5130.2021年5月29日(土) ペンクラブ会長交代と昭和歌謡

 今日は2つの話題を取り上げてみたい。

 そのひとつは、ペンクラブ会長交代の話題である。昨日友人から電話で、日本ペンクラブ会長が交代したらしいと知らせてもらいHPで確認した。確かに25日に吉岡忍氏から、桐野夏生氏に代わったと告知されていた。ペンとしては初代島崎藤村以来18代目の会長に当たるが、女性会長は初めてである。桐野氏は、1999年の直木賞受賞前後から、泉鏡花賞、柴田錬三郎賞、谷崎潤一郎賞、紫式部文学賞、江戸川乱歩賞、読売文学賞等々の文学賞受賞の他に紫綬褒章も受賞している。海外でも評価が高く、英米で翻訳版が出版され、今では日本の文学界を代表する作家のひとりと見られている。

 私が2017年に理事に選任された時に、新会員として入会されたが、その折の挨拶は、どうしてこれまで入会しなかったのですかとの問いに対して、誰も誘ってくれなかったからと応えたのがユニークだった。2年後私が理事を退任した時、彼女は理事に選任され、そしてその2年後に会長に選ばれたとはあまりにもハイスピードの会長就任であり、些か驚いている。今とかく男女の差別が話題になる時代でもあり、ジャーナリズムの主流でもあるペンクラブのトップに初めて女性会長が就任したというのは、時節柄大変意義のあることであり、今後は桐野会長が在野で広く積極的に発言してくれることを期待している。同時に今までの曲道をダラダラ進んでいたペンクラブも真っ当な道を歩むことを期待したい。

 さて、2つ目の話題とは、昭和歌謡である。昨晩テレビで昭和の歌謡番組を観ていて、戦前から戦中、戦後にかけて活躍した歌手の懐かしい歌を久しぶりにじっくり聴くことが出来た。終戦の年に南房総の小学校へ入学し、近所の空き地の隅で荒っぽいお兄さんたちがギターを手によく歌っていたのを聞き、口ずさんだことが今でも心に刻まれ馴染んだ。特に、男性歌手では、藤山一郎、灰田勝彦、岡春夫、女性では、淡谷のり子、二葉あき子、渡辺はま子の3人の歌が流行り好きだった。昨晩のテレビでは、二葉あき子、渡辺はま子、菊池章子3人の特集だった。最近の若い歌手の歌謡番組はほとんど観ないが、戦前から戦争直後まで流行った流行歌は大好きで放映されれば、出来る限り観ては懐メロを楽しんでいる。

 昨晩の番組の中で特に興味深かったのは、渡辺はま子のヒット曲だった。特に戦時中満州へ出征兵士の慰問に行っていたことから中国に関する、「支那の夜」「何日君再来」「蘇州夜曲」などを主に「愛国の花」「雨のオランダ坂」「桑港のチャイナタウン」「あゝモンテンルパの夜は更けて」など数えきれないほどの名曲がある。この中で、私自身長年旧厚生省の戦没者遺骨収集事業に携わっていたり、戦跡慰霊団に同行した折に旧日本軍の兵隊さんから教えてもらったり、歌う機会があり、「愛国の花」と「あゝモンテンルパの夜は更けて」には格別感銘を受けている。

 前者「愛国の花」については、近著「八十冒険爺の言いたい放題」の文中にも紹介したが、スカルノ・インドネシア大統領が訪日の折、テレビ出演して見事な日本語で歌ったのを観てびっくりしたが、その歌を実際にインドネシアの村人たちが合唱し、私もその中へ飛び込んで一緒に歌ったことが今でも心に焼き付いている。後者については、昨晩のエピソードで渡辺が戦後モンテンルパ収容所に抑留されていた108人の日本軍兵士らと交流して、現地へ赴き慰霊碑の前でこの歌を歌った話は涙ながらの物語だった。いずれも現代の歌の詞とは異なり、心に訴える詩情溢れる歌詞が多い。この感情がいつまでも心に残り印象深く、中々忘れ難くなった原因ではないかと思っている。

2021年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com