6088.2024年4月22日(月) アメリカの支援による戦争の行方

 このところ連日のように、日に日に激しくなるパレスチナ・ガザ地区とウクライナの戦闘について報道されている。前者については、イスラエルとイランの報復合戦が懸念されていたが、一昨日イスラエルがイランのイスファハン周辺に空爆を加えてから、イラン側が再報復するのではないかと懸念されていたが、イランはこれを差し控えているようだ。だが、ガザ地区では、イスラエル軍の無差別空爆が住民を苦しめ、すでに昨年10月にハマスとイスラエルの戦闘が始まってから、3万4千人以上の人びとが死亡し、その内約4割が子どもという惨状である。人道支援に当たっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、Xに「10分ごとに1人の子どもが殺されている」と投稿し、「即時停戦が残された最後の希望だ」と訴えた。

 アメリカは、イスラエルを支援し続けているが、あまりにも非道な攻撃に対しては非難することもある。だが、元々イスラエルの友好国でもあり、20日下院ではイスラエル支援法案を可決した。その額たるや、4兆円1千億円だそうである。そして、UNRWAへは支援どころか、送金をすら禁止する。これは、UNRWA職員が最初のハマスによるイスラエル攻撃に関与したことを非難し、その面当てのようなものである。

 一方、後者のウクライナ支援については、ウクライナは長期のロシア軍に対する反戦攻撃により兵器が枯渇気味で、ウクライナ政府が再三に亘りアメリカ、及びEUに兵器を含む支援を求めている。このところトランプ前大統領をはじめ共和党議員らが支援に後ろ向きになったことに、ウクライナ政府は危機感を抱き、支援がなければ戦闘が継続できないと度々欧米に対して支援の継続を訴えていた。アメリカ下院は、イスラエルへの支援と同時に、ウクライナへの支援法案を超党派の合意により可決した。これまで共和党内には、ウクライナにはこれ以上の高額支援は止めるべきだと消極的な姿勢が強まり、下院で過半数を占める共和党の出方が注視されていたが、ウクライナの戦況が悪化し、現状打開のために反対の議員も支援へ回ったと見られる。その支援額は、実に9兆4千億円で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカの支援は、戦争の拡大を防ぎ、数千人の命を救い両国の結びつきを一層強めるだろうと歓迎している。その一方で、ロシアはこの支援がウクライナを更に堕落させ、死亡するウクライナ人を増やすことになると批判した。

 いずれにせよアメリカの支援が戦争を停止するわけではない。これからも悲壮な戦争は続けられ、多くの罪もない人々が命を落とすことだろう。

 かつてプロイセンの宰相ビスマルクが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と語った言葉が名言として伝えられている。愚か者は痛い目にあわないと理解出来ないが、賢い人は歴史で学び理解するような意味に受け取られているが、戦争をするのは愚か者だと言う点は分かるが、いくら賢くても戦争は止められないのが実態ではないだろうか。こう考えるとこのビスマルク語録もやや訴求力が弱まり、戦争は永久に止めることが出来ないと悲観的な結論しか生まれない。

2024年4月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com