充実したホームページに仕上げていこうと、毎日目を凝らしながら取り組んでおります。淡々と書き続けてきただけで、10年2月に初めて4桁の大台1000回を、そして奇しくも74歳の誕生日に当たる2012年「文化の日」に連続2000回を、15年7月31日に3000回、18年4月26日に4000回、21年1月19日に5000回を数えました。ここでは、出来るだけポジティブな意見や、気軽な独言、時には戯言や想い出を書き込んで、自分自身の気持ちを素直に表わしながら楽しく読んでいただけるよう心がけたいと思っております。意見の主張というより、感じたままを日記風に書き綴って参ります。身勝手な意見や、独断的な表現も見られると存じますが、どうぞご理解下さいますようお願い致します。皆さまの忌憚のないご意見をお寄せいただければ有難く存じます。
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6329.2024年9月10日(火) 世襲政治家と官僚の天下り知事選出に制約を
7月末にパリで開催されたオリンピックに続いて、パラリンピックが開かれていたが、昨日12日間の日程を終え閉会式が行われた。小雨降る中で閉会式はパリらしく派手なショー的要素を組み込んで華やかに大会の幕を閉じた。
日本からは過去最多の175人の選手が参加して、各競技で活躍し金メダル14個を含む41個のメダルを獲得した。それでも日本の金獲得は、オリンピックの3位に比べて10位だった。
いみじくも「近代オリンピックの父」クーベルタン男爵が、「オリンピックは参加することに意義がある」と語ったように、メダルの獲得数が国家の栄誉とか権威を示すわけではないが、ひとつの傾向として国としての勢いを感じることはある。それは、パリ・オリンピック及びパラリンピックにも言えることである。
例えば、パリ・オリンピックのメダルは、アメリカが1位、中国が2位となり、幸いにも日本は3位だった。そのアメリカと中国の金メダル獲得数はまったく同じ40個で、銀と銅メダルを合わせた全メダル数でアメリカの126個に対して、中国は91個だったので中国は総合で後塵を拝した。
ところが、パラリンピックのメダル獲得数となると、勢力図が大きく変わった。金メダル獲得数は、1位中国の94個はダントツで、2位イギリス49個、3位アメリカ36個で、3つのメダルの獲得数でもこの順位は変わらない。この結果から中国がいかに障碍者スポーツの育成に努力し、パラリンピックで自国選手の強化、活躍に力を注いでいたかが想像出来る。また、オリンピックでは、イギリスは金14個の7位で、3位の日本の金20個より下位にいた。しかし、パラリンピックでは金メダル及び全メダル獲得数で、アメリカを抜いて中国に次ぎ2位となった。ここにもそれなりの努力があったことと思う。それに比べると、アメリカの金獲得数は随分少なかったように思う。途上国ブラジルの5位25個、戦時下のウクライナの7位22個にもうっかりしていると追い抜かれかねない。
それにしても中国の圧倒的な金メダル獲得数には感心している。とかく国際法を無視して自国領土の拡大にまい進している力による政治的姿勢から推して、地味なスポーツにこれほど力を入れているとは想像も出来ないことである。日本は過去3番目のメダル獲得を誇ったが、それでも金14個で全体として41個のメダル獲得で10位だった。しかし、テレビなどでもこれまでのパラリンピックに引き比べて、かなり放映時間を割いていたように思う。4年後の次回ロサンゼルス大会では、もっと人々の関心が高まり、メダル獲得模様も変わるだろう。別の意味で興味が尽きない。
さて、このところ連日のように報じられている斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ問題で3年前の知事選に推薦母体となった日本維新の会が、知事に辞職と出直し選挙の実施を求めた。日本維新の会は、最近各地の補欠選で立て続けて推薦候補が敗れ退潮気味のところへ、4月に地元の大阪府大東市長選でも敗れている。これ以上味噌をつけたくなかった。
