1860.2012年6月16日(土) 漸く与野党間で妥協案成立

 昨深夜まですったもんだしていたが、漸く与野党が修正案につき話し合いがつき、「社会保障と税の一体改革法案」が成立する見通しとなった。これで現行5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案は成立に向けて大きく前進する。

 改めて手元に保存している3年前の民主党マニフェストを見ても、消費税増税なんて言葉はどこにもない。実行できそうもない体裁の良い言葉ばかりが並んでいる。

 しかし、現実問題として日本の財政が危機的状態にあることは間違いない。それを承知していた当時の自民党は、消費税の値上げを考えていた。結果的には総選挙で敗れた自民党の知恵を借りる形で、今回の合意は成立したと言える。

 民主党が国の火の車の財政を懸念してマニフェストで訴えなかった消費税の値上げに踏み切ったことは、割り切れない思いはするが、ある面で止むを得まい。ただし、社会保障の抜本改革を先送りしたことは、一体改革と標榜していた手前、些か足元を掬われたような気がする。

 問題は今国会で上記法案採決の際、執拗に消費税値上げに反対している民主党内の異分子をどう説得し、仮に採決に反対票を投じた場合、いかなる処分をとるのかがむしろ関心の的である。民主党内は分裂するのか、現時点では予断を許さない。

 それにしてもどうして同じ党内でここまで考え方が割れるのか。元々小沢一郎・元党首を含む元自民党の離脱者や、社民党を離脱した横路孝弘・現衆議院議長や江田五月・前参議院議長のような対極軸にあった議員の寄り合い所帯である。しかし、一度ひとつの御旗の下に結集したからには簡単に他党と手を組んで、党内を割るようなことがあっては法案成立、実行はとてもできないと思う。現在の民主党には、その辺りの辛抱強さに欠ける面があると思う。

 野田首相は今国会成立に政治生命を賭けると言明していたように、本法案の成立を確実にするために21日に会期が終わる国会を8月ごろまで延期することを言い出している。自分たちの都合のためには、何でもありなのである。

 さて、西川一誠・福井県知事の同意を受けて、野田首相は今日関西電力大飯原発の再稼動を正式に決定した。防潮堤や免震棟が未整備の段階でGOサインである。福島第一原発事故の被災者からは、早すぎるとの声があり、菅前首相も脱原発を主張して再稼動反対を行動している中での政府の原発OKには首を傾げたくなる。これもこのバランスの取れていない政党の限界を暗示しているのだろうか。

2012年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com