繰り返していた。アメリカは加盟国の中で最も多額(年間4億5千万$)の資金供出国で、これが今後WHOの活動に影響を与えるのではないかと憂慮されている。このまま行けば、1948年アメリカがWHOに加盟した時の取り決めにより、1年後の来年7月6日に離脱となる。

 トランプ大統領と同様にアメリカ人の行動にも理解し難いところがあるが、流石にこのトランプ節にはアメリカ国内でも反対があり、民主党のメネンデス上院議員のように「WHO脱退はアメリカ国民の命を守るのではなく、アメリカを孤立させる」と非難している。アメリカ国内の新型コロナウィルス感染者が3百万人に迫る中で、WHOからの脱退は、対策が後手に回ったトランプ政権への批判をかわす狙いがあると指摘されている。このトランプ発言に対して、民主党の大統領候補者・バイデン前副大統領は、11月の大統領選で自分が勝てば、大統領就任後直ちにこの通告を撤回すると語った。コロナ騒ぎの中でアメリカ人政治家同士が、他国民を悩ませる身勝手なおふざけをやっている。どうしてアメリカ人というのは、身勝手な「アメリカ第1主義」に取り付かれ他の国々へ多大な迷惑をかけることに頓着なく、自分たちの行為が顰蹙を買っていることが分からないのだろうか。この他にもアメリカは、地球温暖化を抑制するパリ協定COP25からも離脱を宣言する理不尽さである。

 さて、去る3日から降り続いている豪雨が、九州各地に大きな被害をもたらしているが、昨日時点ですでに熊本県54名、福岡県で2名の犠牲者を出した。その後もその勢いは増し河川の氾濫・決壊や、山崩れ、道路の寸断などで市民生活に大きな影響と被害を与えている。気になるのはこの影響が少しずつ広域に広がり、西日本から今日になって中部の岐阜、長野県に及び、両県には一時特別警報が出され、更に発展して雨が北関東、東北にも及んできたことである。岐阜県高山市では土砂崩壊が起きているが、気になったのは若いころに北アルプス登山のためによく通った松本市から上高地へ通じる国道158号線が、土砂崩落で通行止めとなり、上高地への足が止められ、上高地に宿泊していた観光客が足止めされていることである。美しい上高地の情景が目に浮かんでくる。

 今週いっぱいは東京都内の天候も不安定のようで、今日も小雨交じりの強風が吹いていた。この調子では、いつになったら梅雨が明けるだろうか。

 ついては、今日の朝刊に掲載された深沢祐二・JR東日本社長のコメント「時間帯で運賃変動も検討」にはオヤッと思った。利用状況に合わせた運賃体系の見直しを検討しているというが、実際に実施出来るだろうか。また、利用者から受け入れられるだろうか。確かにコロナの影響で利用者が大幅に減ったことは事実である。緊急事態宣言が出されていた4月に対前年25.9%、5月は30.4%、解除された6月は、56.5%で営業収益は散々だった。4~5月の定期券以外の減収は、それぞれ約1千億円に上がった。これは明らかにコロナの影響であるが、もし運賃をコロナ向きに変更して、その後にコロナが終息したら変更した運賃制度にどう説明をつけるのだろうか。物価の中でも最も変更が少ないと言われる鉄道運賃体系を、安易に変更したら後々大変である。行き当たりばったりでなく、もっと議論を戦わせて前向きな対策を講じるべきではないだろうか。JR社長の発言は少々軽率であるように思う。

2020年7月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4803.2020年7月7日(火) 年金の運用、管理は大丈夫か?

 去る3日年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と称する長たらしい名前の法人理事長が、2019年度の公的年金積立金の運用実績を公表した。新型コロナウィルス感染拡大の世界的影響が響いて、過去2番目の赤字となる8兆2千億円だったという。赤字は2015年度以来4年ぶりで、赤字額の大きさは、リーマン・ショックのあった2008年の9兆3千億円に次ぐものである。そもそも資産の半分を不安定な株式に投資しており、当初から安定的な投資に資金をつぎ込むべきではないかと批判されていたものだ。これまでの累積収益額が57兆円であることに自信を抱いているのか、理事長は「積立金は将来世代の保険料負担が大きくなり過ぎないよう役立てるものだ。一喜一憂することなく、長期目線で運用していきたい」と語っていたが、今のところ黒字だから良いが、仮に今年度同様に今後も経済が苦境に陥り、株価が下がった場合にはどうするのか、残念ながら納得出来る応えはない。