流石に頑なな維新幹部も、斎藤知事の百条委員会や、証人喚問の言い分と対応が、県議会や県民が充分納得出来るものとは言い難いとして、昨日辞職申し入れ書を手渡した。だが、頑固一徹の知事はこれを受け入れる気持ちはなく、引き続き知事職に留まる意向である。
ところで、天下り知事とも言える斎藤知事のパワハラで隠れているが、元総務省をはじめキャリア官僚OBの知事は、47都道府県の内半数以上の25人もいる。中でも総務省出身知事は、前記斎藤知事、後記の木村知事を含めて11人もいる。学業は優秀だっただろうが、職場ではエリートコースを歩みチヤホヤされて現場を知らず、若く世間知らずの知事が多い。その中でも最近斎藤知事のスキャンダルの影になって目立たないが、顰蹙を買っている県知事がいる。総務省官僚から県副知事に天下りし、今年4月の知事選で自民、公明党の推薦により初当選したばかりの木村敬知事である。木村知事は、今後AIが事務職業務を代行する中で一般事務は要らないし、高校の普通科なんて要らないと県教育長に話したというから、世間知らずも極まれりである。世襲政治家と同じように苦労知らず、世間知らずの高級官僚から天下りする政治家の誕生にも、今後歯止めを掛けることも考えるべきだと思う。
6328.2024年9月9日(月) 増える日本駐留米軍兵士らの刑法犯罪
今日は「昭和」で言うと昭和99年9月9日になり、中国では重陽の節句である。近くにお住まいのベトナム反戦運動の中心グループ「ベ平連」(ベトナムに平和を! 市民連合)を主導されておられた小中陽太郎氏が、一昨年12月にご自宅内で倒れた際頭部を強打して、爾来意識不明のままご自宅で毎日看護師さんや保健師さんが、介護の面倒を見に来られる。それでも毎日お世話しておられる奥様や娘さんのご苦労は想像を絶するばかりである。今日も奥様にお見舞いの電話をしてお話を伺ったが、依然昏睡状態ということだった。
実は、今日は重陽の節句に誕生され、お名前もそれに因んで陽太郎と名付けられた、小中氏の卒寿に当たる90歳の誕生日でもある。お元気なら直接お祝いを申し上げたいところだが、残念だが、それは難しい。以前のような健康状態に戻るのは、ほとんど不可能ということであるが、今まで大変お世話になってご指導いただいたことでもあり、何とかもう1度お話をしてみたい。ご回復されるよう心よりお祈りするばかりである。
さて、米軍基地に囲まれた沖縄の自治が徐々に保守化の方向へ向かっている。昨日行われた米軍普天間基地を抱える宜野湾市の市長選で、2018年知事選出馬のため市長を辞職した佐喜眞淳・元市長が市長へ返り咲くことになった。6年前の知事選では「オール沖縄」の玉城デニー知事に挑んで敗れたが、基地反対のメッカである宜野湾市民は、普天間基地飛行場の名護市辺野古移設を容認する佐喜眞氏を選んだ。同市長は「普天間飛行場の返還期日の明確化と、その間の負担軽減、危険性除去について政府と話し合いたい」と述べているが、どこまで政府は相談に応じるだろうか。
今年6月に行われた沖縄県議選では玉城知事の「オール沖縄」が完敗し、保守勢力が過半数を奪還して、沖縄県民の支持がこれまでの革新、反基地の動きから保守、現状基地容認へ変わりつつある。果たしてこの変化と動きに目をつぶっていて大丈夫なのかと些か気がかりである。沖縄の基地問題について、基地の存在だけではなく、現実に日常発生する複雑な問題などもあり、日本人は同じ同胞ということからももっと沖縄に関心を持つべきではないかと思う。
終戦後、1952年日米講和条約が締結される以前から日本国内に駐留していた米軍が、そのまま日本の国土の7%弱を駐留占拠している。日本の総面積の約2/3が森林であることを考えると、日本の平地面積の内米軍基地は、使用できる日本国土の内20%弱が米軍の使用に供されている。そこへ5万3千人の米兵らが駐在し在日米軍駐留経費として、年間2,200億円ほどを日本が負担している。これも表向きの金額であって、実際にはその5倍近い経費を支出していると言われている。
