803.2009 年7月25日(土) 北方4島はロシアに奪い取られるのか。

 山口県防府市は土砂災害のニュースで大分騒がれているが、同時に北九州地方、中国、四国地方も相当な風水被害を出している。これほどの被害が出るのは、地球温暖化を言う前に気象庁、国土交通省、地方自治体が手を携えて、真剣に災害対策を行っていたかどうかが問われることになる。対策はいつも後手に回るようだが、マス・メディアももっと世論を盛り上げて一過性のものではなく、定期的に恒久的な対策を講じるシステムを構築する必要がある。

 さて、ひとつ厄介な問題が俎上に上がった。日本が一番不得意な外交問題の中でも解決のメドが立ちそうもないのが、北方4島返還問題である。このほど全ロシア世論調査センターによるロシア国民へのアンケート調査の結果が公表された。

 日本が求める北方4島の返還について、ロシア国民の89%が反対し、賛成は僅かに4%という結果である。今から15年前の前回調査では、反対は76%、賛成は7%だったから、更に悲観的になったと言わざるを得ない。いずれにしろロシア国民は4島の返還については大反対なのである。特に驚くのは、ロシア領土として維持して交渉を打ち切るという数字が79%だというから、ロシア国民の5人に4人がそう考えていることになる。2島返還とか、元日本領だったとか、はまったく考慮されていない。芯から北方4島はロシア国民のものだと信じきっているのだ。だからこそロシア国内では日本の国会が今月初めに北方領土をわが国固有の領土と明記した、改正北方領土問題等解決促進特措法という長たらしい法律を成立させて以来、益々反発が高まっている。

 このままではいつまで経っても解決する見通しは立たないだろう。日本国民の間にも最近こそ関心は高まってきたが、ずっと無関心に近い状態のまま4島にロシア住民が住んでいる実態から目を背けてきた責任がある。一方ロシアではどうかと言えば、島の領土占領の経緯が国民にはまったく説明されず、盲目的にロシア国民が戦後居住している固有の領土との一方的な認識がある。

 1875年(明治8年)締結された樺太・千島交換条約により千島は正式に日本領となったことは歴史的事実である。この歴史的事実を隠蔽して旧ソ連政府は国民に4島が旧ソ連領だと説明してきた国としての無責任性も問われるべきである。現ロシア政府は事実を国民に正しく理解させる努力を払っていない。真実を知れば、ロシア国民が極東の小さな島の帰属権にそれほど拘るとは信じられない。まして、サンフランシスコ平和条約で連合軍の占領は解除され、日本に返還されるべきとの約束が無視されている事実は、例え当時のソ連が平和条約署名を拒否したにせよ、ソ連は他国の自由を承認しないという横暴以外の何者でもない。

 ただ、日本側にはこれまで真摯にこの問題を解決しようと努力する姿勢が見られなかったことは事実である。正面からぶつかろうとせずに、いつも外務省は厄介な問題には腰が引け、素通りしようとしていた。政治家然り、外交官然りである。ロシア側に大半の責任があるとは言え、問題解決を遅らせているのは、明らかに日本のこれまでの外交当局の無責任と職責放棄にある。政治家と高級役人のいつもながらの怠惰と無能ぶりにはつくづく愛想が尽きる。

2009年7月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com