 まだ、コロナ終息の見通しが立たない中で、赤字決算が続いたら理事長がコメントしたように将来世代の負担が逆に大きくなる。不足した金額をどう補填し、誰がその責任を負うというのだろうか。

 少子高齢化社会へ突入して、年金を収める世代より年金を受け取る世代が上回る時がいずれやって来る。2020年度の平均月額年金支給額は、国民年金65,141円、厚生年金(夫婦2人分)220,724円である。これが支払いのベースになっている。現在約2百兆円とされている年金積立金が、今後大幅に減ることはないのだろうか。それにしても年金積立金の管理は微妙にして、難しいと思う。GPIFにはやや賭博的な株式投資に肩入れし過ぎる傾向が窺えるが、果たして大丈夫だろうか。どうも全面的に賛成するわけにはいかない。

 さて、七夕である今日も九州地方は激しい雨に襲われている。今日以降も雨が降り続き、九州各地では降雨量が過去最大と言われるところが多い。後から後から引き続いて九州を襲っている状況について、このところ「線状降水帯」という言葉が頻繁に使われている。線状降水帯とは、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50〜300 km程度、幅20〜50 km程度の強い降水をともなう雨域」とされている。やはり、最近の気象は普通ではないようだ。雲の塊が九州上空に前線の影響もあるだろうが、留まって、常に雨を降らせているようだ。その影響であろうか、今週は東京もほとんど雨にやられて晴れ間がないようだ。コロナで足止めされ、今また九州を襲った線状降水帯によってのびのびと外で身体を伸ばすことも出来ない。

 でも、いつも通り曇天の下駒澤公園に日課としているウォーキングには出かけた。

2020年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4802.2020年7月6日(月) 昨日に引き続き九州方面に豪雨

 昨日行われた東京都知事選は、現職小池百合子知事の圧勝に終わった。対抗馬の宇都宮健児氏、山本太郎氏、小野泰輔氏が寄ってたかっても、小池知事の半数をやっと超える程度の得票だった。これは政治行動力や、業務実行力の問題というより、何となく人を逸らさない雰囲気で女性っぽい色気に多少の実績などが加味され総合的に他候補者を上回ったということだろう。テレビで街頭の若い女性にどうして小池氏に1票を投じたかを尋ねたところ、お化粧をし終わったところが可愛いなどと選挙とは無関係な返事をしていたが、そういう政治無関心層が大分小池知事に投票したようだ。東京は先日人口1,400万人を超えたが、この種の人ばかり増えるようでは将来が少々心配である。

 このところ日本全土の天候が荒れ模様である。昨日九州熊本地方を襲った豪雨は、今日もまた被災地に雨をもたらしているばかりか、九州一帯に激しい雨を降らせている。近年は7月に西日本方面を豪雨が襲う傾向が目立っている。九州でも3年前の昨日、九州北部豪雨が福岡県と大分県を襲い、死者40人を出した。また、2年前の今日広島、岡山を中心とする西日本豪雨により、災害関連死を含む296人が死亡した。一昨日人吉市の特養ホームで洪水に襲われ心肺停止だった14名の高齢者が、今日全員死亡したという悲しい知らせがあった。

 いずれもアッという間の増水に逃げ出す間もなかったらしい。街でも川が増水して河川と道路の境界が分からなくなったり、泥が溢れた道路上に家財道具が放り出されていたり、朝刊の写真で見る爪痕はすさまじい。最近はひとり暮らしの高齢者が多いために、早めの避難を誘導しなければならない。今年は生憎新型コロナウィルスが猛威を振るっているために、避難所でも随分気を遣っているようだ。自然災害はいつやって来るかは分からないが、襲来した時に被害が出る河川近くや、山の麓付近は予め充分備えをしておく必要がある。しかも、過去の被害や、場所、時期も備えの参考に出来ると思う。今月7月は、九州、西日本地方で大型降雨が襲って来る確率が高くなった。地味な治山治水は国家事業であるが、自然災害が起きる度に愚痴を言うのではなく、識者の意見を取り入れて備えに万全を期すべきではないだろうか。

 気象庁は今日数十年に1度の大雨が予想されるとして、九州北部の長崎、佐賀、福岡3県17市町の98万人に大雨特別警戒を出し、避難勧告の呼びかけをしている。

2020年7月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4801.2020年7月5日(日) 小池百合子・東京都知事、再選確実

