5925.2023年11月11日(土) ドイツ人はホロコーストのトラウマに

 パレスチナ・ガザ地区で1日4時間の休戦を承認したイスラエルのネタニヤフ首相が、意外にも今国内では批判に晒されているという。政府寄りの新聞が、首相として相応しくないという人が28%だと伝えたが、これは岸田首相の支持率とほぼ同じである。その大きな理由は、安全保障上の不安があり、その最たるものがハマスの空爆を防げなかったことである。首相は軍部との軋轢もあり、前国防相とは相容れなかったが、前国防相への国民の支持率が、首相を遥かに上回る48%だったというから国内の混乱は収まりようがない。

 そんな折も折、ナチス・ドイツによるユダヤ人への本格的な迫害の転機になったと言われる事件「水晶の夜」から85年が経った一昨日、例年通りドイツ各地で追悼式典が行われた。その折ショルツ首相が強調したのは、あらゆる反ユダヤ主義と戦うと述べた。併せてイスラエルを支持すると語った。公共放送ARDが行った世論調査では、民間人に被害を及ぼすイスラエル軍の攻撃については、「正当化できる25%」を「正当化できない61%」が大きく上回っており、シュルツ首相とドイツ国民の間には、イスラエル政府の対応について考え方が大分離れている。これには、第2次世界大戦中アウシュビッツ収容所のようなホロコーストにより、ユダヤ人を痛めつけたドイツ人のトラウマが依然として身体の中に沁みついていることが影響している。これについてドイツの国債安全保障問題研究所は、「イスラエルへの連帯は今後も示す必要があるのは明らかだが、ドイツが重視する国際法順守などの観点で『連帯の限界』が非常に重要な問題になってきている」と指摘している。敗戦後78年が経った現在、ドイツは今もホロコーストの亡霊に悩んでいる。今更ではあるが、民族殲滅のためのジェノサイドがいつまでも加害者を苦しめているのである。

 さて、10月14日、及び16日の本ブログに取り上げた前衆議院議長の細田博之議員が、昨日多臓器不全で死去された。享年79歳だった。やはりと言うべきだろうか、辞任の際の記者会見の場で歩行もふらふらして、言葉もはっきりせず、激職に耐えられるだろうか気になる印象ではあった。長い間の勤務にご苦労さまでしたと言ってあげるべきだろうが、あの場で次期衆院選に立候補すると強い意欲を示したのには、あの健康状態で、あの年齢でなおも国会議員の職に留まっていたかったのだろう。後味の悪さが残ったのは、随分メディアにも質問されながら、女性へのセクハラや、旧統一教会との強い関係については一切説明しないままだったことである。最早死人に口なしである。その死人に鞭打つ気はないが、代議士としてもっと毅然として言うべきは言って、出処進退を明確にしてもらいたかったと思う。

2023年11月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com