3077.2015年10月16日(金) 原発再稼働の流れが始まった?

 昨日鹿児島県薩摩川内市にある九州電力川内原子力発電所で2号機が再稼働された。この2号機は、8月の第1号に続く国内再稼働第2号でもある。この後、高浜、伊方、玄海、大飯、美浜が後に続く模様である。原子力規制委員会が安全基準を満たしていると判断してから、政府、並びに各原発はどうも急いで再稼働の流れが加速しそうな様子が窺える。だが、福島第1原発事故以来原発の危険性が知られるようになり、原発再稼働に対する国民の目は厳しくなっている。

 ほとんどの国民には原発や放射能の安全性に対する不安がどうしても抜けきれない。原発自体への不安も去ることながら、近年特に心配されているのは、頻繁に火山噴火の兆候が窺え、一層不安感を増幅させているからである。

 核のゴミ自体について言えば、福島第1原発事故で放射性物質が拡散し、土などに付着した廃棄物が核のゴミとなり、その処理が宙に浮いた状態になっていることが不安を煽っている。そのゴミの処分場が中々決まらず、福島県内の各地域の仮置き場に保管されたままである。

 今最も気がかりなのは、原発再稼働によって新たに発生する放射性廃棄物の処分である。中でも最も厄介なのが高レベル放射性廃棄物である。原発で使用した核燃料からプルトニウムなどを取り除く再処理の際出る廃液である。これが何と数万年に亘って強い放射線を出し続けるために、その廃液とガラスを混ぜて固めてステンレス製の円筒型容器に入れ地下深くに埋める。具体的には地下300m以上深くに10万年の長い年月を隔離する考えであるが、その処分場選びが一向に進んでいない。一括保管される中間貯蔵施設、更に最終処分場の場所ははまったく決まっていないのである。

 このように処分方法が行き詰まった中で、新たに危険な原発を稼働させ、放射性廃棄物を増やすのは、あまりにも後世世代のことを考えず、そのツケを将来に回す無定見なやり方ではないだろうか。電力は必要だと主張する再稼働賛成派の人たちは、一体この事態をどう考えているのだろうか。

 近年自然現象の台風、地震、津波、火山爆発等々の他にも原発施設を脅かす現象が増える可能性がある中で、敢えて原発再稼働を推進しようという無思慮な考えにはとても賛同出来ない。加えて上記のように、稼働によって排出される核のゴミの処分問題がまったく解決されていない。現時点で危険な方向へ向かって着実に進んでいる。

 川内原発再稼働についてコメントを求められたノーテンキな菅官房長官は、新基準に適合すれば再稼働の方針であると平然と述べた。安倍内閣は、原発再稼働を推進することをはっきり明言している。

 他にも節操のない人事として顰蹙を買っているのが、これまで原発再稼働に反対していた河野太郎衆議院議員が、第3次安倍改造内閣で大臣の椅子欲しさの腹の内を見透かされて政権側に取り込まれてしまったことである。変節した河野新国務大臣は国家公安委員長に就任すると同時に、行政改革と防災も担当するのである。仮に原発事故が発生すれば、防災面で指揮を執る立場である。そのトップが信念を捨てて大臣の椅子にしがみついた人物とは驚きである。国民の心配なんかどこ吹く風なのである。政治家は目の前にお土産をぶら下げられれば、つい理性なんていとも簡単に消えて手を伸ばす。原発再稼働問題の渦中にも政治家の愚かさと欲得、利己主義だけが目に見えてくる。これだから政治家は信用ならない。

2015年10月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com