 昨日熊本地方を中心に襲った豪雨により、日本の3大急流と言われる球磨川が11か所も決壊して、沿岸の人吉市を中心に周辺地域に大きな被害を与えた。今日のニュースを観ていると道路と川の境目が分からなくなって、押し寄せてきた洪水で道路が寸断された光景や、浸水家屋ばかりが画面に現れてくる。この球磨川は普段は清らかな水をたたえているが、一旦大雨が降ると急激に様子を変えるようだ。

 沿岸の市町村が泥をかぶったのも球磨川ならではの特徴ある地形のせいである。川が県内をくねくねと迂回するように流れている。川幅の広い箇所と狭いところが何箇所もあり、降雨量が増えると一気に決壊するようだ。これは過去にも例があり、地元民は充分承知している。それでいて理解し難いのは、なぜ沿岸に特養老人ホームが建てられたのかということである。ここでは死者の他に、多くの老人が心肺停止のままでいることが気がかりである。この施設は一見新しく立派な建物に見える。しかし、住んでいる人々が高齢者であり、自分から2階へ逃れるようなことが出来なかった。そう予測できたならどうしてこんな川傍の低地に建物を建設したのだろうか。また、何年後かに襲って来る洪水に備えることを考えなければいけない。今夜からまだ当分の間激しい降雨に襲われるようだ。まだまだ被害が表れるだろう。

 さて、今日は東京都知事選挙の投票日である。投票所へ行く前にある候補者事務所から投票を依頼する電話を受けたが、公職選挙法では選挙期間は投票日の前日までに決められている筈である。選挙運動員がルールを知らないのか、はたまた何とか1票を投じてもらいたくてフライングをやってしまったのだろうか。開票途中での様子では、4年前に比べて投票率は幾分低めのようである。

 夜になって現職の小池知事の再選確実が報じられた。格別大きな実績を上げたわけではないが、すべてにそつなく知事職をこなしたことが、他候補にはない優位に働き当選したと言えよう。最近はカイロ大を首席で卒業したなどという格好の餌食になるホラを吹いたことが週刊誌や、新刊書に暴露され、人間的な面でマイナスとなった点がある。それでも長年テレビキャスターとして活躍し場慣れしていたせいか、コロナなどの対応でも失点がなかったようである。特に女性票を稼いだようである。その点次点の宇都宮健児氏が、コロナウィルスの影響により公開討論会が行われなかった点を残念がっていた。今回は、コロナ感染拡大や東京オリンピック延期決定の中で待機児童数の減少や、国の規制よりも厳しい都独自の受動喫煙防止条例の制定など、それなりの実績は評価されている。

 小池知事に注文をつけるとすれば、前回立候補した際に汚職辞任した舛添前知事の不正出費について、すっきりさせると語っていたが、その後どうなったかまったく説明がないことである。個人的に許してしまったのだろうか。

 1千4百万都民の代表として、これから4年間どう都民の負託に応えることが出来るかしっかり見守っていきたいと思っている。

2020年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4800.2020年7月4日(土) 「コロナ・人種差別」風と共に「トランプ」去りぬ

 今日7月4日は、トランプ大統領が「偉大な国」と自画自賛するアメリカ合衆国独立記念日である。新型コロナウィルスの感染拡大と黒人差別問題で国内外に評価が下がりつつある大統領が、首都ワシントンで例年以上に花火を打ち上げて派手に祝おうとしたところ、コロナの影響で花火を中止しようとしていたワシントン市長に反対されてもめている。想い出せば、今から20数年前ちょうどこの日西海岸のシアトル市内に滞在していて、高層ビルのホテルでディナーの最中に夜空に大きな花火が後から後から打ち上げられ目を瞠ったが、それは見事なものだった。

 人種差別問題では、戦前の名画「風と共に去りぬ」に黒人の描写や奴隷制の肯定など差別感を含んでいるとして、今後配信サービスが停止されるというニュースがあった。惜しいように思う。しかし、それほどこれまでアメリカ国内では問題を真剣に取り扱うこともなく、名作品として神棚に祀っていた。それについては今日友人が新聞の切り抜きを送ってくれた。映画「風と共に去りぬ」は、感慨深く観たし、文学作品としてもアメリカ文学の最高傑作と思っていた。しかし、その表現がアメリカ人の間でそれほど深刻に捉われていたとは知る由もなかった。それでも同文学は、ロシア文学とともに私にとっては心に残る愛読書の1冊である。偶々9.11同時多発テロの4か月前にその舞台となったジョージア州アトランタで大リーグ・ブレーブスの試合を観戦した後、「ロード・トゥ・タラ博物館」を見学したこともある。

