お騒がせ男トランプ大統領が各国との貿易において押し付けていた「相互関税」が、アメリカ連邦最高裁で違法と断定された。やむを得ず大統領は、違法とされた関税の徴収を停止するよう指示した。但し、したたかな大統領は、別の法的根拠に基づき10%の追加関税をかけると表明した。そもそも関税を課す権限は大統領にはなく、連邦議会にあるのだ。この判決に対して大統領は、素直に納得せず、散々違法判決を下した判事を国の恥だと非難し、判決自体を間違っているとか、馬鹿げた決定だなどと不満をぶちまけている。
しかし、トランプおじさんのやりたい放題だった言動を、何でも認めてブレーキをかけられなかったアメリカ国民の弱さと情けなさに些か失望していたが、流石に三権分立の精神である、行政と司法の区分だけはけじめをつけたという点で評価したいと思う。
大体国によって課する関税に大きな差があることは、あまり説得力がない。高率関税50%を課せられていたブラジルや、35%のカナダにとっては取り敢えずホッとしているだろうが、執念深いトランプ氏のことゆえ、これからいかなる対抗策を講じてくるか懸念している。
これまで相互関税によって多額の政府歳入を稼ぎ、製造業をアメリカに呼び戻し、外国との貿易交渉を有利に進め、戦争だって終わらせることができるとほざいていたトランプ大統領にも、関税がインフレを煽っているとの声があり、トランプ支持率にも影響が表れてきている。
そもそもトランプ大統領が相互関税を打ち出したのは、アメリカが抱える恒常的な貿易赤字が増え続けていたことにある。その赤字額が1年に約186兆円といわれており、日本の年間予算を遥かに上回る金額である。これに国内的に商品や原材料を輸入に頼り、高関税で経営が苦しくなった国内の中小企業団体などが訴訟を起こした。
日本にとっても他人事ではない。例外はあるが、一応15%の関税をアメリカに支払わなければならなかった。これを10%に下げるということであるが、日本にとって特別有利になったわけではない。日本政府は「関税はなくならない。過度な期待をしても仕方がない」と状況を注視するつもりである。特に、このところ話題に上がりがちの日本が約束した5千億㌦(約86兆円)もの対米投資を予定通り進める考えである。
高市政権は、トランプ大統領のご機嫌取りばかりやらずに、もう少し日本の立場や考えを直接大統領に伝えて、トランプ流儀に巻き込まれないよう注意して欲しいものである。国内では高市首相の人気が高いと言われているが、そんなことは対トランプには関係ない。人気は人気として、日米交渉には強引なトランプに対して筋の通った論理で説得して、下手にトランプの軍門に下るようなことがないようくれぐれも心得て欲しい。