近年アメリカという国に強い不信感を抱くようになった原因のひとつは、最近のアメリカは、トランプ前大統領以下国民の道徳心が低下していることである。特に軍隊における、それも外国の駐留地におけるアメリカ軍人の行動において由々しきトラブルを度々引き起こし、反省しているのかどうか、一向にトラブルは減らない。日本における米軍基地における不祥事の頻発である。
先日の朝日新聞社会面にも大きく報道されていたが、米兵士による女性に対する性犯罪の頻発である。不明朗、或いはうやむやな結論を出すその背景には日米地位協定という世にも不思議な日米不平等条約がある。
駐留米軍兵士らが、日本国内で犯した犯罪、不祥事は過去において数限りなくある。彼らの2022年度までの過去35年間の刑法犯罪は4千7百余件もあり、年間平均件数は130件で3日に1度は日本国内で米軍兵士が不祥事を冒していることになる。その半数は、沖縄県内で起きたものである。沖縄弁護士会元会長の新垣勉氏によれば、基地の米軍兵士は志願制で集まった若者が多く、社会人としての十分な教育を受けないまま、人を殺す教育を徹底して教え込まれ、日本でストレスを抱えたまま精神的な不安定さを表し、事件を起こすケースが多いらしい。こんな馬鹿げた国家同士の協定なんてあってはならない。現在日本に駐留する米軍兵士は最も多く、5万3千人もおり、これは2番目に多いドイツ駐在の3万5千人に比べて遥かに多い。
そのうえ懸念されるのは、沖縄県民の保守的傾向が進んでいることである。そして米軍兵士らの不祥事は日米地位協定や、米軍、日本政府の意図的な扱いによってあまり公になることはない。彼らには何をやっても逮捕されないとの間違った特権意識もある。これが駐留米軍兵士らがやりたい放題に同盟国日本で行う悪徳と、日本政府のアメリカ言いなり政治の現状なのである。その根源にある日米地位協定をこのままいつまで放置するのか、或いは真に日米平等の地位協定へせめて改定することぐらい出来ないのか、ここら辺りも自民党総裁選で議論を戦わしてほしいところである。
6327.2024年9月8日(日) 「令和の米騒動」、米不足による米価高騰
いま「令和の米騒動」と言われる米不足と米価高騰が食生活を脅かしている。スーパーなどでも米が品薄となり、在庫がないケースも見られるという。かつては日本人の主食であった米の消費量が、年々減っているとは言え、品薄とは猶予ならぬことである。昨年の猛暑や外国人の増加で米の需給バランスが崩れたこともあるが、このまま品薄の状態が続き、価格が高騰すれば食生活の維持、健康管理上も深刻な問題となる。
特に、関西地区で品薄が食生活に影響を与えていることから、吉村洋文・大阪府知事が政府に対して「備蓄米の放出」を要望したが、政府は9月には新米が出回るのでその必要はないとして放出を断った。政府が放出に及び腰なのには、2つの理由があるようだ。
そのひとつは、これまで米は余っていると言ってきたのに備蓄米の放出で米不足を認めることは出来ないというメンツの問題と、もう一つの理由として米の需給調整は市場に委ねるべきであり、政府がタッチすべきことではないとの考えからである。しかし、これでは政府は、米に関しては一切関与しないと言っているように受け取れる。
戦後日本人の食生活は、米依存からパン食や麺類などを食するように変わってきた。米の消費量がピークだった1962年度は、ひとり年間消費量が118㎏だったが、2022年度には半分以下の51㎏まで減少した。
ここで思い出すのは、高校生だった1950年代半ば、社会科の授業で当時人口約8千万人だった日本人の米消費量は、年間8千万石(1億2千万㌧)で、日本国内では6千万石しか収穫できず、残り2千万石は外国米の輸入に頼っていると学んだ。1年に1人当たり1石=150㎏を消費していたことになる。今では当時の1/3しか米を消費していない。現在の年間消費量は7百万㌧で当時より人口が増えたにも拘わらず、消費量は大幅に減っている。その米が不足しがちな原因として考えられるのは、政府が行ってきた「減反政策」という農政の失敗に他ならない。
米の収穫量の減少は、必ずしも不作とか、外国人の増加に帰せられるべき問題ではないと思う。監督官庁の農林水産省には農業、特に米の生産を守るとの確たる信念が欠けているからだと思う。