 大統領選挙まで残り4か月となり、民主党のバイデン前大統領候補に世論調査では40対49で遅れを取り、やや焦り気味の現職大統領としては、何とか敗勢を挽回したいところである。しかし、今アメリカでは、コロナ感染者を減らすどころが、逆に日に日に増える一方である。昨日は僅か1日で5万人を超える感染者が出た。口を開けば、アメリカは世界一の大国だと大見えを切る割には、頭の蠅も追えないのが今のアメリカの実情である。 

 さて、明日東京では都知事選挙が行われる。今年はコロナの影響で街宣車が巡回してマイクでがなり立てることが少なかったので、今日まで静かな住環境が阻害されることはなかった。しかし、22名もの候補者が立候補しながら、どうも争点がぼけているようで良く分からない。泡沫候補者が多いせいもある。彼らの公約には何を考え、何を訴えようとしているのか理解出来ず、些か低次元のものが多い。「風俗営業法の緩和」「一夫多妻合法化」「『マスク』『ソーシャル・ディスタンス』『3密を避ける』『自粛』必要なし」「大麻解禁」「現金使用禁止令」「台湾の祖国日本復帰」「都民税0、固定資産税0」等々の他にも「消費税廃止」を訴えている候補者がいるが、これは国が決めることではないだろうか。また、知名度の高い「れいわ新選組」の山本太郎候補のように、いくら金があっても足りない政策を打ち出す候補者もいる。偶々昨夕同候補の選挙事務所から電話があったので、その点を質すと都債を発行するというが、これは借金ではないか。パンチのある言葉こそ使っているが、あまり深くは考えていないようだ。もちろん明日は投票へ出かけるが、恐らく現職の小池知事と元日弁連会長の宇都宮健児候補の争いになるであろう。

 なお、九州では昨夜来豪雨に襲われ、特に熊本県の球磨川が10か所以上も決壊して死者、行方不明者が出て陸上自衛隊が出動している。まだ、数日大雨が予想され、明日は関東地方も雨模様のようだ。

2020年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4799.2020年7月3日(金) 旧軍隊では「『いのちの重さ』は下級兵士ほど軽い」

 今年は終戦75年という節目の年であり、それは取りも直さず東京大空襲、沖縄戦、広島・長崎原爆投下なども75年目を迎えることになる。かつてミヤンマーがビルマと呼ばれていた当時、20 年以上に亘って元陸軍航空ビルマ派遣部隊の戦没者巡拝慰霊団をお世話していた関係で、戦友会の方々から随分戦争に纏わる話を伺った。また、ビルマ慰霊団の縁から旧厚生省の戦没者遺骨収集事業に携わることになり、厚生省の職員や遺族会の方々からも戦地の状況をお話しいただく機会があった。戦友会の方々からは、現場のおぞましい話も随分聞いた。

 さて、‘NATIONAL GEOGRAPHIC’6月号には「終戦から75年 大戦の記憶をつなぐ」と題する特集が組まれている。先の大戦で生き残られた各国の戦争体験者が写真入りで紹介されている。その中に日本人も何人かいる。そのひとりで、海軍特別少年兵として出征された92歳の方は、「死に際には若い兵は母を、年長の兵はわが子の名を呼んでいた。誰1人として天皇や国を呼ぶ者はいなかった」と述べている。900日に及ぶドイツ軍とのレニングラード包囲戦で約80万人の民間人が犠牲になったが、その時家族を亡くした87歳のロシア人女性は、「何も思い出したくない。話すのも嫌。あまりにもつらかった。~あんな恐ろしい光景は2度と見たくない」と恐怖の体験を語っている。激戦のあった硫黄島摺鉢山や、レニングラード市街戦の写真も掲載されている。

 第2次大戦で亡くなった人は、約6千6百万人と言われ、その内4千5百万人が民間人と見られている。その中にはホロコースト(大虐殺)の犠牲となった6百万人のユダヤ人が含まれている。日本人は国内外で324万人が尊い生命を落した。何といっても気の毒なのは、戦争とは無関係の民間人犠牲者が多いことである。日本の軍隊内では階級が下がるほど犠牲者が多かったということが、ノンフィクション作家・澤地久枝さんの調査で知った。戦友会の方々の話や、噂には聞いていたが、澤地さんは「記録ミッドウェイ海戦」を執筆するに当たって調査していて分かったという。

