5191.2021年7月29日(木) オリンピックが抱える問題

 来月2日に例年通り慶應病院で人間ドック受診をする。昨年同様に病院の要請で、今日PCR検査を受けた。1年間慶應病院を訪れなかったが、正面玄関口へのルートが工事中で閉鎖され、隣のビルへ回った。改築工事が行われていて、古く暗い感じだった正面入り口の建物は撤去され、一時的に別の出入り口から建物内へ入った。建物はすべて近代的で清潔なビルに変わったが、正面玄関の建物が再建されれば、病院としては国内でも屈指の近代ビルに変貌することだろう。PCRは唾液を採取しただけで、結果が仮に陽性なら人間ドック受診前に連絡があるとのことである。

 今や国民の大きな関心事は、新型コロナウィルスとオリンピックである。コロナは今日も感染者が増加する一方で、東京は3,865人の3日連続で過去最多の新規感染者を出し、神奈川県、沖縄県も最多となり、全国ではついに初めて1万人を超え10,699人が感染し、専門家は「東京は経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている」と危機感を示した。

 オリンピックは東北地方への台風上陸と強い日差しのために若干予定が変更になったが、概ね順調にスケジュールをこなしている。好調の日本は今日柔道で男女2つの金メダルを獲得し、獲得した金メダルは合計15個となった。前回1964年東京大会、及び2004年アテネ大会の16個まであと1個に迫った。

 オリンピックについては、政治とスポーツは別物と考えられ、政治が冒さざるものとされているオリンピックで、意外にもそうとばかりは言えない難しい問題が表面化した。

 実際政治的に対立する国家間で、対戦拒否により試合が行えないケースが現実となった。一昨日柔道決勝で永瀬貴規選手に敗れたモンゴルのサイード・モラエイ選手は、イラン出身だが、2年前の世界選手権で敵対関係にあるイスラエル選手との対戦を前に国から出場辞退を迫られ、試合出場後にドイツへ逃れて難民認定を受け、その後モンゴル国籍を取得した選手だった。他にも今大会に出場予定だったアルジェリア選手が、イスラエル選手との対戦を直前に辞退したケースもある。

 韓国と北朝鮮が合同チームとしてソウル大会以降リオ大会、平昌冬季大会オリンピックまで参加したのは、政治的な理由と同じ民族の友愛精神に基づくものだった。同じ民族でもあり、政治的な事情が理解し合えれば参加してもイスラエルが与える諸外国への影響ほどのことはない。今大会にも当初南北合同チームとして参加する予定だったが、今年4月に突然北朝鮮が参加しないと言い出した。その言い分は、日本のコロナ感染拡大が懸念されるとのことだが、これは身勝手な北朝鮮らしい都合の好い言いがかりに過ぎない。

 いずれにせよ政治的、或いは他の利用にせよ、スポーツの場に政治的な空気を持ち込むこと自体、相容れるものではない。国際オリンピック委員会(IOC)も、もう少し毅然として成否を主張すべきだろう。財政的な問題からアメリカのテレビ放送権料に頼るあまり、開催時期、アメリカ国内のゴールデン・アワーに順守した競技時間、拡大する規模など彼らの言い分に従順過ぎる。このまま放置すればIOCもアメリカ・メディアに「庇を貸して母屋を取られる」の類になるのではないか。

2021年7月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com