大体政府の農業政策は安易で、どことなく肝心な芯が欠けている。米不足と同じようにいま国内では牛乳不足現象が起きている。これも農政の失敗により政府が酪農家に減産を要請し、乳牛を減らしたら一時金を支給して乳牛減らしを始めた。しかし、結果的に酪農家の赤字は増えたが、政府は赤字補填をせず、挙句に酪農家の廃業が進み、牛乳生産が減ることになった。結果として牛乳過剰から牛乳不足をもたらすことになり、酪農家を苦しめている。
更に驚くのは、政府には農業の発展や農家の保護・育成にまったく真剣みが感じられないことである。実は、今年5月に事実上の国家総動員法とも言える「食料供給困難事態対策法」が成立した。はっきり言っていわゆる「農家いじめ」である。これは、台湾有事など日本に食料危機が発生した場合、農家に米、大豆などの増産計画の届け出を指示し、農家が拒否すれば罰金を科すという法律である。政府が農家だけに対してこういう冷酷な政策を取れば、阿保らしくて農業なんかに従事していられない。農業従事者は減り、増産どころか危機的な国内農業破滅の道を進むばかりである。
これらの点について、岸田首相、農水大臣はもとより、すべての閣僚や自民党総裁選に名乗りを上げている議員らは、どの程度その深刻さを理解しているだろうか。
6326.2024年9月7日(土) 自民党総裁選、立憲代表選も佳境に
台風10号が日本各地で暴れまくって大きな被害を被ったが、また南方洋上に新たに熱帯性低気圧が発生し、それが台風に発展し日本へ襲来する可能性がある。どうやら今年は台風の当たり年のようだ。
気象ばかりでなく、政治の世界でも今秋は話題になることが多い。今月行われる自民党総裁選と立憲民主党代表選が取り沙汰されているが、来月には公明党が16年ぶりに山口那津男代表が退き、石井啓一幹事長が代表になると明らかにされた。これで与野党3党のトップが揃って交代することになる。昨日立憲民主党代表選へ泉健太代表が立候補を表明した。これで同党選の出馬は山田晴美・衆議院議員を合わせて4人となった。
自民党総裁選では、小泉進次郎・元環境相が出馬を表明し、立候補者は6人となった。本命がいない。小泉氏は、大方の予想では石破茂元幹事長と並び、一番総裁に選出される可能性が高いと見られている。
その小泉氏が昨日出馬表明と同時に、総裁としての改革プランを披歴した。他の候補者がこれまでに表明した政策の中では、最も自らの信念と改革、及び現状行うべきことを分かり易く説明したものと思う。43歳と若く、前向き思考の小泉氏は国民の信を問うと言い、これまで旧来の自民党幹部連が発言を控えていた点も率直に批判し、自らの政策の論点を語った。
古手の議員らから陰で非難されそうな、政策活動費の廃止や国会議員に毎月百万円支給されていた調査研究広報滞在費(旧文通費)の残金返納義務などを公約として掲げた。そのうえで、総理総裁になったら直ちに衆議院を解散し、自らの改革プランの信を問うと述べた。話す態度も堂々として、それなりに総裁選に選出されたら、信念と自信を持って政策実行を期待出来るような印象を受けた。とかく厳しい評価を下す政治評論家の中でも、田崎史郎氏がかなり高得点を与えていたくらいである。
それでも昨日の記者会見の席上であるフリージャーナリストが、次のような至極無礼な質問をした。「首相になってG7に出席されたら、知的レベルの低さで恥をかくのではないかと皆さん心配しています。それこそ日本の国力の低下になりませんか? それでも総理を目指しますか?」
この侮辱的な質問に対して、恰も知的レベルが低いと見られた小泉氏は冷静に応えていた。「自分に足りないところはあることは知っている。その足りないところを補ってくれるチームを作る」と応えていた。フリージャーナリストが非礼な質問をした真意は不明だが、場面慣れしていて応対に不自然さはなかった小泉氏は、敢えて言えば、知的能力がやや弱いと見られ質問された際、しばしば机上のプロンプターに目を移し気味だった点などからも痛いところを突かれたかも知れない。最初に立候補した小林鷹之・元経済安保担当相が、まったくプロンプターを見ることがなかった点に比べて、インテリジェンスの面でやや遅れていると指摘するコメントもあった。