 士官、下士官、兵士の階級別戦死者の割合が、4%、28.9%、67.1%と記されており、戦死するのは圧倒的に下級兵士であることが分かる。ところが、アメリカでは、その比率はそれぞれ3分の1ずつで、いかに日本軍が下級兵士に犠牲を強いていたかということが推察出来る。澤地さんは、「『いのちの重さ』は下級兵士ほど軽い」と述べている。

 元兵隊さんから聞いていた話は本当だったのだ。あと1か月余りで75年目の終戦記念日を迎えることになる。親しくしていただいた元日本兵の方々も、今ではほとんど逝かれてしまった。心よりご冥福をお祈りしたい。

2020年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4798.2020年7月2日(木) プーチン大統領のための憲法改正

 昨日強引にも香港の自治をぶち壊す国家安全維持法が実施されて、世界中から非難轟々の中国に続いて、かつて同じ社会主義国の盟主として君臨していたロシアが、憲法改正のための全ロシア投票を行い、78%の賛成票を得て正式に改正されることになった。

 何のための憲法改正だろうか。一口に言ってプーチン大統領が自らの長期政権の基盤を固め安定的に独裁的国家統治と支配を目指すための憲法改正である。プーチン大統領は2000年に大統領に就任して2期8年の任期終了後の2008年、メドベージェフ氏を4年間身代わりに大統領に据えて首相に退き、4年後に再び2期12年となった大統領に就いて現在の任期は2024年までである。これで現行憲法の規定により大統領職は全うしたと思いきや、敢えて新憲法下でもプーチン大統領を特例としてもう1度2期12年間大統領として君臨して権力を揮おうとしているのだ。

 1度最高権力者の味を染めたら、自ら手放したくない気持ちは理解できないこともないが、いかなる職責にもそれぞれ年齢や、期間のような抑制的なルールというものが決められているものである。それは権力者が権力にしがみつくことを防ぐためのものだ。しかし、どうしても独裁者になると一旦握った権力を手放したくないのが人情であろうか。こうして、長期間同じ職に留まっている内に腐敗が進み、組織は崩壊する。国とて同じでいずれ亡びる。一般的に発展途上国に長期政権の事例が数多く見られる。不思議なことに社会主義国と自称する旧ソ連や中国には、革命家と言われる初期のリーダーと、その伝統を継承する人物が互いに長期に亘って権力の座に留まっている事例が多い。

 中国革命を成し遂げた毛沢東思想を継承する習近平・国家主席は、昨日香港の「1国2制度」の公約を破る暴挙を冒した。そして、今日「鉄の男」スターリンの後継者、プーチン大統領が、私利私欲のために憲法改正という大博打を打った。2つの国、ロシアと中国は先覚者とその継承者が、いずれも権力の鬼となって周辺諸国との間に諍いを起こし、国土の拡大を目論見ながら自国民の生活水準の向上にはあまり関心がない。

 これから憲法改正によってロシアは自国民への自画自賛のPRはともかく、世界、並びに周辺諸国への友好関係、気遣いはあまり期待出来そうもない。とにかく両国、両指導者は自分の利得以外は眼中にないようである。

 身勝手なご近所さんにこれからも嫌がらせを受けそうな気がしている。

2020年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4797.2020年7月1日(水) 香港を弾圧する中国の理不尽

 昨日中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、香港における反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」を香港の頭越しに成立させた。これにより今日中国は香港の治安維持に直接介入することになり、1997年香港がイギリスから返還された時の協定「1国2制度」が骨抜きにされることが明確になった。

 今年6月初め中国でこの国安法が決まって以来、日米欧各国から中国に対する懸念と非難が向けられ、今日27カ国が中国非難の共同声明を発した。返還交渉の際チャールズ皇太子まで出席した式典で、中国と交渉、協定を締結したイギリスは中国の約束を踏みにじるような詐欺的行為に対して目立って反対しなかったことに首を傾げたものだ。しかし、昨日イギリスのラーブ外相は、初めて中国に対して批判的なコメントを発表していた。

 この国安法案は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、そして外国勢力との結託による国家安全への危害などについて、無期懲役以下の刑事罰を科すと決めている。香港市民にとっては、将来はともかくまだ協定が有効である今日、強圧的に非民主的な法律を押し付けられることに憤りは止めどもないと思う。今日香港ではこの法律に反対するデモが行われ、早くも180人以上が逮捕された。

 どうして中国は残り27年を待つことが出来ず、拙速にもこのような不遜な行動に出たのだろうか。これまで度々民主化デモを行いそのリーダー核となっていた政治団体の指導者が、生命に関わると言い団体の解散を宣言した。もう香港では民主化運動が死滅するしかなくなったようだ。

 返還協定が生まれてからまだ約束の50年の半分も経たない内に、権力と圧力によって弱い者苛めを強いている。香港の林鄭月娥・行政長官をはじめ行政府閣僚は、自分たちも香港人であるにも拘わらず、中国政府の思うがまま行動するのは些かだらしがないと思う。

 中国共産党は、いかに批判があろうとも香港の反体制派を抑え込むと息まいている。中国政府、及び中国共産党には、民主、自由を重んじる気持ちはまったくない。それは中国国民に対しても言えることである。大体共産党は委員、代議員を自由選挙で選ばず、彼らの意向に沿った考えの人物を指名して選出し、反論、批判は認めない。従っていくら大勢の代議員が出席してもひとりとして異論、反対を主張することはなく全員賛成で議事は進められていく。この国安法についても、出席した全人代常務委員162人が全員賛成したというのも常識的にはとても考えられない。

 このように都合よく数合わせはするが、自分たち少数意見を押し通すシナリオですべて自分たちの思う通りにことを決定するような国家の構造になってしまったのが、現代中国である。自らの意思を伝える口を塞がれ国民も気の毒である。言論の自由はなく、個人的な意見を述べることもできない。公に楯突けばすぐ後ろに手が回る。しかし、過去の歴史に照らしてみても未来永劫にこの異質な非人道的国家体制が継続されるとは到底思えない。今の覇権国家・帝国国家打倒を目指す、本物の中国国民による本物の中国のための本物の中国革命によって、いつか習近平体制は否応なく崩壊することになるであろう。

2020年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4797.2020年6月30日(火) 北極圏で過去最高38℃を記録

 今日は6月末日でアッという間の半年間だった。新型コロナウィルスに関心が集まっている内に、つい忘れがちなのは地球温暖化の影響である。経済活動が制約を受けてこの間大気は幾分きれいになったと言われているが、地球温暖化の傾向はそう簡単には収まることはないだろう。

 ちょっと驚いたのは、ロシア・サハ共和国のベルホンヤスクで10日ほど前に38℃を記録したことである。現在検証中であるが、これが事実なら北極圏内の過去最高気温を記録したことになる。これは同地の6月の平均気温より18℃も高かったことになる。この地域の気候はやや極端な面があり、1月の平均気温は-42℃まで落ち込み、6月には20℃まで上昇する。北極圏では現在世界平均の2倍のスピードで温暖化が進んでいると言われている。北極圏の温暖化は一般に言われている地球温暖化とは別の面でも懸念されている。

 それは、地球温暖化が凍り続けていた永久凍土の融解を引き起こし、地下に閉じこめられていた二酸化炭素とメタンガスが放出されるからである。この温室効果ガスは更なる温暖化と永久凍土の融解という悪循環を引き起こす。そして、気温が高くなって北極圏の氷も早いスピードで融解していく。その結果、海面上昇につながる。

 意外に見逃されているのは、北極海の温暖化が山火事を誘発するということである。実際、今年はシベリアのクラノヤルスク地方では、4月時点で昨年同時期の10倍もの規模の山火事が起きているという。

 イギリスの気象庁は、今年は観測史上最も暑い1年になる可能性があると公表している。ロンドン大学のラブリー教授は、「我々は地球全体のエネルギー・バランスを崩してしまった」「これは地球そのものからの警告メッセージだ。この警告を無視して危害を受けるのは自分たちだ」と語っているが、世界が地球温暖化の弊害を誇張するのは、アメリカの経済発展を羨んだ見方で経済活動と地球温暖化は関係ないと言い張って、パリ協定COP25からの離脱を宣言したアメリカのトランプ大統領はどう感じているのだろうか。

 さて、九州、西日本地方では激しい雨が降っていたが、今後東海、東日本方面では記録的な大雨となる恐れがあるという。実際午前中は都内でも雨は降らなかったが、午後自由が丘駅前の喫茶店で出版社と新著の打ち合わせをする直前に激しい雨がやって来た。

 出版社から拙著の内容については珍しい話ばかりで、若者には特に受けるのではないかと言われ、気持ちとしては、ともども極力今読書離れをしている若者にアピールするような言葉や表現にしようという考えの下に、言葉を突き合わせて一部修正することにした。7月下旬にもう一度言葉・表現合せをやって9月か、10月に出版という手順で進んでいる。

2020年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com