他にも、父小泉純一郎元首相から引き継いだ世襲政治家であることについても厳しい質問があったが、それは予測していたのか、そつなく応えていた。
自民党、立憲民主党の代表者選が、いつになく盛り上がっており、政策論争も聞き応えがある。憚られることだが、今後の経緯と結果を知ることが楽しみでもある。
6325.2024年9月6日(金) 日米の大手企業買収問題の行方
このところ俄かに注目を集めている経済的、かつ政治的な問題がある。それは日本製鉄㈱によるアメリカの大手鉄鋼会社「USスチール」買収計画である。昨年12月両者間で約2兆円の買収に合意していた。しかし、買収案は全米鉄鋼労働組合(USW)や、労働者らの反発を招いた。そこへ大統領選が近づくにつれて、政治的な干渉により支障が生ずるようになった。外資によるアメリカ企業の買収案を調べる対米外国投資委員会(CFIUS)が、アメリカの鉄鋼生産に打撃を与える安保上のリスクになると日鉄側に伝えていたという。
それが、アメリカ大統領選の影響により、政治的な動きが目立ち始め、当初トランプ前大統領が絶対買収を阻止すると公言していた。それが最近になって民主党大統領候補者ハリス副大統領も買収計画に反対の声を上げ、更に、バイデン大統領も買収を認めないとの発言をすると外電は伝えている。これには、USスチールがピッツバーグ(ペンシルベニア州)に本拠を置き、ペンシルベニア州で大統領選に民主・共和両党が拮抗の選挙戦を展開し、買収に反対の従業員と、同州の選挙人獲得を意識した行動に出たためと考えられている。
USスチールと言えば、現在粗鋼生産で世界27位とやや振るわないが、従業員2万人を超えるマンモス企業で、かつては世界最大の企業として知られた老舗の大企業である。
しかし、この政界とは一歩離れた経済界の民間企業の経営に関して、アメリカ政界のトップを争うボスたちが、異を唱え、その渦中へ飛び込み騒ぎ立てるとは、自由競争を奨励している資本主義国政府のやるべきこととは思えない。自らの大統領選絡みで、経済界に口出しして外国の自由な投資にブレーキをかけさせるなんて行為は、自重すべきであり、自由主義、民主主義を標榜している資本主義国家として情けない。果たしてこの結論はどうなるのだろうか。日鉄は、アメリカ政府が法に則り、適正に審査されるものと信じているとコメントを発したが、アメリカ国内の日本企業約70社で構成する日米経済協議会は、CFIUSが審査プロセスを政治的に利用する試みには多大な懸念があり、審査を厳正に進めるよう求めるとの声明を出した。その一方で、日本政府からは何らの声も聞かれない。
そんなニュースが話題になる一方で、その逆のケースも発生している。流通大手の「セブン&アイ・ホールディングス」が、カナダのコンビニ大手「クシュタール社」の買い取りの提案について、買収価格が低く受け入れられないと回答するという。買収価格は5兆5千億円で、上記の日鉄のUSスチール買収額に比べれば、かなり高額である。
「クシュタール社」はコンビニ事業ばかりでなく、北米とヨーロッパを中心にガソリン・スタンドも経営し、30か国に1万6千店を超える店舗を抱えている。昨年度の売上高は、日本円でおよそ10兆円もあり、その内7割はガソリンの売り上げである。
日本の「セブン&アイ・ホールディングス」も、これまでアメリカで積極的な買収により事業を拡大してきた。国内でコンビニ事業を成長させた「セブン&アイ」は、アメリカの「7-ELEVEN」の株式を取得して完全子会社にし、営業利益11兆円の内およそ7割を北米市場で稼いでいる。だが、「クシュタール社」の買収持ちかけの狙いは、「セブン&アイ」が所有するアジア地域の7万弱の店舗で、アジア戦略で遅れを取っている「クシュタール社」としては、この7万の店舗を得ることによってアジアの市場を抑えることが出来るとの腹がある。
クシュタール社の申し出通り買収が実現するかどうか、果たしてクシュタール社の思惑通りことが進むかどうかは不明である。